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青山学院大学ワークショップデザイナー(WSD)での学び

つい先日、ワークショップデザイナー講座を修了しました。
記憶の新しいうちに感じたことをまとめておきたいと思います。

当初思い描いていたものとのギャップ

前半の実践部分においては講座を受講する前に想像していたものと、実際学んだこととの乖離がそれなりに大きいものでした。
(ネガティブな意味ではないので最後まで読んでみてください)

これは今後当講座を受講する方についても有意義な時間とするためには参考になる部分かと思いますので記録に残しておきます。

元々何を期待していたか

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まずはじめに、私が当講座を受講すると決めたのは、これまで我流で研修やワークショップを企画・運営してきたので、体系的に、そもそも場づくりとはどういうものなのか、その”型”を身に着けたいと思ったのがきっかけでした。

つまり、ここで得た学びを元に、組織開発や研修、ワークショップを生業とするにあたって必要な知見を論理的に理解し、また実践をとおして体得につなげていくことを期待していました。

前半では何をギャップに感じたのか

講義中は理論的にプログラム設計の概要の理解が進み、ふむふむとなるのですが、”ワークショップを体験してみよう”のコーナーになると、毎回「これは何なのだろう…?」と疑問が沸き上がってくるのを抑えきることができません。

具体的に行われたワークを少しだけご紹介。
ビタハピというコミュニケーションツールをつかって”仲間探し”を行うものや、糸電話を使って”メンバーのことを理解する”ものなど。

その後、オンラインワークショップを体験する場では、zoomのカメラを指でふさいでみて、真っ黒になると思いきや真っ赤になることを面白がったり、相手の動きをミラーリングして相手とつながっている感覚を味わうワークを行ったり。

「これを仕事にどう活かせばいいのだろうか…」

どんどん疑問が膨らんでいき、イマイチ入り込めない自分に意識がもっていかれはじめます。

おとなは”わかってからやりたい”

講義の中で、こどもたちは”まずはやってみて、そのあとわかる”ことに躊躇がないのですが、おとなは”わかってからやりたい”のだと説明を受け、私にはこども心に欠けていたのだなと気が付きます。

もっといえば、CTIでコーチングを学んでいた当初もそうでした。このワークの背景は何か、ここから何を学べばいいのか、常に”わかろうわかろう”としていました。

ワークショップデザインでは夢中になる、面白がることを”参加の増幅”と呼びます。”参加の増幅”はファシリテーターがプログラム設計の中でデザインし、ファシリテート時にもそれが起こっているか確認しながら進行するのですが、参加者においても夢中になろう、面白がろうというスタンスが一定求められます。私にはそのあり方があきらかに不足していたと思います。今思うと本当にもったいない。

学びを最大限活かすためには”参加の増幅”を自身の中でも起こしていくことが大切です。

そのワークを直接使う機会がなかったとしても、ワークから得られることは何かとぐるぐる考えていては、得るものも得られません。
後から活かし方は考えればいいのです。

特にワークショップデザイナー講座はそのプログラム全体が壮大なワークショップとしてデザインされています。

ひとつひとつ細かいところに疑問を持つのではなく、どっぷりとつかることが学びの理解を深めるのです。
これから参加するみなさんには、ぜひそのワークに入り込もうとするスタンスでいてほしいなと思います。

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プログラムデザインにおいて最も重要と私が定義したこと

ワークショップデザイナーはプログラムを綿密にデザインし、当日どのような点を重視しファシリテーションを行うかを検討します。

プログラムデザインは言わずもがな非常に重要なのですが、その中でも特に私が重要だと思ったことをまとめておきたいと思います。

(1)目標の階層性

これは研修にもいえますが、プログラムデザインする際、最も意識すべきはどういう場としていきたいのか、そのコンセプトに加え、その場の参加者が何を得ることを目的とするか、目標を設定することです。

そしてその目標には階層があります。

学習目標と呼ぶ、その場をとおして参加者に何を学びとして得てもらいたいのかを決めることが第一階層です。
終了後の湯上り感を決めます。アウトプットではなく、参加者そのものに焦点を当てるのがポイント。

第二階層は活動目標。その場の活動をとおしてどんな気持ちになってほしいのか、プロセスをイメージします。ワークショップの中でどういう場の状態を実現すべきか、活動内容そのものにも対して目標を定めます。

