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地球環境は子孫たちからの借り物

「土地は先祖からの授かりものではなく、子どもたちからの預かりもの」…   ネイティブ・アメリカンに伝わる格言だ。自然と共に生きてきた先住民族だからこそ、伝承されてきた教えには、エネルギー、精神性、自然と共生する生き方の大切さが包含されている。自然と共に生きてきた人々の叡智が刻まれたこの教えが、現代を生きる私たちの心に響き、魂を揺さぶるのはなぜだろうか。

「この地球は先祖から受け継いだものではない。子孫から借りているのだ」…
 
これは、「星の王子様」で有名なサン=テグジュペリが発した名言だ。私たちが先祖を思うとき、今を振り返るが、この今は、まさに子どもたちの未来になるのだから、子どもたちからこの今を預かっているだけなのだという考え方だ。しかしながら、私たち現代人は、この預かったもの、借りたものを増やして返還するのならまだしも、借金を続けたうえに全てを浪費してしまっている。今を生きる自分のことしか考えず、目先の欲のみに囚われ、それを貯めようとせず、さらなる大きな借金を後世に引き継ごうとしているのだ。私たちは、子どもたちに輝かしい未来を遺すのではなく、大きなツケを払わせようとしていることになる。

「地球を食いつぶしながら我が世の春を謳歌して、あげくに未来をゴミ箱にしているのが私たちだと思いませんか」…
 
こう語るのは、『北の国から』の原作者であり脚本家の倉本聰氏だ。倉本氏は富良野に「地球の道」を作った。地球の46億年を460メートルに置き換えたものだ。この「地球の道」に占める人類の歴史はたったの2センチ…。地球が46億年という途方もない歳月をかけて創出した美しい自然環境を破壊しているのは、たった2センチの存在である私たち人類だ。

 「私たちは、わが子や孫に向かい、来る世代に対して、容赦無い戦争を引き起こしてしまった。私たちは砂漠と化した世界を子孫に残すことになるだろう」と…。
 
地球が蓄えた石炭や石油を大量消費し、物凄い勢いで森林を伐採しているため、地球温暖化が進み、北極の氷が溶け、海面が上昇し、気候変動の影響は洪水や干ばつをもたらす。それが新たな貧困や格差を生み、紛争やテロの原因となる。紛争や戦争は最悪の環境破壊をもたらす。さらに、人類が科学技術という幻想のもと産み出してしまった核廃棄物は、その処理に恐ろしいほど長い年月を必要とする。かつてミヒャエル・エンデは警鐘を鳴らした。容赦ない戦争とは、地球環境の破壊という名の未来世代に対する戦争であり、エンデはこれを「すでに始まっていることに私たちが気付いていない第三次世界大戦だ」とした。

 数々の明言はあれど、私たち人間は未来のことを考えているようで考えていない。現代のツケをすべて未来に託す、いや、押し付けることばかりしている。私たち大人は子どもたちの未来に希望が見えない。子どもたちも自分の未来に希望が持てない。未来に希望が持てない国の少子化はますます進んでしまうのではないだろうか。

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