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映画感想『グレートウォール』

ネタバレあり

映画.comより


不思議なことに、結構好きな映画です。
ただのB級映画の風貌をしながらも、中央にマット・デイモンがいるという、パッケージから均衡のとれていないおかしな雰囲気が流れています。

変な獣が攻めてくるから、皆でそいつから都市を守って倒そうという至極シンプルな話です。金で作った映画という感じを隠してもいません。

ですが、無気力で作った映画というわけでもないようです。万里の長城で獣と相対するのですが、その壮大さもなかなかのものですし、軍が色分けされているのも視覚的のワクワクしました。幼い頃に戦隊モノを見ていたことで培われたDNAが疼いてくるのかもしれません。

ロードオブザリングを見て育っているので、集団戦闘には厳しい目を向けてしまう僕ですが、城での多数戦も迫力と勢いがあって捨てたものじゃありません。獣たちが攻めてくる時は、恐怖を感じました。

気球のビジュアルも独特で新鮮でしたし、壁を存分に使って戦おうという意気込みも、僕は好きです。例えそれが、いかに無謀な戦い方だとしても。

城壁を登ってくる敵に対して、普通は岩を落としたりするのですが、今作では人が飛び降ります。腰に紐をつけて、落ちながら敵を槍で刺し、差し終わったら城の上にいる人々が紐を巻き上げて回収するという算段です。
なんという無謀な。
結局一匹くらいしか倒せませんし、もちろんあっという間に敵に喰われて終了です。労力に対して、戦果が見合ってなさすぎます。
アイデアは好きですけどね。

中国が舞台なので、西洋人と一部の中国人を除いて中国語を喋っているのも好印象でした。古代の中国が舞台で、全員が英語ペラペラだったら怖いですが、そういう映画もありますもんね。

だいたい死ぬ、というのもなんか好きな要因の一つですね。主要人物以外の重要な役職の人たちはだいたい死にます。中盤で何故か、将軍自ら小さな戦いに首を突っ込んで死にますし。悲しい音楽が流れるのですが、積み上げもゼロですし、ありきたりな死に方すぎて笑えてきます。絶対に主人公とヒロインが死なないのが見ている間にわかってしまいますから、ハラハラは特になく、笑うだけです。

そして、大軍同士が戦うことはなく、ハッピーエンドです。城の多数戦が面白かったので、最後に軍対群れの大戦争が起きることを期待していたのですが、起きませんでしたね。それどころか、敵は穴を放って首都に奇襲をかけてしまったので、ほぼ一方的な展開でしたし、グレートウォール突破されてるじゃないですか。グレートなウォールとは。
さらに先ほど言ったように、死傷者多数で、重要な人は大分死んでいますが、これといって描写されることなく、マット・デイモンが英雄になって終わりです。

なんだこれ。というかなんだこの世界観は。
でもなんか、嫌いになれない、言ってしまえば面白かった、作品です。
不思議です。B級映画マニアは、こういう感覚で好きになるんですか...ね?

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