「子どもに味が濃いものを食べさせてはいけない」本当の理由
【結論】食生活を豊かにするカギは、本当の意味で素材の味を楽しめるかどうか。ということです。
毎日の食事の中で、皆さんはどれだけ「本当の意味で素材の味」を楽しめているのでしょうか。
「本当の意味で素材の味」を楽しめることは、人生を豊かにする秘訣だと思っています。意味なく当たり前にしている食事を、自ら意味を見出し感性を豊かにする食事に変化させ、仕事も私生活も質が向上すると確信しています。
収穫したての新鮮な野菜を、ドレッシングなどをかけずに水で洗っただけの状態で味わって食べる。これが、一つの「本当の意味で素材の味」だと思っています。野菜を咀嚼(そしゃく)するたびに感じるうま味や、舌で味わう後味、新鮮さを感じる食感。これらを丁寧に感じるためには、日常的に濃い味のものを食べないことが重要だと思っています。
この記事では、
「食事の充実が人生の幸福」
「日本食が世界で評価される理由」
「気を付けないといけない日本食の穴」
という話題に触れて、知識としてインプットしてもらって、その意味合いの解釈をしてもらって、最終的に「子どもに味が濃いものを食べさせてはいけない理由」に繋げていきたいと思います。
①食事の充実が人生の幸福
人間の三大欲求の一つは、「食欲」です。他には、睡眠欲と性欲があると言われています。欲というものは、人間に本能的に備わっていて、人類が持続的に繁栄していくために埋め込まれた機能であり、生きていくためにあるべくして存在しているものです。
人類は、大昔から食事を楽しんできました。家庭でコミュニケーションをとりながらする食事、地域の人と懇親を深めるための食事、外交の一つとしての食事など、食事は生命活動を維持する栄養補給としてだけではなく、人生の幸福につながる活動であると言えると思います。
②おいしくないモノを知っていますか?
あなたが最近口にした食べ物で、「マズイ!」と思ったのはいつですか?
もしかしたら、あまり思い浮かばない、最近口にしていないと思う方も少なくないと思います。特に、スーパーに売っている加工食品や総菜、コンビニの弁当などは非常に高いクオリティで「マズイ!」と感じることはないのではないでしょうか。
そもそも、マズイと感じるということは、毒を食べている感覚です。自分の体にとって直感的に良いと思えないものを食べているときにマズイと感じる傾向があるそうです。ただ、「良薬は口に苦し」という言葉もある通りで、すべてがこの例ではなく、五味(甘味、苦味、酸味、塩味、うま味)のバランスで出来ていて、五味などのバランスによって、マズイと感じます。現代では、五味などのバランスを整えやすい
うま味調味料のメカニズムを解説しています。おいしくないものが存在しない理由
③ラーメンは日本食と言われるワケ
ラーメンは「日本食」か「中華料理」か、どちらのイメージか強いでしょうか。海外から来た観光客の方が「おいしいと思った日本食」の第一位は「ラーメン」だったという調査もあり、ラーメンは日本食と言っても良いかもしれません。
日本のラーメンはスープ第一主義
ラーメンの構成要素は大きく3つです。「スープ」「麺」「具材」です。
日本のラーメンは「①スープ」「②麺」「③具材」であるのに対し、
中華のラーメンは「①具材」「②麺」「③スープ」らしいです。
ここから見えることは、「日本はどうやっておいしく食べてもらうか」に焦点を当てているのに対して、「中華は何を食べるか」に焦点を当てていることが推測できます。
ラーメンが日本食である話を掲載しています。
2022年現在、ミシュランの三つ星が一番多い年は東京です。パリに次いで京都、大阪も世界トップクラスに多いです。加えて、和食は世界無形文化遺産に登録されています。世界無形文化遺産に登録された背景は、おいしさだけでない、風土の面の評価が高かったことがありますが、ラーメンが日本食であるような、日本の食文化に対する姿勢の結果であると思います。日本と同じように季節の彩りが豊かで地産地消を意識している中で、ここまでのクオリティの食は類を見ないと考えます。
④うま味を発見したのは○○大学の教授
日本では、かつお節や昆布を使った出汁で料理をしたり、大豆や小麦を発酵させた醤油や味噌で料理をする文化があります。これらは、「うま味成分」がある代表的な食品です。古くから日本人はこれらを口にしているため、欧米など諸外国よりもうま味を感じやすいと言われています。
実は、この「うま味」を発見したのは日本人です。1908年に現在の東京大学の教授である池田菊苗教授が昆布に含まれる「L-グルタミン酸ナトリウム」をうま味成分として発見しました。これは、日本十大発明とも言われています。世界でも「UMAMI」と表記されています。この「L-グルタミン酸ナトリウム」を「味の素」として発売され広くうま味調味料が普及したと言われています。
うま味の発見について解説しています。
うま味調味料については動画でも解説しています。
⑤「白い魔法の粉」で簡単においしく
うま味調味料の普及によって、簡単に家庭や飲食店で「おいしく感じることが出来る」料理が作れるようになりました。うま味調味料が普及する以前は、昆布やかつお節などから出汁をとってうま味を抽出したり、醤油や味噌などの調味料のバランスを考えたり、素材の良さをいかに引き出すか、品質の安定や手間がかかることに労していました。
「うま味調味料」は、ラーメンなどの個人の飲食店、ファミリーレストランなどのファストフード店、スーパーマーケットの惣菜や加工食品、コンビニの弁当など、日常のあらゆる場面で使われています。安価に安定的かつ効果的に食事をおいしくすることが出来るのがうま味調味料であり、日本食のおいしさを良い意味でも悪い意味でも支えているのがうま味調味料です。
うま味調味料の強みについてはこちらで解説。
⑥「味がわからない」ってどういうこと?
うま味調味料の直接的な健康面の不安などに関する話は他に任せるとして、ここではうま味調味料と味覚に関して触れていきます。味覚は刺激を感じることです。刺激は慣れるものです。一定の強さの刺激に慣れると、さらに強い刺激が欲しくなります。うま味も同じで、「過度に強いうま味」を感じることはうま味を感じにくくなる可能性を含んでいます。幼少期から強いうま味の食べ物に慣れ過ぎてしまうと、大人になって会食などに出かけた際に本当の素材の良さがわからないかもしれません。
うま味調味料のリスクもこちらで投稿しています。
では、過度に強いうま味とは、どういうことでしょうか。通常のうま味は、昆布やかつお節などから抽出したうま味です。うま味調味料など、化学的な手法で精製したものは、際限なく味付けに使用することが出来ます。法令で定められている摂取基準もないので、多く使用することも可能です。
実際にラーメン屋さんの厨房を覗くと、大量のうま味調味料をスープに加えているところもあり、「濃いうま味」のある食べ物を口にする機会は増えています。そして、見方によっては日本の食の強みはここにもあるかもしれません。昆布やかつお節から抽出した出汁のうま味と、うま味調味料を使用した際のうま味の違いについては意見が分かれるところですが、このような事実を知ったうえで日常的な食を主体的に選択することが大事であると考えます。
まとめ
今回の記事では、「子どもに味が濃いものを食べさせてはいけない」本当の理由を解説しました。
究極的に言うと、食べさせてはいけないことというより、日々の食事を味わって食べることが出来ると、当たり前の意味のない食事が、意味を見出せる主体的な食事に変化すると思っています。その結果、生産者の方に感謝したり、自分自身の味わい方の変化をつうじて、人生の幸福度の向上につながると思っています。
補足で、うま味調味料の種類について解説していますのでぜひ見てください。