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Laufey 『Everything I Know About Love』

現在8月28日になったところ。一昨日リリースされたLaufeyのアルバムがほんと〜〜に最高だったので、感想を書き殴りたくなってしまいました。

Laufeyはアイスランド出身、23歳のシンガーソングライター。中国系の母方の祖父がバイオリンの教育者、同じく中国系の母親はバイオリン奏者、アイスランド系の父親はジャズの愛好家という音楽一家。幼い頃から母親にピアノとチェロを教わり、母親の影響でクラシックを、父親の影響でジャズを聴いて育ったのだそう。

その後チェリストとしてバークリー音楽大学に入学。在学中の2021年にEP『Typical of Me』をリリースして、一昨日、この1stアルバム『Everything I Know About Love』をリリースしました。

アルバムリリースの際に投稿されたinstagramのメッセージが、彼女のアルバムの特徴を端的に表しています。

"This Album is for my old souls, fellow romantics who live through every moment of life like it's a scene in a movie."  

彼女のinstagram(@laufey)より

「人生の一瞬一瞬を映画のワンシーンのように生きるロマンチストの仲間たちのためのアルバム」とな…

まさにそんな感じで、映画のワンシーンのような描写が続くアルバム。別れたパートナーと中華料理店で餃子を食べた思い出だったり(「Above the Chinese restaurant」)、地下鉄で見かけた美しい人に恋をしたり(「Beautiful Stranger」)。

ちなみに彼女のTwitterの投稿によれば、「Beautiful Stranger」の歌詞は実話、というか本当にそういう男性がいたのだそう。




まずボサノヴァテイストの先行曲が本当に良いです。年上のパートナーとの関係が上手くいかず苦悩する「Fragile」、みんな恋人できてるのに私だけ遅れをとっていると嘆く「Falling Behind」。コーラスと軽やかなリズムの組み合わせが最高ですね。

そしてタイトル曲も先行公開されてました、「Everything I Know About Love」。バッハのG線上のアリアの旋律から始まるのが印象的な佳曲です。

アルバムは先行曲「fragile」から始まり、先述の「Beautiful Stranger」から、「Above the Chinese Restaurant」へと続きます。いつか出会うであろうソウルメイトへ向けた手紙のような歌詞が印象的な「Dear Soulmate」も良い曲。  

中盤は、ジャジーな「What Love Will Do to You」や、ジャズのスタンダード「I've Never Been In Love Before」のカバー、Chet Bakerの「I fall in love too easily」のように簡単に恋に落ちてしまう自分を嘲るような歌詞が特徴的な「Just Like Chet」などが続きます。「I've Never Been In Love Before(私は今まで恋をしたことがない)」の歌詞、Laufeyの歌詞のテイストとかなり似てるので、最初に聴いた時はカバーだと気づきませんでした。

そこから先行曲2曲を挟んで、ギターのみの弾き語り曲「Hi」、オールディーズのようなコーラスが特徴的な「Dance With You Tonight」。特に後者の曲、ピアノのぼやけた音色が「飲みすぎて踊れない」という視界が朧げな歌詞とマッチしてて良いですね。

そして「Night Light」。引っ越しを前に、幼い頃からの思い出がこもったレイキャビクの自宅での穏やかな日々を想起する様な歌詞でしょうか。サビのLaufeyの厚みのある歌唱とコーラスが素晴らしく、間奏のストリングスが入る瞬間も感動的です。アルバムのラストをこの優しい子守唄の様な曲が包み込んでくれるのが最高ですね。ビートルズのホワイトアルバムが「Good Night」で終わるような感じというか。

ちなみに、おそらくこの曲がアルバムの最後の曲で、サブスクにあるシングルの「Valentine」はボーナストラックのような扱いだと思います(LPだと「Valentine」は未収録みたいです)。

※9/3 追記
「Valentine」が「Night Light」の後に来ていたバージョンはサブスクから削除されて、現在は「Valentine」が3曲目に入っているもののみが残っているようです。



前作のEP『Typical of Me』(2021)は、セルフリリースということもあってベッドルームポップ的な雰囲気の漂う作品でしたが(こっちも最高!)、本作は前作のようなプライベートな雰囲気のある楽曲だけでなく、軽快なリズムが心地良いボサノヴァテイストの楽曲も加わり、よりサウンドの幅を広がっています。また、自然の中に佇むアルバムジャケットから窺える開放的な雰囲気が示しているように、前作よりも風通しの良いアルバムになったような印象を受けました。

あとめちゃめちゃ歌が上手い…。大人びた艶のある歌声で、安定感もある。ジャズヴォーカルにぴったりの歌声だと思います。

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