伝える力の裏側(報道問題-補講①)
愛知学院大学('19年度 法学部)入試問題(補講①)
「“勝”手に“小”論文を書く」人、“勝小”です。
(当noteの前提・諸注意等については、こちらの投稿をご参照ください。)
報道問題の補講を始めましょう。
問題と関連記事の保管先
【問題】
【自分がマスコミから取材を受けても、(自分が発言した内容が適宜カットされることなどを通じて)自分の期待通りには報道されないことがあることについて、考えるところを800字以内で述べなさい。】
(お湯先生twitter(@aaiiyudayo)より)
報道問題で書きたかった事
第一段落
本問の基本的なアプローチは下図の通りだと思います。
(本問のテーマに対する意見を決めて、その理由を挙げる)
実際に、私もこのアプローチをもとに解答しています(第一段落)。
第二段落
私の解答(文章)では、上手に表現できませんでしたが、第二段落で述べたかった事項を図にしてみました。
これは、「取材を受けたものが期待した通りに報道されない」ということを“認めない”とする考えの中にも、報道機関の裁量余地(被取材者の回答の編集余地)をどこまで認めるかという議論があると考えたためです。
特に、報道時間や紙面の字数等の制限がある中で、上図における一番下の④とすると、被取材者の回答をそのまま報道する以外認められないということになるため、あまり現実的な対応とは言えません。
そこで「報道機関における品質管理の水準」を目安に、「報道機関に認める裁量余地の幅を決める」考え方があるのではと思いました。
すなわち、報道機関における品質管理の水準が高ければ、認められる裁量の幅は広がり、逆に品質管理の水準が低ければ、裁量の余地は狭まるという考え方です。そして、それは視聴者・読者にとっても望ましい状況になる可能性があります(上図 右表を参照)。
ただし、この考え方はあくまでも、報道機関の内部管理体制が整っており、適切に運用されていることが前提となります。例えば、編集ルールがなかったり、ルールはあるが守られていなかったりした結果、被取材者の意図しない方向に報道されるようなことが頻繁に発生するようであれば、報道機関に広い編集権限を与えることは認めるべきではないかもしれません。
第三段落
「報道の自由」(≒第三者の介入がないこと)を守るためには、報道機関自身が規律正しくあるべきだという趣旨を第三段落では述べました。
報道の自由を、公的機関等が闇雲に規制し制限することは論外かと思います。ただし、同時に報道機関の権利の濫用や不正確な情報が蔓延するような状況になれば、報道機関あるいは報道業界による自己管理が望めず、外部機関による牽制や規制等の導入が議論に上がることは避けられないとも思えます。
上表A~Dでは、Aが理想的かと思います。B以降のルールが導入を検討する議論が上がらないようにするためにも、報道機関・報道業界による自己管理が正しく行われることが望ましい。
と、いうような解答が実際に書きたかった事でした。
あとがき
提出した解答とお湯先生の添削を読み返し、今回の補講編をまとめながら改めて思ったことは…
●「本問で問われていること」と「 私が解答に書きたかった事」が必ずしも一致しているわけではなさそう
⇒
・被取材者の意図しない方向での報道は認められない(+理由)
・なぜそのような報道が起こり得るのか(:原因)
・(上記原因を踏まえて)どのようにしたら防げるのか(:対策)
という骨組みで書いた方が、良かったかもしれません。
●文章のみで説明することは想像以上に難しく、字数制限があるとさらにその難易度は上がる
⇒
今回の補講編は図を多めでまとめてみました。
(図があって初めて伝わるようでしたら、私の文章力不足。図があってもイマイチ伝わらないようでしたら、私の説明力不足。)
何れにしても、まだまだ力不足(≒伸びしろがある?)だということですね。
おまけ
理由の挙げ方(参考)
自らの主張(今回の場合は「取材を受けたものが期待した通りに報道されないことが認められない」という主張)の理由の挙げ方をご紹介します。
※あくまで私の考え方であり、正解かどうかは別の話となります。
今回は下図のように登場人物を3つに分けて、それぞれの登場人物から1つずつ理由を挙げるようにしました。
報道機関における裁量余地の補足
前述の「報道機関における裁量余地」について、4段階に分けた図を用意しましたが、特段深い意味はなく、3段階に分けても良かったと思います。
4段階に分けた結果、2段階目と3段階目の違いが分かりにくくなってしまったとも思いましたので、一応補足の図を用意しました。
②と③で共通しているのは、被取材者の抱く考え(結論)は変えないというところです。違いは、その考えに至る“理由”の取扱いにあります。
②:理由を編集により変えることを認める
③:理由を編集により変えることを認めない(割愛する程度は可)
例えば、『あなたの好きな動物は何ですか?』と取材を受けた時に…
被取材者の結論:「猫です」
理由 A) 見ていて癒される
理由 B) 犬は苦手
理由 C) 突然セミを捕まえてきて驚かされる
だったとします。
これを、③では…
理由 B) 「犬は苦手」を、犬好きの視聴者(または読者)等へも配慮し、編集でカットすることは認める。
②では、③に加えて…
理由 C ) 「突然セミを捕まえてきて驚かされる」を、
理由 C’ )「自由気ままな行動が好き」に変えることを認める。
ようなイメージです。
※すべては私の想像上の「編集現場」での出来事であり、実際の編集現場ではこのような議論はないかもしれません。
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