見出し画像

140字小説 秋の星々②

秋の星々(140字小説)、落選作品の供養を、前回に引き続き行います。テーマは「深」

貴方にもっと深い質問を投げかけたい。貴方の最深部を知りたい。深海の底まで貴方と一緒に落ちたい。貴方と深い関係になりたい。でも不快にさせたくない。私だけ深い谷底に落ちるのは嫌。その時に急に閃いた。貴方が先に落ちればいいのにって、深い沼に。「突然なんですけど、私は貴方が大好きです」

距離の詰め方って難しいですよね。どこまで質問していいんだろうとか、何の質問からしようとか思い詰めて、結局何も会話できない、ということが僕にはよくあります。そういう時は本当にコミュ力が低いな、と落胆し、陽気に喋りかけられるタイプの人間が心の底から羨ましくなります。
恋愛なんて猶更ですよね。相手のことが好きなので、どんどん知りたいし、知ったら知った分だけ愛が強まるような気がします。ですが、相手に嫌われたら元も子もありません。恋愛感情というのは、自分が好きだという気持ちだけでなく、相手も自分のことを好きになってほしいという願望も含まれていると思うので、大抵の場合。なので、ますます質問なんてできません。

この作品の登場人物は、どうやら割り切ったみたいですね。もっと知りたい、けど嫌われたくないという葛藤の挙句、質疑応答というプロセスを一刀両断し、単刀直入に気持ちを伝える選択をしました。いやぁ、潔いですよね。もちろん少しずつ関係を深めていくのが定番だとは思いますが、失敗を恐れずに気持ちを伝えるのも、かっこいいですよね。いいと思ったのは、最初から突然告白する選択をしているのではなく、葛藤の挙句しているという点。
恋愛を上手くできるできないはあるかもしれませんが、恋愛感情を抱くことに関しては、思ったよりも人によって差異はないかもしれません。

「深」という文字を入れまくったのも個人的に面白いと思ったんですけどね。
皆さんはどう感じましたか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?