その活動目標を想像しながらメインワークを構成します。
全体をとおしてどういう場を演出すれば活動目標が達成され、ひいても学習目標に到達するのか、目的から逆算してくみ上げていくのは何をするにしても同じだということです。
(意外にプログラムデザインする際忘れがちなポイントなので要注意)

(2)プログラムの一貫性と難易度調整(足場をかける)

活動中は夢中になってもらわなければならない(前述の私のような状態に参加者がなることを防ぐ)ので、掲げた目標に対して、参加者の気持ちや思考が逸脱しないよう、丁寧にプログラムに一貫性を持たせることもまた重要です。なおかつ、そのプログラムは序盤から終盤にかけて、徐々に難易度をあげていきます。

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終盤に用意してあるコンテンツをいきなり序盤に持ってきたらきっとみんな参加してくれないだろうなというものであっても、丁寧に難易度を調節してプログラムをくみ上げることで、自然と参加者に夢中になってもらうことができます。

いきなりグループで「自身の夢や目標について語り合ってください」と言われたら話しづらい人も出てくると思いますが、それまでに自己紹介をしあって、こどものころの夢を互いに語り合う時間があったりすれば、自然と話しができるようになっていきます。

当日のファシリテーションにおいて最も大事だと感じたこと

ザサっと書いていますが、プログラムデザインはここで書いたもの以外にも多くのエッセンスがあり、綿密に行います。何度も何度も考え直し、スクラップアンドビルドの連続です。一貫性のあるプログラムをつくるには相当の工数がかかります。机上では想像しきることもできません。実際やってみては修正を行い、磨いていくのが当たり前。

そして、当日ファシリテーションを行う際は、その綿密に設計したプログラムを手放すことも視野に立ち居ふるまうことが大切です。場や人は生き物なので、どんなに想定しても想定しきれないことが出てきます。

そんなとき、
「ここまでで何分だから、あと5分でグループワークの時間は終わろう」
「ちょっとまだみんな乗り気じゃないけど、予定どおり進めていこう」
と考えるのではなく、その場にあわせて対応は変える必要があります。

これも当たり前と言えば当たり前。
プログラムデザインを行う際、どこまで想定しているかが大事です。

場の空気がイマイチだったら何を仕掛けるのか。
時間内に終わらなかったら何分延長するのか。延長したら何を削るのか。
逆に早くワークが終わってしまったら、他グループが完了するのを待つ時間ができてしまうので、何をその間行ってもらうのか。

たくさん想定して、どんな人がファシリテーションを行うことになったとしても品質への影響を最小限にとどめる設計ができているのがプロフェッショナルであり、当日の臨機応変さと、改善へのあくなき探求がワークショップデザイナーに求められると感じます。

講座全体をとおして感じたこととワークショップの課題

ざっくりまとめておこうかな、くらいの気持ちだったのですが、だいぶ長くなってきました。

学びはまとめたので、全体をとおして感じたことと、課題だなと感じたことをそれぞれひとつずつ記憶として残しておきます。

ひとつはワークショップデザイナー講座では参加者がとにかくいい人ばかりで、話ベタな人であっても本当はみんなと繋がりたいし、話したいと思っている人しかいらっしゃらないということ。

ワークショップデザイナーを志しているくらいですから、そりゃ人好きの集まりですよね。
これから参加される方は、ぜひ多くの仲間とよい出会いをつくってほしいなと思います。

もうひとつはまじめな話。ワークショップはマネタイズが課題だということ。

ワークショップデザイナーは、コーチング以上に市民権を得ることができていないかもしれません。
ワークショップデザイナーとしてのスキルは専門性といえますが、何かと掛け算できてはじめてビジネスとして成果が出るのではないかと感じてしまいます。それでいいような気もしますが、世のワークショップデザイナーたちが当該専門性を活用し、マネタイズに成功し、やりたいことが仕事になっている世界が実現されるといいなと思うわけです。

私自身もまずはロールモデルのひとりになれるよう専門性を磨き、ワークショップデザイナーとして熟達していくことを志していきたいと改めて思いました。
何事も実践を積み重ねることが大事。

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