童話の素晴らしさ⑧ 鳥と獣とコウモリ
今回はイソップ童話の『鳥と獣とコウモリ』から学べる教訓について考えたい。物語の内容についてご存じの方も多かろうが、念のため、あらすじを紹介しておく。
物語の中でコウモリは、獣からは「羽があるから鳥の仲間だ」と言われ、鳥からは「顔がネズミみたいだから獣の仲間だ」と言われる。Wikipediaに紹介されているこの物語の教訓は「主体性が無い者は、やがて誰からも信頼されなくなる」と書かれているが、果たしてそうなのだろうか。
コウモリは生物学上は哺乳類になるので、本来は獣の仲間となる。その姿かたちで「羽があるから」「顔がネズミみたいだから」と誤解されたコウモリは、もしかしたら自身の見た目のコンプレックスを抱えていたかもしれない。本当は仲間に入れてほしいと思いながらも、見た目で受け入れられないとわかっていたからこそ、少々ずるくても相手に取り入ろうとしたとは考えられないだろうか。
人に置き換えて考えてみよう。自分だけが周りの人と違う世界に置かれたらどんな気持ちになるだろう。きっと大きな不安を抱えることになる。もしも読者の皆さんが海外の高校に転校することになって、そこで「髪の色や肌の色が自分たちとは違うから、あなたとは友だちになれない。」と言われたら、自分自身の見た目にコンプレックスを感じてしまうだろう。でも、そのコンプレックスは周りにはなかなか理解してもらえないかもしれない。しかし、今の世の中、見た目だけで人を判断してはいけない。その人の中身でその人を評価することが大切な時代になっている。
世の中には差別や偏見が存在する。私たち人間に求められているのは多様性を重んじること。次の2つの言葉がキーワードだ。
■ダイバーシティ(多様性):
人々の性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす考え方。
■インクルージョン(包括・受容):
これらの多様性を組織内で受け入れ、活用するプロセス。も、人を見た目、世界中で言われ続けてきた多様性を重んじること
現在、小学5年生の国語の教科書に「大造じいさんとがん」という児童文学者:椋鳩十(むく はとじゅう)氏の作品が載っている。椋鳩十氏はかつて次のように語っている。今でいう多様性の大切さだ。
宇宙飛行士の野口聡一さんも次のように多様性の素晴らしさを語っている。
今回はコウモリが教えてくれた。多様性を認め合うことの大切さを!
ハロウィンの日を祈念して、コウモリの話をさせていただいた。
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