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星系出雲の兵站 -遠征-5 感想

星系出雲の兵站 遠征 5を読みました。これにてシリーズも完結したのでシリーズ全体の総括と布教をしていこうと思います。

ハリウッドのファーストコンタクトもの(インディペンデンスデイとかロサンゼルス決戦とかETでも良いです)を見たときに、この武器はどうやって調達したんだろう?補給はどうなってるんだろう?と疑問に思ったことがある方。

星系出雲の兵站を読んでください!

絶対に面白いです。宇宙人と戦うのに労働組合との対峙が描かれるSFを僕は他に知りませんし、有事体制の生産設備を平時体制に戻す方法について国家指導者が悩むSFも知りません。宇宙船の構造も人類全体で統一されており、イレギュラーなタイプの戦闘艦には誕生の秘話がそこにはあります。

派手な戦闘やSF的なギミックを描くために割愛されてきた要素をじっくりとそして面白く描いているのが本書の特徴ですが、決して戦闘シーンが蔑ろにされているわけではありません。降下猟兵の活躍は迫力がありますし、烏丸少将によるガイナスとの交渉はとてもカッコいいです。
 正直、まさかおじゃる言葉を喋る変人の軍人がここまでカッコよくなるとは思っていませんでした。

以下少しネタバレを含みます。

個人的に星系出雲の兵站が面白かった理由(もしくは飽きなかった理由)はギリギリまで敵の宇宙人を描かなかったところです。1巻から敵と近接戦闘を行いますが、その敵兵の正体は〇〇だったので正体がわかって飽きるどころか2巻を心待ちにすることになりました。

その後最終巻に至るまで科学者チームによる仮説と検証が繰り返されていきます。この仮説と検証の繰り返しがSF的な面白さの軸になっているように思えました。

そして忘れることができないのが、林穣治先生の圧倒的な引きの巧さです。

面白さに寝るのも忘れて読みふけり、最後に思わず

「ここで終わるか?!」

と叫んだことは一度や二度ではありません。
Twitterでも新刊が出る直前に編集の方が「林先生は悪い人だ(褒め言葉)」みたいなツイートをしていたほどです。

完結した今、どんな引き方をしていても焦らされることはありません。心置きなく大人買いしましょう。

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5巻限定の感想で言えば、「人類えげつないな」でしたね。

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