見出し画像

シェイクスピアさんと

先日初めてシェイクスピアさんとお話ししたんです。

面食らったのは、出会い頭、
「Who's there?」って叫ばれたことです。
お付き添いの「マツオカ」さんという日本人の女性の方が、
「『誰だ!』と、おっしゃってます。」と通訳してくださり、

あ、ああ、初めまして私、川村祥太と申しまして、広島で…

と語ってようやく私のことを認識してくださって、
間もなくハムレットさんという方のお話をされるんですね。

初対面の初っ端から熱く落語ヨロシク一方的にお話しされるんですけど、
正直、その内容がよく分かんなくて。
「マツオカ」さんが、一言一句懇切丁寧に通訳してくださり、
時折補足を付けてくださるので、お話しされてることはなんとなく、ギリギリ理解できた…かな?という感じで。
何度も「あ、あのごめんなさい今のところ最初からおっしゃって下さいませんか?」とお願いして聞いたりしました。
シェイクスピアさんは快く繰り返しお話し下さって、繰り返しお願いしているのにその熱量は全く衰えず。
でも、内容は分かったり、分かんなかったり。

本来は「端的におっしゃって下さいませんか?」と申せば、もっと噛み砕いて分かりやすくおっしゃって下さると思うのですが、
直観的に、それは野暮なのではないかと。
そのまま複雑で膨大で壮大なお話を必死に飲み込むことにしました。
(そもそもそんな隙もありませんし)


そして今日は、同じようにシェイクスピアさんから「ハムレット」さんのお話をお聞きになった方々の話を聞く会に参加しました。
人によって通訳の方が違うみたいですが、他二人ぐらいは同じ「マツオカ」さんでした。

参加者の皆さんはシェイクスピアさんと何度かお会いになってて、
中にはシェイクスピアさんとは別の方から「ハムレット」さんの話を聞いた、という方もいらっしゃって。

普通、その場にいない人の話をするときって、愚痴とか文句とかが常なはずなんですが、
皆さんはそんなことなく、一人ひとり必死に分かろうと、感じ取ろうとしていました。なんか、心の中の手がシェイクスピアさんに向かって伸びていく感じで。
自分も、あれだけ辣辣と一方的にしゃべられたのに、不思議とシェイクスピアさんの話を分かりたくなって、会の前にも、会の最中にも、自然と色々考えを巡らせてしまいました。

2時間ぐらいの中で、分かった(ような気がする)ことも一部あったけど、意見が分かれることもありました。
それは決して、悩ましいことでも、悲しいことでもなく、
そうやって決めつけないで、シェイクスピアさんの考えに触れる範囲が広がっていくことは、
むしろ豊かな気持ちになることでした。

好きか嫌いか、はさておいて。
僕はシェイクスピアさんの他のお話も聞いてみたくなったし、
知らない人も、
シェイクスピアさんのお話を一度は聞いてみてほしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?