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調和した新たな経済システム

人類社会の豊かさについてこれまで色々と考えてきた。僕は、真の豊かな社会とは、一人一人が自分の情熱を最大限表現できる社会であると考えている。そのような社会を実現するにあたって、「豊かさ」の定義であったり、GDPという指標の限界、そして現代の経済システムの矛盾など様々なことが議論されている。

山口周さんの著書『ビジネスの未来:エコノミーにヒューマニティを取り戻す』には、多くの側面から現代経済の現状と将来のビジョンを分析している。我々は人類史上どの経済的フェーズを迎えているのか、そしてGDPに基づく「成長」という見方は正しいのか、目指すべき人間性に根差した経済社会システムとはどういったものなのか。そして、その実現のために必要な社会制度および我々の心構えについても、わかりやすく説明されている。

現代の経済社会が抱える数多くの矛盾と限界を指摘し、過去に生み出された人間の凝り固まった考え方を解きほぐしてくれる。未来のマクロ的なビジョンを提示するとともに、個人の行動にも言及しているところが非常に共感できる。経済、すなわちお金に対する見方、お金を使う、そしてお金を得るとは本来どういうことなのかがよく理解できる。

この書籍を読んで、経済について、資本主義について色々と考える。我々の経済活動は非常に身近で、誰もが毎日関わっている事象である。この社会のシステムについて数多くの経済学者が論じてきたが、その議論すべき観点はここ200年で出尽くしたと言われている。アダム・スミスにはじまり、リカード、マルクス、J. S. ミル、ケインズ等の知識人によって多くの理論が提唱された。それは、社会の要素となる人間の道徳性から、社会全体を把握する数学的な見方まで非常に幅広い内容に及ぶ。これからの社会を論じる上でも数々の重要な示唆を与えてくれるだろう。

そろそろ本題に入ろう。とにかく新しい経済の仕組みが考案されているということをこの記事ではお伝えしたい。もはやその考えは、「経済」システムと言うには腑に落ちない仕組みとなっている。「経済」という考え方が根本から破綻していることがよく理解でき、そしてその矛盾に満ちた、複雑に絡まり合った紐が一つ一つ解かれ、全てが調和していくように感じる。

沖縄科学技術大学院大学の船井正太郎先生が研究されている内容である。貨幣経済の成り立ちと、現代の経済社会を説明する中で、世の中で何が起こっているのかを非常にわかりやすく解説されている。特に専門的な知識は必要ないので、ぜひこの動画を多くの人に見てほしい。また、上記の山口周さんの書籍を読むと、ここで述べられていることの合理性がよくわかる。

お金とは何か。そしてお金と社会の関係性を「人間は」どのように形成してきたのか。その過程で我々は何かを見誤まり、共同幻想の中に固い信念を持って閉じこもった。その幻想を明らかにしてくれる内容にもなっている。まさに目から鱗とはこのことを言うのだろう。

2021年8月17日

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