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自分自身の人生を歩む

昨年の3月にある映画を見た。『三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実』というタイトルのこの映画からは、三島由紀夫の誠実さと当時の若者の意志の強さを感じられる。今年に入りDVDとして発売されたので、購入して再度鑑賞した。

東京大学の学生とはいえ、非常に深い知性を有した若者の姿を見て、非常に刺激を受ける。当時の全共闘運動は暴力を行使することもあったが、彼らの考えと主張は、それまでに培われた深い知性と教養を基盤としていた。彼らの言動には、自分の人生を蔑ろにしてまで日本を本気で変えようとする覚悟が感じられ、同年代の人間としてその熱情には感服する。

劇中の人物が、「三島由紀夫は、首から上でしか物事を考えない若者は嫌いであった」と発言していた。「地に足のついていない者」のことである。全く同感だ。現代においても、自分の頭で思考し、行動しない若者が多く存在する。自分の中に価値基準を持っていないため、周囲の行動に同調し、安心したいと考えている。彼ら彼女らは、自分自身がそのような思いや感情を無意識に抱いていることにすら気付けていない。

人は生まれて、どこかの時点からか、自分で考えて行動し始める必要がある。しかし、考えるための材料が少なく、大方は他人からの受け売りに過ぎない。その内容は、社会常識を基盤としたものがほとんどであるため、偏った価値観に縛られた人生を歩むことになる。

どこかの時点で、オリジナルな自分の思考を習慣的に育む必要がある。その時点とは、僕の場合は部活をやめ、合気道を始め、本を読み、映画を見ることを習慣とし始めた高校2年の夏であった。その日から培った知識や教養が、自分が物事について考える、思考の糧となっている。

自分の素直な気持ちに従って、何かを始めた時に、やっと人生は始まる。最初も今も、その行動はとても些細なものである。何か大きなことを成し遂げようと、大それたことを考える必要はない。自分の直感から、少しでも興味のあることに着手し、思考を巡らす習慣をゆっくりと身につけていけば良い。

それは周囲の人とは異なる自分だけの人生を歩む、はじめの一歩となる。不安なことも多いとは思うが、同時に楽しいこと、ワクワクすることが無限に広がっていく。ちょっとした思考と行動の積み重ねが、自分の人生を劇的に変化させる。

これからも知識をつけ、日々思考に浸り、直感に従って行動していきたい。そして、やがては三島由紀夫のような、誠実で思慮深く、知性溢れる人間になりたいと思っている。

2021年5月16日

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