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恋リア感想『ラブトランジット』

これまでは、恥ずかしくなったり緊張したりするだろうから観てこなかった恋愛リアリティですが、彼女の力添えを受けて、観てみることにしたところ、なかなか思っていたものと違って興味深かったです。

ネタバレ気にせず喋ります
概略としては、男女5人ずつが高級マンションに一ヶ月くらい住み、自由に恋愛する模様をゲストと僕たち観客が一緒に観る形式です。ただし、問題なのは、元恋人が、女性だったら男性、男性だったら女性の中にいることです。つまり、異性5人のうち1人は、元恋人。


想像の中では、やっぱり恋リアと聞いても、恋愛映画や恋愛作品の想像の域を出ていませんでした。なんか、速攻キスとか、ありえない偶然の出会いの連続とか。今作品は、リアリティと謳っているだけあって、そういった恋愛作品のこれみよがし感がなく、驚きました。それはよかったのですが、一方、より美化されない、現実的なやり取りが当然押し出されているので、観ていて苦しい場面が山ほどありました。
というのも、僕の性別は男なんですけど、自分が良かれと思っている価値観だったり、良かれと思っている要素を、登場する男性たちの中にも見つけたのですが、それが悉く悪い結果を生んでしまうのです。喧嘩になったり、相手を傷つけたり、視聴者からの不評を買ったり、あるいは僕自身がそれはないやろ、と客観的に見て嫌悪したり。
最悪だ、と思いながら、自分に当てはまり、かつそれでもまだ自分の中では男性陣を擁護する気持ちもあって、心がぐちゃぐちゃになりました。それこそ、自分が大切な人にやってしまった愚行などを思い出して、心が狂いそうにもなりましたね。
とはいえ、それは悪いことではないでしょう。改めて自分の醜悪な部分と向き合うこととなりましたし、異性と付き合ってく上で、あるいは他人と関わっていく上では、自分がいいと思っている価値観を、時に柔軟に崩すことは必要です。
客観的に自分を見せられている感じがして、そう思いました。(顔とかキャリアは彼らの足元にも及ばないですけど、心的な部分には共通点があったということですね)

もう一つ感じたのが、編集の巧みさ。序盤は誰を中心に焦点を当てるか、どこで過去映像を持ってくるか、どうやって全員を映すか、そういったことが非常に考えられ、考えられ、考えられている気がしました。誇張しているし、扇動されているのは感じていましたが、それでも惹きつけられましたし、次が気になりました。編集凄い。撮影現場で実際にどれだけのディレクションが入っているのかは知りませんが、よくもまぁ現実の恋愛っぽい大衆作品を作れるものです。作品としても感心しました。魅せ方は自分の中で革命的に勉強になりました。

もちろん、たった一ヶ月の異常環境で見つける恋が、続く恋なのかは疑問があります。変な話でもなんでもなく体の相性もありますし、恋愛しないといけないという心理にもなりそうですし、一ヶ月以内にものにしないと、という心理にもなってしまいそうですし。この作品を作ること自体に危うさを感じているのも事実です。

とはいえ、面白い。完全に新たな扉が開いたのは事実です。これまで感じえなかった学びや感覚を抱いています。ゲストがちょくちょく話を中断してコメントをしたり歓声をあげたりするので、恥ずかしさや気まずさで締めつけられることもありません。今作が特別なんですかね?わからないですけど、毛嫌いせず、ぜひ一度観てみたらどうでしょう。

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