ゲーデルの不完全性定理の別証明?

以下の記事での問題と証明は、次の書籍の記述に基づいています。
小野田博一『論理パズル100 世界の名作から現代の良問まで』(講談社ブルーバックス)の75ページから78ページまで

問題1: 矛盾からはあらゆる結論が引き出せる。
証明1:(省略します)。

問題2: 数学の体系が無矛盾であることは、数学の体系内では証明できない。
証明2:
<仮定1:数学が、その体系内に矛盾を抱えている場合>
問題1の結論から、矛盾からは、あらゆる結論が引き出せる。つまり、「数学は、その体系内に矛盾がない」という結論も引き出せる。

<仮定2:数学が、その体系内に矛盾を抱えていない場合>
この場合は、仮定2に基づき、「数学が、その体系内に矛盾がない」という結論が導き出せる。(具体的な手法については、分からないが)。

以上から、<仮定1>、<仮定2>のいずれにおいても、「数学が、その体系内に矛盾がない」という結論を導くことができる。このため、「数学が、その体系内に矛盾がない」という結論が適切な演繹により証明として導かれたとしても、いったい<仮定1>、<仮定2>のどちらが前提であったのかは、判別できないことになる。

このため、「数学がその体系内に矛盾を抱えていない」ことは、数学の体系内では証明できないことになる。(証明2おわり)


ここで、証明2では、ゲーデル数も対角線論法も使っていない。1931年の(ゲーデルの)オリジナルの証明とは異なるものである。さて、これは、ゲーデルの不完全性定理の別証明になっているのだろうか?


追記:
「数学の体系が無矛盾である」ことが真である場合、「数学の体系に矛盾がない」ことは偽となる。

2つ目の命題を言い換えると「数学の体系に矛盾がある」ことが真となる。

この2つの互いに背反する真のどちらが、実際に成立しているかについて、
「数学の体系が無矛盾である」ことが証明できた場合でも、どちらの真が成立しているかは判定できない。

つまり、2つの真のうち、いずれかは成立しているはずであるが(=何らかの真が少なくとも一つは存在しているはずであるが)、その真は数学の体系内では証明できない。

さて、この場合の、真とは、何に依拠しているのだろうか。仮に数学の体系に依拠しているとしても、その体系内では証明できないのである。

それでは、この真は、数学の体系の外に存在しているのだろうか。

この真は、何に依拠していて、どこに存在するのだろうか。それが真である(2つ命題のうちのいずれかが)ことは、確実である。でも、それがどこにあるのかが分からない。

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