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男2人×女1人の恋愛事情⑰ それでいいの?!

そう、私は、この話をきちんとしておくべきだと思った。涼太の存在を。
 「地元の、スマホのゲーム仲間だった男の子なんですが、私が地元から引っ越した後に告白されました。彼は、私に婚約者がいた事も知っています。すごく、精神的に助けてもらいました。今は、1カ月に1度、こっちに遊びに来てくれています。」
 私は、とても慎重に言葉を選びながら話した。
 「彼にも、私が今恋愛する気がない事を伝えています。そして、それでいい、自由にしていいと言ってくれた彼に甘えています。恋人のような関係でする事もしています。この話をお伝えしないとフェアじゃないと思ったのでお伝えしていますが・・・・なので、辞めといた方がいいですよ、こんな女は笑」
 ああ、引かれたかなぁ。もう一緒に飲めなくなると少し寂しいなぁなんて、私はこの時考えていた。
 「・・・松浦さん、モテますね笑」
 やっと口を開いた慎吾が笑いながら言う。
 「そんな事ないですよ!モテたいです!笑」
 重たい空気が少し和らいだように感じて、ほっと安心したのも束の間、

 「俺もそれでいいです」
 
想像もしていなかった、斜め上からの発言に、私は本当にフリーズした。人間、びっくりすると本当にフリーズするものなんだ。
 「・・・・あの、それでいいというのは?」
 「恋愛する気がないのも、俺のほかに仲がいい男がいるのも分かりました。それでもいいです。」
 「え?いいんですか?」
 「まぁ、しょうがないですよね。でも、今日すぐにイエスかノーか返事をされなくて良かったです。今、彼と比べられたら、俺は完全に関わってきた時間で負けていますから」
 「あ、そうですか。」
 にっこりと笑う慎吾につられて、私もふへへと気持ち悪い笑いを浮かべる。
 どういう展開なんだろう、これは。
 「松浦さんは普段どこに遊びに行くんですか?」
 その後は慎吾が振ってくれる話題に答える事を優先して、この出来事について深く考える事が出来ないまま時間が経った。話の流れで、今度休みの日に遊びに行く事が決まり、本当にあれよあれよという間に、色々な事が展開される。
 涼太の時もそうだったけれど、大事な事はさらりと決まっていくのね・・・。

 慎吾との飲み会が終わり、私は今日起こった出来事を反芻する。
仕事では散々な目に合い、その後は慎吾と飲みに行き、告白され、今の状況を説明してもそれでいいと言われる。

 なんだろう、この展開は。私自身、ついていけない。

でも、分かっている事が一つ。
この出来事に関しては、ちゃんと話さないといけないよね。涼太に。


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