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【短編小説】猫

夕暮れ時、小さな町の中心にある公園で、少女のカエラは元気いっぱいに猫を追いかけていた。猫はカエラの足音を感じると、しっぽを高く掲げて逃げ出し、カエラはそれに付いていく。公園の中を駆け抜け、木々の間を縫うようにして駆ける。

猫は細い小道に入り、カエラも追いかける。小道は急なカーブを描き、猫はカエラを巧みにかわしながら先を行く。夕日が西の空を染め、木漏れ日が小道を照らしていた。カエラは息を切らせながらも、猫を追いかける。

突然、猫は小道の終わりにある古びた家の庭に飛び込む。カエラはその後を追うと、そこには美しい庭が広がっていた。花々が風に揺れ、鳥たちが歌い、小さな池には金魚が泳いでいた。

そして、庭の中央には猫が立っていた。猫はカエラに向かって尾を振り、静かに見つめていた。カエラは息を整えながら、その美しい庭と猫の姿に感動した。彼女は猫に手を差し伸べ、そっと撫でた。

そのとき、庭の奥から声が聞こえてきた。「カエラ、夕食の時間よ!」

カエラは母親の声に答え、猫に別れを告げて庭を後にした。彼女の心には、この小さな冒険の思い出がずっと残っている。

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