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東北ツアー2023年2月(⑦宮城県立美術館・佐藤忠良記念館)

岩手から新幹線で最終目的地仙台へ。今日のお宿はウェスティンホテル仙台。

駅から見えるが意外に歩く

このビルの上層階がホテル。入口に入ったところでポーターさんが控えていて、

「いらっしゃいませ。チェックインは26階でございます。お荷物のお預かりでしたらこちらで承ります」

とご案内頂ける。宿泊記はまた別記事で。

地下鉄で移動。まったく、どこもかしこも美少女キャラだなけしからん。

宮城県立美術館

国際センター駅で降りて
お出迎え

佐藤忠良記念館

ここには何度か来ているのに、この記念館は初めて。佐藤忠良さんに興味持ったのも比較的最近だし。けっこう全体が広いので見落としちゃう。美術館本館とは違う会場なのだ。撮影はOKみたいだ。

《若い女・夏》1972年

横に並べてあるならまだしも、みんな別会場にあるんだもん。さすがに違いなんてわかんなかったよ。

こうした作品ってブロンズの型抜きで作っているのか。それにしては型の跡とかないな。って、そりゃ型抜きしたあと磨き上げてなくすんだろう。それでも石から掘り出す舟越保武さんと比べてちょっと雑な感じはするね。ブロンズ像と石像の特徴はもともとそういうものなのかも知れないが。

内面志向の舟越保武さんと外面志向の佐藤忠良さんと言ったら安易すぎるかな。舟越保武作品と違うのはやはり控えめながらも印象的なポーズを取らせている作品が多いことか。そしてつばの広い帽子カンカン帽。

《帽子・夏》1972年

おまけにおっぱい。完全ヌードじゃなくてズボン履かせたりしてるのは、全裸などけしからん!といわれることがあったのか?(まだそんな時代ではなかったろうが)

グンマー? 日本近代彫刻の記念碑的作品らしい
チコちゃん?

ホテルで朝飯食ってるときに会場のテレビでチコちゃんやってたシンクロニシティ

にいがた?

なんか笑かそうとしてるのかw?

蝦夷鹿!

これ滋賀県の佐川美術館にあるやつだ。同じ型から取ったものじゃないかな。佐川のは遠くてなに咥えてるんだかよく分からなかったのがやっと判明した🌳

ビデオ「彫刻家 佐藤忠良の記録」

「ブロンズ彫刻のできるまで」とのことで、当時の制作課程を追ったビデオが館内で流れていた。NHK制作だったかな。

これで出来たのが上映席の後ろにある「蒼」の像。「新制作展」に出品のために制作されたと。なにそれ?日展みたいなやつ?

ググると新制作展ってまだやってるね。

ビデオで初めて知ったのは、実際に像にしたり色付けたりといった彫像の設計をしたあとの作業は専門業者がやるんだということ。浮世絵の分業みたい。もしくは建築家とゼネコン?

【ブロンズ彫刻ができるまで】
*ビデオ2回くらい見ながらメモ取ったけどところどころ間違いあるかも

腕をなくすとたいがいの彫刻はよく見えるようになる(ミロのヴィーナスディスってる?)だから気を使う

ビデオの中のご本人談

ほお、マスク付けるとみんな美人に見えるみたいなものか?

最初にエスキースと呼ばれるミニチュアフィギュアみたいなやつを作る。プロトタイプとはまた違うか。

それをもとに、木材と針金で本番の大きさの骨格を作り粘土で肉付けて粘土像を完成させる。そこに石膏を塗りたくり型を作る。この時点で体はバラバラになる。

で、粘土像は壊しちゃうんだ! 取っといて売ればいいのにダメ?(エスキースも売ってくれればいいのに。お人形さんフィギュアより持ってて恥ずかしくないぞ)

そのようにして出来た石膏像は中型(なかがた)と呼ばれる。更にその中型を塩釜みたいに土を被せて型を取る。これは外型と呼ばれる。

外型を取る時にサロンパスみたいな柔らかい特殊な板を貼り付けてたような気がするんだが…うーむ、ちょっと記憶曖昧でわかんなくなってきた。

とにかく、最後に外型と中型をガッチャンコしてその(サロンパスが溶けたおかげで出来た?)隙間に鋳物を流し込んで塑像を作る!…は?そんなことしてたんだ。

熱い鋳物が冷めて取り出された像はこの段階ではC3POみたいにメタリックに輝いてる。この状態でも面白いのにあまりそうしないのは錆びちゃうのかな。現代芸術家ならそのままもありだろう。

最後に着色工程が入る。ビデオでは着ける色の選定も職人さんがやってた。作者の意図は入らないんかい?

