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石田夏穂著「我が友、スミス」を読んで

久しぶりに、小説を一気に読み終えてしまいました。面白かった...

芥川賞候補作にもなった石田夏穂さんのデビュー作「我が友、スミス」。ボディビル大会を目指す社会人女性を主人公にした異色の小説です。

ボディビルの世界を描いているためか、フィットネス•健康情報誌のTARZANでも紹介されていました。自分も筋トレを日課にしていることから興味を持って書店で購入したのですが、遅読な方である私にとっては珍しく、翌日には読了しました。

内容の詳細には触れませんが、日頃からジムでトレーニングに励む方々にとっては、「うわ、わかる〜」と感じる小説なのではないでしょうか。
筋トレを始める動機は人それぞれだと思うのですが、主人公U野の「別の生き物になりたい」という感情は、程度の差こそあれ、自分を変えたいと思って筋トレを始めた自分自身に重ね合わせて、すごく共感できました。

また、ボディビルの世界を描くと同時に、ジェンダーとは、女性らしさとはというテーマも描かれていたり、コンテストに真剣に取り組むなかで周囲の好奇な目や家族との価値観の違いで衝突したりして主人公が葛藤する様子がリアルに描かれています。フィクションではあるのですが、さながらドキュメンタリーのようでもありました。
ちなみにインタビュー記事によると、著者の石田夏穂さんは数年前に自身がジムに通うなかで、ビルダーの方たちが大会に向けて取り組む姿に興味を持ち、この小説を書こうと思ったそう。取材はしているとしても、ここまで仔細な描写をできるのはすごい...

もちろん筋トレをしていない人でも、楽しめる内容だと思いますし、何かに打ち込んでいる社会人の方にとってもすごく共感できる小説だと思います。気になった方はぜひ読んでみて下さい。




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