実写化を熱望! 期待の新世代ヒーローがアッセンブルする『ヤング・アベンジャーズ』の魅力
2008年の『アイアンマン』から始まったMCUの歴史も、今年で14年目。映画やドラマには、そのレガシーを引き継いでいくと思しき若手ヒーローが続々と登場しています。
まず記憶に新しいのがDisney+のドラマ『ホークアイ』に登場したケイト・ビショップ。さらに5月公開の映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場予定のアメリカ・チャベス、ドラマ『ミズ・マーベル』の主人公カマラ・カーン。これからのMCUでは、若手のヒーローたちがますます目立っていきそうです。
そう遠くない未来に、彼らがチームを結成するんじゃないか……なんて予想もファンの間ではされているのですが、実はコミックでは彼らの一部は既に「ヤング・アベンジャーズ」というチームで共に活躍しています。今回はそんなチームの結成を描く『ヤング・アベンジャーズ:サイドキックス』の発売に合わせ、そのメンバーとチームの歴史を解説いたします!
文:傭兵ペンギン
ヤング・アベンジャーズ結成!
「ヤング・アベンジャーズ」はコミックの歴史から見ても比較的若いチームで、その初登場は2005年。なんだかアイアンマンによく似たハイテクアーマーを身に着けた若きヒーロー「アイアンラッド」によって集められたヒーローチームです。最初期のメンバーはキャプテン・アメリカの相棒バッキーのような格好をした「パトリオット」、ソーのように空を飛び雷を操る「アスガーディアン」、そしてハルクみたいなルックスの「ハルクリング」といった構成でした。
初登場号の表紙には「君たちの想像とは違う奴ら……!」なんて言葉が書いてあったりする通り、最初の4人は実はその見た目やパワーからはちょっと想像がつかないかもしれない特殊な経歴の持ち主です。
まず「アイアンラッド」はタイムトラベルして現代にきた未来人で、その正体は後にファンタスティック・フォーなどの宿敵となる「征服者カーン」となるナサニエル・リチャーズの若き日の姿。未来のヴィランがなぜアーマーを着て戦うヒーローとなったのか……というのが『ヤング・アベンジャーズ:サイドキックス』のメインのストーリーとなっています。
ナサニエル・リチャーズはドラマ『ロキ』に登場済みで、カーンは映画『アントマン&ワスプ: クアントゥマニア』に登場が決まっているので、若い姿で映画/ドラマに出てくる可能性もあるかも……?
そして「パトリオット」はキャプテン・アメリカっぽい雰囲気ですがスティーブ・ロジャース関連の人物ではなく、彼に使われた超人血清を再現するための人体実験に参加させられ超人となったイザイア・ブラッドリーの孫イーライ・ブラッドリー。
彼は既に祖父と共にドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場済み。より詳しくこちらの記事で紹介しております。
一方、「アスガーディアン」は名前こそアスガルド人と名乗っていますが、アスガルド人でもなんでもなく、自分の願ったことを実現する呪文を使う能力を持ったビリー・カプラン。後に「ウィッカン」と改名して活動し、そちらの名前で知っている人が多いはず。
実は彼はスカーレット・ウィッチの息子ビリーの生まれ変わりであることが判明するキャラクターとしても有名。ドラマ『ワンダヴィジョン』には(前世?)のビリーが登場して既にパワーを発揮しているので、もしかすると生まれ変わりのビリーも実写化されるかも?
「ハルクリング」もまたハルクとは一切関係なく、身体を自在に変化させることのできる能力をもったいわゆるシェイプシフターであるテディ・アルトマンで、ハルクのパワーを模しているだけ。
そして彼もビリーに負けず劣らずすごい生い立ちで、クリー帝国出身のヒーローであるキャプテン・マーベル(マー・ベル)とスクラル人の姫との間に出来た子供であることが後に判明し、その出自から壮大な戦いに巻き込まれていくこととなります。まだ実写版には未登場ですが果たして……?
