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大島君へ。

大島君が流した曲はH2という野球のアニメの主題歌だった。

高校のときの音楽の時間、毎回クラスの1人が自分が好きな曲を皆んなに紹介する決まりだった。

順番は「あいうえお」順、高校生なんて大体ヒット曲ばかり紹介する、たまにハイカットのオールスターを履いている拗らせパンク女子がインディーズのパンクロックを紹介してたりしたが、聴けたもんじゃない、だって私はヒップホップに夢中だったから

私もまたゴリゴリに拗らせていた

ラップ以外はダサいと思い込み、ギドラのケーダブの信者スタイルでリップスライムやキックザガンクルーなども鼻で笑っていた

私の苗字はヤマクラ、最後の方だ

紹介する曲はオジロザウルスの「エリア・エリア」に決めていた、PMXのメロウなトラックが心地よく、ヒップホップ初心者の皆んなに丁度いいと思ったから、、

そもそも、この曲紹介の企画の主旨は「いい曲をシェアして普段効かないような新しい音楽の扉を開けよう」といったところだろうか

その主旨を見事に捉え一番良かったのが大島君だ

大島君は「お」だから最初の方だったが、大島君は初めて皆んながあまり知らない曲を紹介した

それはアニメH2の主題歌だった、私は「はっ」としたのを覚えている

その曲はゴリゴリにヒップホップを拗らせていた私でも好きな曲だったからだ

大島君が曲を流すと先生の顔が変わった

曲が終わると先生が嬉しいそうに大島君に、「いい曲だね」「CDよく見せて」とキラキラした顔をしていたし、皆んなも「いい曲」を聴いた顔をしていた。

私もこの空気を作ってやる、ヒップホップでな!

嫉妬しつつも、私は大分先の自分の番を想像し意気込んでいた

そして時は流れ、ついにその日が来た。

私は、準備していたオジロザウルスのアルバムを録音してあるMDを取り出そうとリュックに手を入れた

無い、、


完全に家に忘れていた、、

PMXのメロウなトラックとマッチョのキレキレのラップを家に忘れてきたのだ

オワタ、、当時この言葉が流行っていたら確実に言っていただろう

仕方ないから私は、他のラップソングを探しニトロでも紹介しようと考えた

ない、MDケース丸ごと家に忘れてきたのだ

諦めかけたとき、リュックにCDが1枚入っていた

DA PUMPのベストアルバムだった。


その日の曲紹介で流れたのは皆んなが漏れなく知ってる「if」

教室は大島君のときの「あの感じ」になるわけもなかった、、


DA PUMPは「if」からラップパートの担当がKENになったそうな。


大島君さあ、、


あだちみつるって顔一緒だよな。


ぽやしみ

#コラム #エッセイ #毎日note







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