これらの工程を見ると佐藤忠良以外の人達の出番の方が多いじゃん。こんなに多く工程取っているとは夢にも思わなんだ。これ3Dプリンターでさっさと作っちゃったらおこられるのかな。現代芸術家ならありだろう2。

ブロンズ彫刻とかって、鉄板をひっぱたり曲げたり溶接したりして作っているのかと思ってた(そういうひともいるだろうけど)。以前に青森美術館で見た、「素材FRP」と書いてある成田亨さんの立体作品がいったいどういう意味なのかわからなかったんだが、これで謎が解けた。鋳物のかわりに樹脂を流し込んでたんだね。射出成形インジェクションなんだ(ちょっと関わりのある業界用語を出してみた)。

ややこしくてよく分かんなかったんで、25分間のビデオを二回も見てしまったから、だいぶ時間が押した。他のものを見る時間がなくなってきちゃったよ

佐藤忠良特別展

本館に移動。なんだよ、こっちが本番かよ。写真撮影は不可。講演会も聴きたかったのでけっきょく駆け足鑑賞になっちゃった。

あちこちに佐藤さんの言葉が貼ってある

マイヨールについて、「その曲面は、単なる壺や円筒のような曲面ではなく、角張った立方体によって構築された面の交錯によるものだということがわかる」

マイヨールとロダンの間
別冊みづゑ 1963.9 特集マイヨール

よくわからんがキュビスムに絡めた考察かな。私がピカソの新古典主義の絵に見るような(私の場合は完全に思い込みだか)

凡庸な作家のモデルを見る目が数個しかないとすれば、ロダンは百個もの目を持っている。

これはなんとなくわかる「僕には君たちが見えないものが見えるんだよ」ってことだよね? キモっ?

彫刻と別に「佐藤忠良コレクション」というコーナーがあった。佐藤忠良さんが集めていた作品集。むしろこれらが面白かった。

ピカソ
エリック・サティの肖像??

ドガ
バレリーナ二人の図。さすがにかっこええ…。

モディリアーニの素描なんて初めて見たかも。

(これだけじゃなんのこっちゃよくわかんないだろうスマソ)

常設展

更に駆け足だがここの常設展も覗いてきた。ここは撮影可能。カンディンスキーとクレーが目玉かな。

《中国風の絵》1923年
《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》1914年

なげー題名…。

《商人たちの到着》1905年

カンディンスキーの珍しく私がお気に入りのあの絵があった。これ仙台にあったんだっけ?と思ったがブログにこの作品との邂逅を書いてるじゃん。

とにかく、ちゃんとした絵も描けるんだからあんな変な抽象画やめてほしいわカンディンさん。

講演会

特別展を記念してか学芸員さんによる講演会もあったので潜り込んできた。佐藤忠良さんって99才没なんだ。すご。1912年7月4日生 - 2011年3月30日没らしいから東日本大震災も経験されていたのか。

講演メモの断片:
・最初は画家を志したらしい。モディリアーニのまねしてかいてたらマンガになっちゃった。これは彫刻家になるかな ロダンやマイヨール好きだし…という経緯だったらしい(?)

・高村光太郎「ロダンの言葉」に衝撃受ける。当時こういうひと多かったみたい。あちこちで見かける。

・彫像「オリエ」ってあったけど、あれは娘さんなのか。女優をされている。佐藤オリエさんって私はあまりイメージないな。カタカナ名前の俳優さんてなんかいたな。田口トモロヲ?

・日本人の手で初めて日本人の顔を作ったと激賞されたのが群馬の人。

学芸員さんの発表だから普段されているであろう「文献の読み込み」に付き合わされている感じでちとしんどかったいや勉強になりました。

ひっぱって休む、ひっぱって休む…リズム


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