ちなみにビリーとテディは共に活動していく中で恋に落ち、「ヤング・アベンジャーズ」は彼らの関係の行く末を描いていくシリーズともなっていきます。
と、こんな初っ端からすごい構成の面々ですが、彼らに助けられるはずが逆に助けたケイト・ビショップと、「ヤング・アベンジャーズ」の存在を聞きつけてやってきたキャシー・ラング(当時死亡していたアントマンことスコット・ラングの娘)が加わっていきます。
キャシーは映画『アントマン』シリーズに登場済みですが、果たして『アントマン&ワスプ: クアントゥマニア』でコミックのように身体のサイズを変えて戦う能力を持つヒーローになるのかは楽しみなところ。
そしてチームとしてしばらく活動してから、さらに「スピード」ことトミー・シェパードが加わります。彼はクイックシルバーのように超高速で移動するパワーの持ち主で、実はその妹であるスカーレット・ウィッチの息子トミーの生まれ変わり。要するにウィッカンと前世(?)では兄弟という関係。というわけで彼も『ワンダヴィジョン』に登場済みですね。
それから大イベントであった「シビル・ウォー」など壮絶な戦いを何度も経験し、だいぶ辛い目に合いながらも、立派なヒーローチームへと成長していきます。
その後のヤング・アベンジャーズ
それから2013年に『ヤング・アベンジャーズ』誌が再始動。実質解散状態だったヤング・アベンジャーズは、キッド・ロキがウィッカンのパワーを手に入れようとしたことがきっかけで再集結する形で活動を再開します。そこに新たなメンバーとしてキッド・ロキや先述のアメリカ・チャベス、さらに超人的なパワーとハイテク装備を持つクリー出身のヒーローの「マーベル・ボーイ」や元X-MENで他人の知識と技術を借りるパワーを持つ「プロディジー」が加わり、時空を超えた戦いを繰り広げていくことに(こちらのストーリーの前半部分はヴィレッジブックスから邦訳版が刊行された『ヤング・アベンジャーズ:スタイル>サブスタンス』に収録)。
キッド・ロキは凄くかいつまんで説明すると、ロキが一度死んで若返った姿(詳しくはこちら)。ドラマ『ロキ』に多元宇宙のロキの一人として似たような年齢のキャラクターが登場していましたね。
「ミス・アメリカ」ことアメリカ・チャベスは超人的な腕力と耐久力、飛行能力に加え次元を蹴破って移動する能力を持ったヒーロー。今後の映画のネタバレになりそうなので、ここではそのオリジンは割愛しますが、次元を移動する能力を持つあたりで『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に絡んでくるのでしょう。
そして2014年にこの新シリーズが終了。チームとしても解散し、それぞれのメンバーは個々に活動している他、その一部はケイト・ビショップとクリント・バートンが再始動した「ウエスト・コースト・アベンジャーズ」の一員となりました。
ちなみに『ヤング・アベンジャーズ』新シリーズを担当したライターのキーロン・ギレンとアーティストのジェイミー・マッケルビーはこの後、『The Wicked + The Divine』を発表し、2回アイズナー賞にノミネートされるほどの高評価を獲得しました。
ヤング・アベンジャーズじゃない若手ヒーローたち
ここでお気づきの通り、実写ドラマが展開予定の「ミズ・マーベル」ことカマラ・カーンはヤング・アベンジャーズの一員ではありません。しかしながら、彼女は別の若手ヒーローチーム「チャンピオンズ」の主要メンバーの一人として活躍しており、MCUで若手ヒーローチームが結成されたら、そこに加わっても不思議ではありません。
また、映画『ブラック・ウィドウ』で初登場を果たしたエレーナ・ベロワも、コミックでは若手ヒーローではないんですが、ドラマ『ホークアイ』ではケイト・ビショップとの絡みでいい味を出してたこともあり、もしかするとMCU若手ヒーローチームが結成されたらそこに加わっていくかも……?
『ヤング・アベンジャーズ:サイドキックス』
と言った具合で、歴史としてはそこまで長くないものの多彩な面々が参加しているヤング・アベンジャーズ。実写化されるかどうかはまだ一切正式な発表はなく、まだファンによる妄想の域を出ていないのですが、実写化したらきっと楽しいのでぜひとも実現してほしいところ。
それが正式に決まるまでに、コミックを読んできっとこれからMCUでも共演していくと信じたい若きヒーローたちの活躍をチェックしてみてはいかがでしょうか。
2月25日に発売予定の新刊『ヤング・アベンジャーズ:サイドキックス』は、そんなヒーローチームの誕生秘話を描くストーリー。大人のアベンジャーズが解散状態の中、突然現れたヒーローたちという始まりなので、とりあえず読み始めやすいのがいいところ。危なっかしい若者たちと彼らを心配してやってくる先輩ヒーローのキャプテン・アメリカ、アイアンマン、そしてジェシカ・ジョーンズの共演も見どころの一つ。
ちなみにライターのアラン・ハインバーグはTVの脚本家がメインだったのですが、これをきっかけにコミック業界でも活躍を始め、DCコミックスでジェフ・ジョンズの「JLA(ジャスティスリーグ)」に共著で参加し、後に映画『ワンダーウーマン』の脚本も担当し、Netflixで配信予定の『サンドマン』の制作に加わっています。
一方、ペンシラーのジム・チャンは、当時期待の新人アーティストとしてマーベルに推された「ヤング・ガン」の一人として広く活躍を始め、様々な作品を手掛ける大物となっていきました。この『サイドキックス』でもその才能が遺憾なく発揮されています。
とにかく、MCUの展開の先取りになる……かどうかはまったくわからないですが、今読んでおきたい一冊です!(『ヤング・アベンジャーズ: スタイル>サブスタンス』は個人的には併せてオススメしたい一冊。 だいぶノリが違うので比べて読むと楽しいですよ!)