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『プロサッカー選手でいること』は自分にとって何よりも大事なことであるか。

皆さんこんにちは。

ドイツはコロナの感染者が依然として多く、年が明けてからルールがさらに厳しくなり、レストランや店に入る際にブースター接種の証明か、その日のコロナテストの陰性証明を見せなければ店の中に入ることすらできません。

僕はまだ3回目のブースター接種が終わってなくて、練習参加する際も陰性証明が必要なので、毎日鼻の穴に棒をぐりぐり突っ込まれる生活を送っています。
ここで生きていくためにはしょうがないんですけど地味にめちゃくちゃストレスです。

報告


さて、今日はまず一つ報告があります。

先月の1月末にドイツ4部のチームと契約しました。

本当はもっと詳しく、チームのリリースと同時に発表するつもりだったんですが、今のところ僕が外国人であるが故にリーグへの登録などが済んでなくて正式にリリースがまだできないので、4部のどこかのチームと契約だけはした、としておきます。
要するにチームとの契約は完了したけどビザやリーグへの登録などが完了していないという状況です。
ただ、今の自分の状況が言えないとnoteも書きずらいし、各SNSも更新しづらいので、とりあえずこの報告までにさせてもらいます。笑
本当は、このnoteは契約してすぐに、書き終えていたんですが、契約の関係上まだリリースできず、それを発表できるのが今の所、正確にいつになるかわからないので、修正して投稿しています。
今日のnoteはいつもより長くなりそうです。笑

ここへ来た当初の目的であった、4部のチームとの契約には至ったわけですが、正直喜ばしいという気持ちよりは、崖っぷちのスタートラインにギリギリなんとか立てたなという気持ちと、この二ヶ月間は本当に、本当に難しい時間だったなというのが今の正直な気持ちです。

何が難しかったという理由は本当に沢山ありますが、シーズン途中であること、サッカーのスタイルが全く違うこと、ウインターブレイクが一ヶ月ほどあり、その間は練習がないので練習参加できないこと、どこのチームに行ってもとりあえずは二日間しか練習参加させてくれないこと、練習試合などがないこと、日本でのキャリアなんてドイツ人からしたら全く関係ないこと、自分のポジションでプレーさせてもらえるかわからないことetc…あげていったらきりがないし(本当に)、ドイツに来る前から難しい挑戦になるだろうということはわかっていて、覚悟の上で来たとはいえ、実際はそれ以上に難しいと感じるものでした。

もちろん僕自身の実力不足も大いにあるし、チームの中で誰がどう見ても、ずば抜けた実力の持ち主であれば、契約を勝ち取るのは簡単かもしれません。

まぁしかし、ここでずば抜けた実力を発揮できるようであれば、そもそもここにいないので、要するに常にギリギリの戦いだった、ということです。笑


そして僕はこの二ヶ月間で4チームの練習に参加したわけですが、基本的に僕の場合はどこのチームも最初は二日間しか練習参加は許されず、そこでインパクトを残せれば、もう少し猶予を与えてくれるといった感じでした。

しかし、練習時間が全体で90分だとしたら、評価する側にアピールできる時間というのは練習の最後に行われる10分あればマシくらいの紅白戦しかないので、二日間の練習のみでアピールするというのはかなり難しいです。

紅白戦までのウォーミングアップやパス回し、戦術練習やそれ以外の練習も監督やコーチは勿論見てはいると思いますが、基本的には紅白戦で何ができるかでしか評価されないと思います。
そしてその紅白戦で自分が得意とするポジションでプレーできるかもわかりません。

勿論、どこのポジションであってもそこで何ができるかを考え、全力でやることでしか次に繋げることはできないですし、そんなことは当たり前です。
ただ練習生である以上、今契約している選手より良いものを見せなければ基本的に契約を勝ち取れません。

そうなるとドイツ4部といっても、ドイツ2部に現役の日本代表選手たちが多くいることからわかるように、その二つ下にあたる4部は全然レベルは低くないし、自分の得意とするポジション以外で本職の選手に勝る違いを見せるというのは相当にハードルが高いです。

