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映画感想『MEG ザ・モンスター』

ジェイソンステイサムとサメが戦うバカ映画です。

ネタバレ気にせず


と思いきや、個人的にはステイサムさんが控えめで驚きました。

どちらかというとチームもので、皆でサメを倒そうという仲良しこよしの映画でした。

人間的に終わっている人はほとんどいません。研究所の出資者だけは少し金に目が眩んでいましたが、道徳的にそこまで外れているわけではなく、常識の範疇で動いていました。皆が自分本位の行動に走ることなく、素晴らしい自己犠牲の精神でサメと戦います。

皆が仲の良い展開は嫌いではありませんが、サメ映画でそれをやってしまうと、人間パートでの緊張感や不快感が消えてしまいますし、となると、サメの登場で感じる爽快感と一種の神秘性も消えます。今回の映画のサメは、映画的な意味はなく、敵です。
なので見やすかった反面、見応えはやや少ない、といった感想です。

苦手なジャンプスケアがないのはいいとして、サメの不気味な恐怖が少なかったですね。体当たりをしてきたり、海中研究室に歯型があったりするのは直接的な表現で怖かったですが、理屈はわからないんですけど、船の残骸を見ても、背鰭が海から出ていてもあんまり怖くなかったんですよね。

さてはそれは、死なないであろう人間が多かったからでしょうか。さっきも言ったようにこれはチーム戦です。チームと思いきや主人公以外が全員食べられるタイプでもありません。何故かステイサムと恋愛関係になる女性が登場し、その娘がいて、ステイサムの元嫁も出てきます。チームの半数は船の上や施設で騒ぐだけの人で、残念ながら死にそうにありません。もちろん死ぬ人もいますが、死ぬまでに時間がかかります。感動の音楽が流れたり、あるいは船から落ちてゆっくりと絶命したりと、映画の尺的にこれは全員死なないぞ、とわかるのです。

ステイサムが死なないのはわかります。僕たちはステイサムの死を望んでいません。屈強でいかついゴリゴリの禿頭を観たいのです。
なら彼を活かすために、サメには暴れてもらわなければいけないし、他の人間には死んで貰わなければなりません。


と高望みはしつつも、楽しかったのは間違いありません。調子に乗って死ぬ奴もしっかりといますし、人々が大量に遊んでいるビーチをサメが襲う場面は、人間が無知の被捕食者と化して逃げ惑う姿が滑稽でした。もっと見たかったですね。
ステイサムが肉体を使う場面は基本泳ぎでしたが、泳ぐステイサムもいいですね。
最後にようやく、サメ対ステイサムの一騎打ちが披露され、この無謀さを待っていた!と思わず拍手したい気分でした。見るだけで身がすくむ巨大サメに、体一つで対峙するステイサムのかっこよさったらありはしません。

そんなわけで、ステイサムを売り文句にしている割には、恐怖の少ない、皆で一致団結してサメと戦う優しい娯楽映画でした。
散々文句を言いつつも、恐怖耐性の低い僕には丁度いいかもしれません。

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