見出し画像

サウナは地方で進化する/ サウナ4.0としてのクラフトサウナカルチャーの幕開け

コロナの状況が悪化の一途を辿るこのご時世、ストレスを抱えるサウナーは多いと思います。かくいう私もその一人。この2年半は遊動生活=アドレスホッピングを続ける生活であると同時に、各地のサウナを廻る日々でもありました。北は北海道から、南は沖縄まで。北欧でも、アフリカでも、東南アジアでも、各地のサウナを嗜み、その土地土地の、そのサウナごとの良さを体感してきました。

その中で、『サウナカルチャーは日本の地域でもう一段階、進化する』ということを確信したので、今日はその話をしたいと思います。

サウナ1.0〜2.0: フィンランドからの輸入と銭湯文化との融合

サウナの歴史については、Saunology さんが明るいので、詳しくは割愛しますが、僕の認識では、以下の通りです(あくまで個人的見解なのですが、誤認あったら遠慮なく指摘してください!お願いします!)

日本でサウナという言葉が認知され始めた最初のきっかけは、前回の東京オリンピックが行われた1964年。フィンランド選手団のためにサウナが持ち込まれたのがきっかけで、サウナが一気にブームに。これをサウナ1.0とします。

その後、高度経済成長と共に、風呂付き家屋が標準化され、内風呂が増えた結果、銭湯への需要が激減。そんな窮地を救うために、内風呂との差別化要素として、サウナが注目を浴びます。また公衆浴場法では銭湯の値段は一律に定められていますが、サウナは付加施設のため金額設定が自由だったという理由もありそう。このタイミングで、一気に銭湯サウナが増加します。これがサウナ2.0。

そして、高度経済成長期に娯楽性を伴った温浴施設として全国に普及した健康ランド文化の中から、バブルの崩壊と共により「安・近・短」な温浴施設として生まれたのがスーパー銭湯です。ニュータウンなど郊外の人口増加の受け皿となる形で、家族の娯楽施設として普及していきます。もちろん、サウナもついてました。でもこれはサウナ自体にさほど進化はないので、サウナ2.5くらいかな。もしかしたら塩サウナとか岩盤浴とか、サウナ体験の多様化はしたかもしらん。

画像1

サウナ3.0:フィンランド式サウナへの回帰とテントサウナによる個性の爆発

そして、近年、ここ4~5年の間に起こった進化がサウナ3.0です。錦糸町のサウナ ニューウイングの吉田さんもTwitterでおっしゃっていましたが、近年までサウナは冬の時代だったようです。しかし、ここ近年のフィンランド式のアウトドアサウナ文化を再輸入しようという、原点に戻るような活動が身を結んで、昨今のサウナブームを巻き起こしました。ここには、もちろんFSCをはじめとする偉大なる先人の方々がいらっしゃって、「ととのう」という共通ゴールの発明など、サウナ文化において歴史に残る功績がたくさん存在します。本当に素晴らしいです。ありがとうございます。

また、フィンランド式(あるいはロシア式)アウトドアサウナの魅力を身近に伝えるきっかけとなった一つの要素として、「テントサウナ」を外すことはできません。テントサウナの一番の魅力は「カスタマイズ性」。自分のやりたい環境で、好きな設定で、好きな仲間とプライベートに楽しむことができるテントサウナは、それまでのサウナー層だけではなく、キャンプ好きのアウトドアな若者に刺さり、一気に広まりました。ある意味では、DIYサウナとも言えるテントサウナカルチャーは、これまで施設に依存していたサウナ設定を素人に開放し、オープンな実験場として、皆が多様なサウナのあり方を探究する土台を作ることになります。

クラフトサウナカルチャーとしての"サウナ4.0"

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題、サウナ4.0の話です。

フィンランド式の自由で創造的なサウナカルチャーに触れた日本人は気付いてしまったのです。「サウナ、おもしれぇ...!」と。日本人の持つ職人性と言いますか、物事を深く探究していく姿勢がサウナにも反映されていきます。気軽に楽しめるテントサウナのおかげで、多くの人に「自分好みのサウナ」を造る門戸を開いてしまったのです。目覚めてしまったクラフトサウナー達は、テントサウナに飽き足らず、自分好みのサウナ小屋を立て始めます。クラフトサウナカルチャーの幕開けです。

やはりその先駆けは、長野県信濃町にある「The Saunaでしょう。若干24才にしてすでに堂々たるサウナーの風格(体格?)を持つ野田クラクションべべーくんが地元のみなさんと造った手作りのサウナ。これが本来のサウナであるという宣言とも取れる「The Sauna」というネーミング。一度行ったら忘れられない体験になること請け合いです。他にも、岡山の蔵を改装した「パブリックハウス&サウナ久米屋や、徳島神山町の「森のサウナなど、素敵なクラフトサウナが生まれてきています。おそらく他にも全国各地で、そういう動きが出てきているはずです。

画像2

クラフトサウナの特徴は、地域性。フィンランドも自然豊かですが、日本はより縦に長く、亜熱帯から亜寒帯まで気候に幅があり、それによって植生や風景も変わってきます。かつ、国土面積における森林面積の割合は約66%、実に2/3が山や森に覆われ、豊かな水源にも恵まれています。

そんな多様で豊かな自然環境を活かして、地域ごとに様々なサウナ体験が産まれようとしています。例えば、ヴィヒタ。サウナのヴィヒタと言えば「白樺」が一般的ですが、茶葉や他の植物でやってみたらどうだろう?ロウリュウするためのアロマも、一般的なアロマではなく、日本古来の香木を使ってみたり。ロウリュウするための水も、各地の名水でやってみたらどうなるんだろう?などなど、実はサウナの地域性の変数ってたくさんあるんです。探究のしがいがありますよね・・・。

・ アロマ (植生)
・ ヴィヒタ (植生)
・ 薪 (植生)
・ ロウリュウ水 (水質)
・ 水風呂 (水質、温度、水源、環境)
・ 外気浴スペース (風景、立地)
・ サウナ飯 (素材、調理法) ...etc

新たなクラフトサウナの目覚め 「ume, sauna」

そして、ここにまた一つ、クラフトサウナカルチャーを代表するような素晴らしいサウナが生まれようとしています。それが、奈良、山添村に製作中の「ume,sauna」です。

画像3

ume, sauna の魅力は何より、自然。奈良県はその多くを森林に囲まれた霊験あらたかな土地。ume,saunaは、山添村の高台に位置し、奈良の山々が一望できます。早朝には、雲海が見えることも。朝サウナしながら、外気浴で朝日に照らされた雲海を眺める、なんて最高の贅沢ですよね。もちろん水は天然水。ロウリュウには地元の名産「大和茶」を使ってみる予定です。

そんなume,sauna、今絶賛、建設中です。こんな状況ですので、感染症対策、安全には最大限の注意を払って作業に取り組んでいただいています(僕は現地いけてないのですが・・・!現地のスタッフのみなさん、梅ちゃん、べべ、大島さん、本当に心からお疲れ様です!)写真の通り、もう少しで完成のところまできています。

画像7

画像4

画像5

画像7

そして、なんと、もう少し、もう少しで、クラウドファンディングも達成できそうなのです。あと5日。是非皆さんに、このサウナ4.0、クラフトサウナカルチャーを担うことになるであろう「ume,sauna」のプロジェクトに関わって欲しいなぁと思います。コロナに負けるなチケットもあるし、コロナが明けたら皆んなで山添村に遊びに行きましょう。

そのときのサウナは格別だろうなぁ...!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?