約束の再会(筆者:あおいみかん)
何気ない出会い
交差点、右側の横断歩道の前に立つ人に気付き、ぼくは車を止めた。
あなたは軽く頭を下げ、足早に横断歩道を渡った。
目の前を通り過ぎるあなたの姿を見ているぼくの脳裏に、一瞬何か映像が浮かんだような気がした。
それは、あまりにも一瞬だったため、何かはわからなかったが、とても大事なことだということを、ぼくに伝えているように感じた。
何かを感じた刹那
あなたが横断歩道を渡り終わるのを待って、ぼくは左折した。
そして、ぼくはあなたを見た。
あなたもぼくの方を見た。
目があった刹那に、何かを感じた。
「ん!?」
サブリミナルのようなその出来事に、なすすべもなく、ぼくはアクセルを踏んだ。
約束の人
その夜、布団に横になっても、その時のことが頭から離れなかった。
そしてぼくは、もし、「生まれ変わりがあるとしたら」って考えた。
もしも、あなたが、
「いつの日か生まれ変わっても、必ずキミを探し出す」
と誓い合った約束の人だとしたら……
もしそれが、本当に約束の再会だったとして、約束の記憶のない二人が、どうやってその約束に気づくのだろう?
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
果たされない約束
すれ違いざまに目があった時とか、何気ない一瞬に、何かを感じる経験が、今までに何度かある。
それは、言葉では上手く表現できない。
そして、そういう瞬間は、得てして、言葉も音も失い、時には色さえも失って、まるで二人以外の時が止まったように感じる。
もしそれが、約束の再会だったとしても、きっと、思い出すことはないんだろう。
その古の約束を……。
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