そういう意味では、僕が契約したチームは練習参加一日目に、練習生主体の紅白戦を長めにやったため、他のチームに比べてアピールできる時間が長かったのも契約できた要因かなと思います。

そしてこのコロナ禍で、いつ練習参加できるかわからない状況でコンディションを維持するという作業も本当に難しかったです。

そしてリミットである一月を過ぎてしまえば登録ができず、ゲームオーバーです。

その間にも Webデザインのインターンや、アパレルの仕事などもやっていたので、肉体的にだけでなく、精神的にもかなりハードでした。

そして契約はなんとか勝ち取れたわけですが、正直プロサッカー選手と呼べる条件ではないし、そこも含め本当に葛藤しました。

プロサッカー選手でいること


まずプロサッカー選手の定義が人それぞれ違う可能性があるので、ここでは自分の生活全般を補える金額をプレーすることのみによって得られる、と定義しておきます。

僕が提示された条件はそれ以下でした。

そして時間的に猶予がなかったので僕に残された選択肢は、その条件を受け入れてここでプレーするか、どこか他の国に活路を見出すか、日本に帰るかの三つでした。

そして僕はここに残る選択をしました。

洋服のビジネスや、Webデザインのインターンなどから得られるお金で生活することは十分できるし、前述したように色んなことを覚悟してここに来たわけですが、正直残り少ないプロサッカー選手としてのキャリアを、日本にいれば十分な給料をもらってプレーできるにも関わらず『ここまでして、やる価値があることなのか』と今やってることを疑う瞬間もあったし、

『なんのためにわざわざこんなことをしているんだろう』

と思う時もありました。
リターンの確約のない自分の将来への投資は、言葉にするのは簡単でも、いざその状況になると受け入れるのは本当に難しいものです。

でも、それでも踏み出す一歩に価値があると思って、僕はやっと崖っぷちのスタートラインに立ちました。
苦しんだからこそ、この投資を回収するため、意味あるものにするための覚悟ができました。

そして僕は、僕にとって『プロサッカー選手でいること』はそれほど大事なことなのか?ということを深く考えました。

僕にとって『プロサッカー選手でいること』は小さい頃からの目標であったし、16歳でプロになってからも誇りを持って守ってきた職業ではあったと思います。

しかし、それもいつかは必ず終わりが来るし、『プロサッカー選手でいること』は自分の人生の中の要素の一つであって、自分の信念を捨てて、守るほどのものではないという考えに至りました。

その気持ちはもし、これからサッカー選手として結果を出して沢山お金をもらえる状況になって『プロサッカー選手』に戻っても変わらないと思います。

自分が現状、
『守らなくてはいけないと思ってるもの
『価値があると思ってること』
それらは、もしかしたら自分にとってそれほど大切ではないものもあるかもしれません。

そして、その『大切なものを失う瞬間』が、能動的に訪れようが、受動的に訪れようが、その瞬間こそが新しい自分をひらくチャンスかもしれません。

大事なことはその瞬間をどういう気持ちで迎えることができるか、そして『失うこと』を恐れないことができるかだと思います。

偉そうにいうつもりは全くありませんが、これはこれからプロサッカー選手を目指す人たちや子供たちにとっても大事なことなのではないかと思います。

勿論、プロサッカー選手という職業は人に夢や希望、感動を与えることができる素晴らしい職業だと思います。

ただ、手に入れたものはいつか失くなりますし、例えプロサッカー選手になってスーパースターになってもいつかはプロサッカー選手ではなくなります。

その時に、その人の人生にとってそれが全てだったという人生にはしてほしくないと思います。

僕が言いたいのは、セカンドキャリアの準備をしろとか、サッカー選手でいる間に何か他のことをやれとか、そういうことでは全くありません。

そんなのは人それぞれで、「これをやっておけば大丈夫」なんて正解はないです。

大事なことは、自分にとって何が本当に大切なのか、今自分が大切だと思ってることは本当に自分にとって大切なことなのか、を考え常識を疑うことができるかだと思います。

『失うこと』を恐れず捨てまくった自分がこれから先どうなっていくのか自分でも楽しみです。笑

前に進んでいきましょう。

ではまた。




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