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27_人が入れ替わりながら場は続いてく

木陰での昼寝が気持ち良い季節。町役場の幹部への活動報告から始まり、NPOの総会、小学校と高校の授業やイベントも続いて長い5月だった。

高専の給食に立ち上げから関わっていた料理スタッフが任期を終えた。いつ来るかわからないお客さんのことを考えながら料理をするレストランと違い、給食は食数と顔ぶれが毎日決まっているのがいいと彼女は話していた。料理人が働く場所として給食調理現場にももっとスポットが当たると良いな。彼女には、改めてじっくり話を聞いてみたいと思ってる。

まちの食農教育プログラム

もち米づくり

町内の小学校2校の5年生合同のもち米づくりが始まった。2016年から(それ以前の20年ほどは地域の農家によって)ずっと続いている授業。5年生から次の5年生へと種のバトンがつながっているのがとてもいい。種の選別から自分たちでやってみると、愛おしさが増す。種もみを愛でる子どもたちの様子を見ていてそんなふうに感じる。

在来のもち米「よごれもち」
育苗途中、緑化の日(1日で緑色に変化する)

さて、その愛おしい種もみが苗に生長し、ようやく田植え。
今年の5年生は、3年生の時に「泥んこ遊び」を経験している子どもたちがいる学年。田んぼに入った経験のある子は多かった。

手植えを始めて1時間経過。
ゆっくりペースでほとんど進まない…!

やや焦り気味の大人たちの気持ちも伝わったのか、「せーのっ!」って掛け声をかける子どもがあらわれ、一気に手植えのスピードが上がる。その時の「一体感」のようなものを、「達成感」「仲間」という言葉で表現していた子どもの感想を見て、田植えやってよかったなーと思う。

息が合い始めた時の手の動き

米づくり

神山まるごと高専のファームクラブでは2回目の米づくりが始まった。昨年は田植えと稲刈りを実施。今年は「田植え前の準備からなるべく全ての工程をやってみたい」とのことで、施肥、耕運、代掻きを地域の方に教わりながらやってみる。苗も地域の方に分けていただいて、ありがたい限り。

トラクターをどう走らせるか、を考えつつ
水が入ると足がとられて作業の難しさが増し増し
手植え
田植えに使う定規

農作業をするたび、道具を発明した先人へのリスペクトが生まれる。田植えに使う定規は木製で回転式。昨年、ファームクラブの「農具を譲ってください!」のチラシを見た地域の方から連絡があり譲ってもらった。緩んだネジや目盛を学生らがつけ直し、今回の田植えで何十年かぶりに復活。

最高じゃん。

椅子づくりと振る舞いごはん

食堂の椅子づくりも自分たちで。昨年に続いて2回目(通算4回目)。
大工さんに教わりながら1年生と地域の方が椅子を作った。神山町産の杉を使い、椅子キットは昨年より頑丈に、組み立てやすくアップデートされている。

この日、ファームクラブの学生は運営班と調理班に分かれていた。調理班は自分たちで育てた米を振る舞うべく、地域の調理場を借りて朝から200個近くのおにぎりと50人分の豚汁を調理。メンバーのセンスと料理スキルに感心しきり。地域の人たちがおにぎりをおかわりしながら頬張る姿も良かった。
振る舞うって、いいな。
〆の言葉でファームクラブ部長が「来年もやります!」と宣言。「今回使った米が12.5kg。年に3回この規模で振る舞えますね」とも。米づくりがここにつながるとは、うれしい伏線回収。

最高じゃん。

炊いた米は8升弱

畝づくり

小学校では大豆の栽培が始まる。
今年は「畝(うね)づくり」もやってみることに。子どもたちがほんとうに天才だな〜と思うのは、勝手にどこまでも遊びになっていくところ。手を使ったりスコップを握ったりしながら土と戯れている感じがある。
この日は2年生の畝づくり。ファームティーチャーは北海道から研修で徳島を訪れていた農業大学校の学生。「(高低差で)水が流れ、低い場所にたまる」ことを、言葉で伝えるだけでなく、目で見て理解できるように伝えていた。
子どもたちに伝わるように考えるひと手間、とても大事。

広野小学校2年生の大豆畑の畝づくり

3年生の子どもたちは、自分たちで好きな畝の形をつくることにした。話し合って決めたのは、スマイルマークの畝。

土で作ると思った以上によかった◎

「畝(うね)」は小学生にとっては聞き慣れない言葉。「畝」を知って、これまでなんとなく見ていた風景がよりはっきりと見えたり、言葉と共に風景を捉えられることは、「まち」を見る目が育まれていくということなんだろうなと思う。畝と大豆と子どもたちの関係がどんなふうに育まれていくのか、楽しみにしてる。

まちで広がるコムギの栽培

城西高校神山校のフィールド「まめのくぼ」で神山小麦の収穫。
店で売られている小麦粉は見たことがあっても、コムギの栽培や収穫は多くの生徒にとって初めての経験。日常的に口にする小麦の加工品、だけど大部分を輸入に頼らざるを得ないコムギの自給率。考えがいのあるテーマ。

収穫の日は町内の企業の社員さんも来て、高校生と一緒に収穫作業を。今後、町内に製粉機を導入する予定とのこと。栽培から製粉まで一貫して町内でできるようになると、このまちのコムギの自給率は確実に上がっていく。
夢じゃない、現実。すごいことだ。

まめのくぼ

海で考える「食育」

先日、水族館にふらっと立ち寄った時のこと。イカが泳ぐ姿を初めて見た。

イカ

えええ!こんな泳ぎ方!!って驚き。進行方向も思っていたのと逆だった。絵を見るだけだと絶対にイメージできない。やっぱり、実物を見ることで得られる情報量は凄まじい…というのが水族館での大きな気づき。

オシドリ

そしてオシドリ。生き物の水面下の動きが見えるのが水族館の良さ。ガラス張りバンザイ!このオシドリの動き、じーーーっと見入ってしまった。

「スイミー」に出てくる生き物も見られたし、初めて知る生き物もたくさんいた。箱の中に閉じ込められているとはいえ、地球はつながっていると感じられる空間だった。

来月は仕事で海に囲まれたまちへ。海のあるまちの日常的な食事情を知りたいし、身近な食を成り立たせている人や場を訪ねたい。とても楽しみ。



お知らせ📢
入学応援マガジン「COMPASS」に取材いただきました。

土屋鞄でランドセルを購入された保護者に向けた、入学応援マガジン「COMPASS」。「給食」のコーナーで、コメントしてます。
ランドセルの箱に同梱して届けられるほか、積水ハウスを訪れたお客様にも配布されるとのこと。1年生の姿を思い浮かべながらの取材はとても楽しい時間だったし、改めて、子どもたちが「給食」を楽しみにできる時間を大人がどう作れるだろうか、子どもたちの体も心を元気にする「給食」ってどんな給食だろうかと振り返る時間にもなりました。

まったくの偶然ですが、軽井沢にある土屋鞄の工房にフラッと足を運んだその翌週に取材依頼を受けたのには縁を感じてます(ランドセルも鞄も買わずに見ただけですが)。
手に取る機会があればぜひ。