大学生の現実 コロナ禍
「まあなに、はなしと言えどドラマティックでもない、よく在るものさ。」
「私はね、大学進学を機に上京したんだ。
その時はとにかく一人暮らしがしたくてね。」
「自由が欲しかったんだよ。
自分の時間、自分が司る空間。小さい頃から想像してたんだ。ついに来るぞ。自分の黄金期が。
そんなことを考えてた。
ついに始まった!と思ったらコロナだったのさ。
一人暮らしというより一人社会と分断された暮らしだったのさ。
一日、二日、三日、、一週間と声を出さない生活。私の知る大学生活ってのはそこにはなかったね、もうほんとに何もなかった。
時間は経つよ、一日一日と。ただね一日一日、重ねていっても同じ日々。同じ部屋で授業を受け、課題をこなす日々。教授は今年の出席率は良いって言ってたね。そりゃそうだよ。仲のいい先輩もいなければ友達もいない。そもそも知り合いがいないんだもの。こんな哀しい みつを もないよ。欠席=落単だったんだ。
そんなんで、今度は就活さ。先輩訪問をしたよ。zoomでね。
先輩は言うんだ、
「zoomで済むなんていい時代になったね。自粛中だからこそ動ける奴が就活に勝つんだよ。コロナをラッキーだと思え」って。
私は「そうですね」って笑顔を作りながらストレスで蕁麻疹の出た腕でタイピングしてたんだ。
だから私は就活塾に加入した。そこではいろいろなことを学んだよ。約20年間、やりたいことが見つからなかった人生でやりたいことが見つけられた。全力で取り組む楽しさも知ることができたし、自分で納得のいく就活ができたんだ。
気づいたら東京で就職していた。小さかった頃は東京で働くなんて夢にも思ってなかったよ。けれど今、扉を開ければ東京タワーと都会のビル群さ。
私はいま、小さいの自分の想像を遥かに超えた未来にいる。
そしてこの先も、自分の想像を遥かに超えた未来にいるのだろうね。君と」。