Shonan iPark

神奈川県藤沢市にあるサイエンスパークです。ライフサイエンス、オープンイノベーション、エコシステムなどに関するコラムを発信していきます。

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神奈川県藤沢市にあるサイエンスパークです。ライフサイエンス、オープンイノベーション、エコシステムなどに関するコラムを発信していきます。

最近の記事

2024-11-11【The Annual Meeting of Japanese Biomedical Society】

筋ジストロフィーは原因遺伝子の違いにより60種類以上のタイプがあります。その中でも福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は日本人に多く、重度の筋ジストロフィー、脳異常、眼の合併症を特徴としています。原因遺伝子は第9染色体上のフクチンですが、その産物は長い間不明でした。 先週、日本生化学会の年次大会にお招きいただき、希少疾患に対する医薬品開発の現状について講演しました。そこで愛媛大学の金川基教授のご講演を拝聴し、筋ジストロフィーの原因が細胞内だけでなく、細胞外にもあることを

    • 2024-10-28【Source of New Companies】

      iParkは、多くの企業の研究者の多くのアイデアが交差する場所です。現在、多種多様な事業領域を持つライフサイエンス企業が120社以上入居していますが、一方で驚くほど多くのニーズが企業間で共通しています。こうしたニーズを持つ企業からの要望を受け、アイパークは日本VCコンソーシアムなどのコンソーシアムを形成しているほか、iD4(創薬スクリーニングのために疾患特異的iPS細胞を企業に提供)や新湘南ウェルビーイング協議会(地域住民や訪問者の健康を増進)など、さまざまな形態をもった新会

      • 2024-10-21【Moderna】

        モデルナ社がアイパークへやってきます。ステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は先週の記者会見で、アイパークに新しいmRNA製造施設を建設する計画を明らかにしました。神奈川県知事、藤沢市長、厚生労働省や経済産業省の課長、田辺三菱製薬(ワクチンのコ・プロモーションで提携)など関係企業の幹部など、多くの関係者が招かれ、アイパークで世界的製薬企業による製造拠点の設立を祝いました。このプロジェクトは、日本政府による国産ワクチン生産能力強化の一環として、経済産業省から資金援助を受け

        • 2024-10-15【BioJapan 2024】

          「iParkへようこそ!」 と先週何度来訪者に声をかけたことでしょう。台湾の国立研究機関、韓国の自治体、大手バイオ製薬会社の代表団が、iParkのネットワーク企業との提携の機会を求めて大勢やってこられました。彼らは世界中からバイオ関連の産学官が一堂に会する業界最大のイベント、BioJapanに参加するために来日し、その足でiParkを訪れていました。驚いたのは外国人の来場者の多さです。これは、コロナ禍後の国際交流の活性化(いわゆるリベンジ旅行)と、最近の日本の創薬エコシステム

          2024-10-07【Patent as a roadblock for innovation】

          AMEDは定期的に支援するプロジェクトの研究者たちを招いて、研究交流会を開催しています。先週、わたしはその交流会で、「どうする?!にほんのゲノム編集」と題したパネル討議に登壇しました。CRISPR Cas9を巡る特許問題が、日本のゲノム編集技術の開発にどのような影響を与え、回避できるのかを討議することを意図したものでした。知財の専門家でもなく、企業で細胞遺伝子治療薬の取引を担当しているわけでもない門外漢の私が、いったいなぜこの討論会に呼ばれたのか不思議に思い、またいつものよう

          2024-10-07【Patent as a roadblock for innovation】

          2024-09-30【French startup ecosystem】

          先日、在日フランス商工会議所主催の、ヘルスケア会議のパネルディスカッションに招待されました。これまでフランスのエコシステムとの接点がほとんどなかった私は、果たしてどれほど議論することがあるのだろうかと疑問でしたが、それは杞憂でした。「同じような人口構成(高齢化社会)、持続可能な医療制度への懸念、医療スタッフの不足、研究開発投資の必要性。フランスと日本には多くの共通点があります」。フランス大使館の経済参事官は挨拶でそう述べられました。また、両国は同様に長年の経済停滞を経て、スタ

          2024-09-30【French startup ecosystem】

          2024-09-09【Essays on Identity】

          今、心理セラピストを描いたイギリスのフィクション小説を読んでいます。彼は幼少期に父親から虐待を受けたために、自分自身に精神的トラウマを抱えています。幸運にもある心理セラピストとの出会いのおかげで、彼は自分のトラウマから解放されて、人を助けるために自分もその職業を選びました。治療の間、そのセラピストがしたことはただ話を聞いて、苦痛を彼と共有することだけでした。何年にもわたる虐待の結果、彼は情動に乏しく無感動になっていたのですが、ある日、そのセラピストと無表情で話していると、彼女

          2024-09-09【Essays on Identity】

          2024-09-02【Progress of iPark】

          アイパークの顧客満足度調査にはもうご回答いただけたでしょうか?わたしたちは毎年この時期に、みなさんの声をお聞きして、今後の運営の改善に役立てています。これまで調査の結果にお応えするかたちで、会議室の増室、ITの接続環境の改善、バス会社へ通勤バスの増便を要望する、など行ってまいりました。施設や環境の制限によりすべてのご要望にお応えすることはできないかもしれませんが、今後もできることを改善していくつもりですのでよろしくお願いいたします。 アイパーク社内でも四半期に一度、すべての従

          2024-09-02【Progress of iPark】

          湘南アイパークサイエンスアドバイザーコラム「如何に日本型創薬イノベーションを起こすのか?」

          京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 主任研究員 T-CiRAプログラム 堀田プロジェクト PI 湘南アイパークサイエンスアドバイザー 堀田 秋津  次世代の創薬のために革新的なアイデアやイノベーションが必要なことは、製薬業界に関わる皆さんも良く認識されていると思います。しかし、日本発のイノベーション成功例が欧米に比べて少ないことは、様々な統計でも示されていますし、特に米国との熱量の差は自分も日々感じている所です。 米国でイノベーションが得意な理由として、世界中から

          湘南アイパークサイエンスアドバイザーコラム「如何に日本型創薬イノベーションを起こすのか?」

          2024-08-26【Japanese drug discovery capability】

          先日、アイパークにおられるスタートアップの社長さんから、循環器系の新薬パイプラインに興味を持ちそうな企業を紹介してくれないかと聞かれました。「大企業はこのような一般的な疾患から遠ざかっているので、難しいとは思いますが...」と申し訳なさそうに言い添えて。たしかにそうですが例外もあります。例えばノボ社やリリー社の肥満治療薬は、生活習慣病に関連する心血管疾患治療薬のすべてを絡めとり、今では大手企業や無数のスタートアップが後を追っています。高脂血症の治療は、何十もの原因メカニズムに

          2024-08-26【Japanese drug discovery capability】