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「遺体は貨物」受け取りに行ったのは、空港の貨物エリアだった。

文春オンラインで『ドキュメント「国際霊柩送還士」』として、遺体の霊柩送還について書いた記事が公開されました。ここまで書いてきた話の続きにです。
こちらになります。


アメリカ映画では、星条旗をかけられた棺が軍用機から降ろされ、正装した数人の兵士がそれを運ぶというシーンがある。
遺体が尊厳をもって迎えられるという象徴的なシーンだが、通常の霊柩送還ではこうはいかない。

民間人の遺体が民間機で送還された場合、安全上、家族が飛行機の発着エリア内に立ち入ることは許されない。
飛行機のそばまで行って、遺体を迎えたいと思っても、できないのだ。

遺体は貨物と聞いた瞬間、ものすごい違和感を感じた。
物理的に遺体は物だが、そこに身体がある限りまだ者だったのだ。

貨物である遺体を受け取りに行ったのは、貨物エリアだった。
青物市場や水産物市場の駐車場をイメージしてもらえばいいだろう。
段ボールや発泡スチロールの箱が山積みされ、トラックが行き交う場所の一角に、遺体は運ばれていた。
 

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