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(モーニング)優雅な朝

名古屋の人間の多くは、モーニングというおかしな文化に染まっています。
モーニングというのは、朝の大体十一時前に喫茶店に行くと、コーヒー一杯の料金でパンと卵が頂けたり、朝しか食べられない食事を頂ける、といったものです。

早起きをして優雅な朝を得られる反面、油断すると、わざわざ早起きをしてお金を使うのか、という気持ちになることもあるので、メンタルコントロールが必要です。

さて、寝るのが大好きな僕の家庭では、あまりモーニング文化というものが馴染み深くありませんでした。しかし、僕の友人のデブとサイコパスは別です。二人ともよくモーニングを嗜んでおり、朝から充実した一日を送るように見せかけて、結局昼に寝るという無様な生活を送ったりしています。

一番僕が不思議なのは、中学時代、学校に遅刻しそうで坂を転がるように駆け下りていたデブや、毎度布団から出れずに朝練をサボっていたサイコパスが、なんなら僕より早起きをしてモーニングに行っているということです。
時代の流れか、はたまた彼らの成長か。

ともかく、僕は二人に誘われて、朝のモーニングに行くことに決めたのです。

朝八時に集合です。早いですね。まだ朝、っていう感じが髄所に漂っていて、薄気味悪いです。

朝からデブが赤く目障りな車に乗って迎えにきてくれました。彼はいつでも元気で、朝からふてぶてしい態度でハンドルを握っています。隣にはサイコパスがいました。言うまでもなく、彼は朝から夜のように暗いです。

しかし、車で行くとなると、一体どこの喫茶店に行くのでしょうか。この二人は休日ですが、僕は昼から仕事があります。僕は彼らとは違って多忙の身です。のこのことタバコをくわえながらコーヒーを飲んでいる暇などないのです。
デブは持ち前の能天気さで、すぐ着く、と言いました。彼のすごいところは、僕が何分かかるかと聞いても、「意外と遠くない」や「ニ十分くらい?」というだけで、確固とした情報を出すこともしなければ、調べることすらしないのです。
彼が建築の道に進まなくてよかったですね。ろくに計算もせずに建物を立てて、当然崩れた後には、「いやぁ、ちょっと僕の頭に計算が追い付きませんでしたね」と意味不明なことでも言うのでしょう。

サイコパスはサイコパスです。そもそもモーニングを食べようと提案してきたのは彼です。その理由は、「モーニングが食べたいから」でもなければ「一緒に遊びたいから」でもありません。彼はただ、休日を有意義にするため、つまり「早く起きることの口実」として僕たちをモーニングに誘ったのです。
こいつは僕たちのことを喋る目覚まし時計だと思っているのです。

そんなわけで、かかった時間は四十分。
朝食抜きで四十分耐久は地獄と同等でしょう。

まるでラーメン屋に行くくらいの気持ちで、喫茶店に到着しました。


次回、食べる。


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