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靴作家・森田圭一さんのバックパック

スナワチの仲間が増えていきます。
お取引先から紹介を受けた、神戸の靴作家・森田圭一さん(と書いたけど、神戸っていうと三ノ宮かと思うじゃないですか。須磨やね、森田さん)は、7、8年前になんと私のコラムブログ「月刊ショータ」を読み漁っていたそうで、なんとも奇遇です。
お互い、こんなふうに出会うことになるなんて想像できませんよね。
 
森田さんはご自分の靴ブランドを設立して16年。既成概念にとらわれない自由な発想と独自の視点を大切に、長持ちする靴を手仕事でつくっています。

15才でパンクロックに出合い、高校卒業後はミュージシャンを目指してバンド活動をしていました。ストリートでもよく演奏したそうです。
それだけでは食えないので靴のセレクトショップで働いたところ、パンクロッカーらしく英国のラバーソールブーツに魅入られ、靴の世界へ入っていきます。
昼間は長田の靴メイカーに勤めて靴の製造に従事し、夜は街頭でのパンクロック。結婚をしたけど、家庭を顧みることができずに離婚を経験します。
さらに、そのころ「靴の町」長田は海外メイカーの安価な製品に押されて、苦しくなっていきました。

29才にして音楽の道をあきらめ、8年間勤しんだ靴づくりにも一度は挫折します。
「お前、もうどうせ捨てるもんないんやから、行け」と、会社の先輩にすすめられるまま、森田さんは西成製靴塾に入りました。
意気込んで入塾したもののすぐに鼻をへし折られます。しかし、卒業したらすぐに自分で開業する目標を立てて、修業に勤しみました。

2007年に、須磨海岸の近くにある古い小屋を改装して、自分の工房件店舗をオープンしました。ところが、資金もなく、売り先もなく、古巣である靴メイカーに頭を下げてアルバイトさせてもらうことになりました。
「これでは趣味でやってる人と変わらないじゃないか!」という鬱屈が一年後に爆発して、再び退職。
以降、極貧に陥ります。家賃は滞納、公共料金の催促状が届き、食事は一日一食しか摂れません。

追いつめられた森田さんは、かつてギターを手に立った路上に戻ります。靴づくりの道具を持ち出して、ストリート靴職人となったのです。
もちろん、だからと言ってすぐに靴が売れるわけではなく、汚いものを見るような目つきで見られたり、憐みの言葉をかけられたり、なかなかキツイはずです。
しかし、徐々に話題になり、メディアに取り上げられはじめ、イベントに呼ばれることも増えていきました。

……というのが、靴作家・森田圭一さんのストーリーをかいつまんで述べたものですが、こういう男、私は嫌いになれないんだなぁ。
彼自身が書いた人生経験に関するコラムも熱くておもしろいので、上記の経緯をより深く知りたい、もしくは、這いつくばった“社会不適合者”が立ち上がっていく姿を見たい方はぜひ読んでいただきたいです。

そんな森田さんから今回、私がお見せいただいたのは害獣として駆除された猪のレザーをアッパーに使ったスニーカーでした。
が、これはまた別途ご紹介します。

チラ見せ

森田さんとお会いする前に「これ見たいです」と指定させてもらったのは、「365 BACK PACK」でした。
その名の通り、ビジネスにもプライベートにも365日付き合ってくれそうな、大容量のリュックです。

365 BACK PACK

私個人としては、ビジネスマンがリュックを背負うことには抵抗を感じるのですが、訊いてみると「スマホを持つから手を空けたい」「PCが重たいので便利」などそれなりの理由があるようです。
「であるなら、カッコいいのは許す」と、私は宗旨替えをしました。

レザーはアラスカといって、ワックスフィニッシュされたイタリアンレザーです。使ううちにワックスがとれて、地のブラックが顔を出します。
※アラスカは一枚一枚かなり差異があるため、はじめから黒いものもありえます。

森田氏ご自身が使用しているもの
ワックスは取れたり革に吸収されたりします

背面にポケットがありますが、モノを取るときに一回一回肩から降ろさなくてはならないというリュックの面倒くささを軽減するために、モノが落ちにくく、かつ取りやすいかたちに工夫されています。
これはジーンズのポケットを基にデザインされました。
さらに、右利き、左利きによって、ポケットの切れ込みを反対向きにする指定も受け付けてくれます。 

ジーンズのフロントポケットから発想

フラップが立体型に縫ってあるのも、全体のフォルムを大切にする靴作家ならではの視点ではないかと思います。
荷物が多いときはサイドをスナップボタンで拡張でき、汎用性も高いです。

最後に、森田さんからひと言。
「巷のものに比べ、男性が持っても華奢にみえないサイズ感(W30*H38*D10)なのですが、これがまた女性が背負っても『大きくて可愛い』と、男女問わず楽しんでいただけるバッグです」

そう、365 BACK PACKは、大人が持つに足るリュックだと思います。  

〈愛せるモノを、持たないか?〉
スナワチ
大阪市西区阿波座1丁目2-2
エスリード本町1階
sunawachi.com


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