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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? …
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#掃除

限界芸術としての掃除

大蓮寺の秋田光軌さんが「生命の革新」としての限界芸術について論じた論文が、涙骨賞を受賞していたことを、大変遅ればせながら、最近知った。いかに自分が仏教界の話題から遠ざかっているか、思い知らされた。ともあれ、このタイミングで知ることになったのも何かの縁ということで、ありがたいことに全文公開されている論文を中外日報ウェブサイトで拝読した。 大蓮寺は大阪で有数の有名なパドマ幼稚園を経営しているが、秋田光軌さんは、その幼稚園での子どもたちの遊びの姿を通じて「生命が輝く」瞬間を紹介し

ネストから覗くPost-religionな未来

ネスト、というスタートアップに参画している。 参加よりも、参画という言葉が相応しいと思う。 ・ネストは空間を超えて暮らしのリズムで人と人がつながるプラットフォームです ・物理的な距離は離れていても、心理的な距離は近い共同体「ディスタントネイバーフット(遠くのご近所)」と一緒に、暮らしのリズムを整えましょう ネストは、友人の藤代健介くんが始めた、スタートアップ企業。僕は、そのプラットフォーム上でリズムを展開する一人のホストだ。また、さかのぼればこの法人が立ち上がる以前からの

ひじりのリズム

掃除巡礼リズムを11月からスタートする。場所は、オンライン。このnoteでも何度か紹介した、藤代健介さん率いるnestoというスタートアップが提供するオンライン・プラットフォームで、松本紹圭がホスト役となって開く。9月にnestoのPoC(Proof of Concept、つまり実証実験)として毎週日曜の朝7:00〜7:30に開いたこのリズムが、11月からいよいよ正式なサービスとして提供されることになる。掃除巡礼リズムは、nestoの「時間同期・空間非同期」の考え方に基づいて

Temple Morning Radio

ポッドキャストの番組を始めました。 お寺の朝から始める、安養な生活。あなたのウェルビーイングがととのう、テンプルモーニングラジオ。平日毎朝の配信です。 週替わりで全国各地のお寺から素敵なゲストをお招きして10分くらいのトーク。続いて「今日のお経」コーナーでは、全国各地のお坊さんから届いたバラエティ豊かなお経を日替わりでお送りします。不肖私、松本がパーソナリティを務めます。 Spotifyが便利です。もちろん無料。ぜひ登録してみてください。 Spotifyで聴く Anchor

「遅いインターネット」もやっぱり掃除で

以前からその発言に注目してきた宇野常寛さんの新刊『遅いインターネット』を読み始めたら、あまりにも自分の問題意識と重なるところが多過ぎて、一気読みした上で、二度目読み。僕がこれまでこのnote方丈庵で書いてきたことがすべて宇野さんの受け売りだったんじゃないかと思われそうなくらい、重なるところが多い。同じ時代の空気を吸っているわけだから、不思議ではないのかもしれないけれど。とにかく、このnoteを読んでくださっているあなたには、必読の本として心からオススメしたいです。 宇野常寛

マインドフル・アナーキスト

学生の頃、親しい友人の幼馴染のお父さんが国会議員の政策秘書をしていて、議員会館の事務所でウェブサイトを作れる人のアルバイトを募集しているからやらないか?と誘われました。ずっと政治に興味があって、ちょうど学生ながらフリーランスとしてそういう仕事で小銭を稼いでいた僕は、喜んで手を挙げました。なぜ政治に興味があったかというと、欠陥だらけのこの世界の仕組みを改善する必要があると感じていたし、もっと社会が幸せになるようなことに貢献する仕事の一つなんじゃないかと思ったから。結局、政治の世

掃除が教えてくれる人生の知恵

約2年、お寺の朝掃除「テンプルモーニング」を50回以上続けてきました。 また、身延山や天理教といった宗教宗派を超えた様々な聖地で掃除をさせていただいています。 おかげさまで、掃除から教わる人生の知恵がたくさんあって、最近は「人生って、掃除みたいだ」と思うようになりました。 今回、5つのポイントにまとめて、シェアします。

お寺コワーキングの先にある、観光の終焉と巡礼の始まり。

同じものに違った角度から光を当てる「方便力」先日、宣伝会議というメディアでインタビューを取り上げていただきました。 インタビューの際に「お寺の変革者ですね」と言われたんですが、私はそんなつもりはありません。私はお寺の強みは「継続性」であり「関係性」だと思いますので、とにかく積み重ねることが大事です。何か全く新しいことに取り組むとか、物量戦で勝負するとかは、あまりお寺には向いてません。先人たちの厳しい歴史的検証に耐え抜いて今まで受け継がれてきた大切なものを、できるだけ形を変え

布教とは、伝えることではなく、つながること

せっかくの縁を「正しさへの依存」が断ってしまう先日、どうしても相手を「正しさ」でジャッジして刃物のような言葉で切り捨て、せっかくつながった縁を断ってしまうことに悩む、二十代の青年僧と出会いました。 「宗派の教義と違うことを檀家さんが言ったりすると、”それは違います”とか”宗祖の考えはこうです”と正そうとしてしまう。上から目線で押しつけてはいけないとわかってはいるんですけど。多分、自分がまだ若いが故に、人から舐められたくないとか、一人前と認められたいという気持ちが強いんだと思

デジタル・ウェルビーイングの先にある仏教の不思議な未来

デジタル・ウェルビーイング〜「わたしたち」のウェルビーイング今回は、宗教を取り巻く注目すべき外部環境変化を押さえた上で、これからの宗教を考える上で大切な示唆を、私なりに読み解いてみます。 私はこれからの宗教の外部環境を考えるとき、3つの重要な変化があると思っています。 ・AIやバイオテクノロジーの進展とデジタル・ウェルビーイングの隆盛 ・サーキュラー・エコノミーやSDGsが象徴する地球規模の課題への取り組み ・Post-religious感覚の広がりを含む宗教観の変化