サルでもわかるお金の話 #シニョリッジ知ってる?
持続可能な自立循環型ビジネスモデル構築を標榜して私が長年あちこちで学んできた内容を元に、共に原理原則論の実践に取り組みもうと、毎月開催している無料の勉強会「継塾」は昨日で95回目を迎えました。今年の年末、12月でなんと第100回を迎えるということで、何かイベントごとをしたいなーと考えています。ま、コロナ次第ですが、、
おかねの正体知ってる?
今回のテーマは、物と情報が溢れかえる今の飽食の時代、ユーザが求めるのは理想のライフスタイルであり、私たちが提供すべきは表面的なデザインやコストに優れたモノではなく、ユーザのライフデザインの見直しに寄与できるようなサービスだと、まず自分自身の理想のライフスタイル、ライフデザインを見つめ直して貰いました。そんないつもの塾の内容を終えた後、今回は特別に第二部としてテラスでのBBQ懇親会がてら、現代のおかねについて考える勉強会を行いました。講師は、長年、継塾に熱心に通い続けてくれている塾生でもあり、同業の工務店経営者でもある杉浦社長で、熱心に学ばれているMMT理論の基礎の部分、お金の正体を正確に認識するところから丁寧に話して貰いました。
お金と言うと、一般的には中央銀行(日本銀行)が発行している紙幣、日本銀行券の事だと思われがちですが、実は、市中に出回っているおかねの大半は日本銀行が発行している紙幣ではありません。大半のお金を作っているのは実は日本銀行ではなく街中にある銀行です。預金者から預かったお金を貸し出すのが銀行だと思っておられる方も多いようですが、銀行は一定額の準備金を中央銀行に預け入れ、その何倍、何十倍ものお金を貸し出すことができるのが法律で決まっています。それが、金融業界用語で信用創造と呼ばれるもので、現在流通しているお金は要するに信用です。
お金はすべて誰かの借金
市中に出回っているおかねの大半は日本銀行が発行している紙幣ではありません。企業や個人が銀行に借り入れを起こすときにお金は銀行によって作られます。企業による設備投資や、住宅ローンなど融資を受けた人がモノやサービスを購入し、銀行が作ったお金を支払うことによって市中にお金が流れ出ます。世の中に出回っているお金はすべて誰かの借金なのです。そして、債務者が銀行に返済を終えると銀行が作ったお金は消滅し、金利と言う利益だけが銀行の中に残ります。
その規模が大きくなったのが国による借金である国債です。国は納税だけでの予算では足らずに国債を発行してそれを銀行に買い取らせます。銀行は買い取った国債を日本銀行に渡し、その額面の金額を銀行の当座預金に数字として打ち込みます。銀行は信用創造ができるので元手なくして大量の国債を購入できますし、右から左に日銀に持っていけば当座預金の金額が大きくなると言う仕組みです。その当座預金の残高をもとにまたお金を作って市中にばらまくと言うことになります。市中ばらまかれたお金は企業や個人が消費して、そこで経済が生まれ一部が納税として国に戻ります。国はそのお金で日銀にプールされてやる国債を償還し、それで国が作ったお金が消滅します。
日本が借金地獄に陥っている件
よくテレビの情報番組などで日本の財政は借金まみれで国民一人当たり何千10,000円もの借金があり、未来を担う子供達にそのツケを払わせるのだ。との論調が聞かれます。しかし、国が発行した国債がほぼ全て日銀に保有され、海外からの借金として流出していなければ、また国がお金を作って借金を返済すれば良いので一般的な企業や一般の家計のようにキャッシュフローの焦げ付きによる破綻はあり得ません。
お金を作りすぎて帰るものやサービスよりもお金が余りすぎるとハイパーインフレになってしまい、日本銀行券の価値がなくなるデフォルトに陥ることになりますが、それは日本国中にお金が有り余るほど潤沢に流出たときに起こる現象で、日本の国内総生産量を大幅に超えるまでデフォルトになる事はありません。これがいわゆるMMTの理論です。
そのボーダーラインを越える手前までは今まで通り国と銀行がお金を作り続けることができると言うわけです。
お金があればどんな物でも会えるし、あらゆるサービスを受けることができるのが今の世の中で、好きなだけ通貨を発行できる国は圧倒的な利益を作ることができます。これをシニョリッジと言いますが、好きなだけお金を発行してそれをばらまくことができるなら世の中に貧困に喘ぐ人は1人もいなくなってるはずです。実は長い歴史の中で金や銀の現物と等価交換できない不換紙幣は破綻を繰り返してきました。やりすぎると信用がなくなり、紙幣はただの紙屑になってしまいます。
まだまだお金を作り続けて大丈夫か?
国が国債発行を通して、無尽蔵に日本銀行からお金を引っ張り出すと、日本の国としてものを生産する力、国民総生産と、国や銀行はお金を作って発行するバランスが崩れてしまい、ハイパーインフレが起こり、いくらお金を持っていてもものを買うと言うこともサービスを受けることもできなくなります。長年デフレ(モノがありあまりお金が足らない状態)が続いてきた日本では、まだまだお金の流通量を増やしても大丈夫なので、どんどん国債を発行し国民にばらまけば良いと言う経済学者もおられます。しかし、実はインフレとは物価の上昇=お金の価値が下がることであり、昨今、建築業界を揺るがしているウッドショック問題や、不動産価格の高騰、日経平均3万円台に届こうかとの勢いの株価の値上がり、債券市場のバブル状態等、コロナの影響による給付金や補助金のばらまきの効果もあり現在すでに日本の国はインフレの予兆が始まっています。まだまだお金を作ってばらまいても大丈夫、と言うレベルではなくなってきていると思うのです。そろそろ、インフレに対する準備をしておいた方が良いかもしれません。(私見です)
いっそ、新しいお金を作ろう
コロナによる影響で格差が広がり、全体的に見るとやはり景気は下向きと言われる実体経済と株価や不動産、債券市場の高騰に見られる金融市場との乖離が顕著になってきた今、私たちは何をすべきかと言う問いに対して、昨日私が参加者の皆さんに話した構想は「自分たちでお金を作ろう」と言うことです。
お金の正体は信用創造で作られるただの数字でお金とは誰かの借金であると上述しましたが、お金が持つ最大の弱点は腐らないことです。発行されたお金がぐるぐる回れば経済は活性化するはずですが、他のあらゆるものが腐るのにお金(世界共通通貨としての金と銀も)は腐らないので、大きな資本を持っているところに集まって滞留してしまいます。これが貧困がこの世からなくならない原因であり、経済を活性化させるにはお金を腐るようにしなければなりません。
例えば、国債と同じ理屈で私が独自紙幣を発行したとします、1000ツギーの紙幣を発行し、地域コミュニティーサービスのつむぎ会員のメンバー間だけでそれが使えるとし、1ヵ月で無効もしくは償還になることにします。そして、使った履歴を紙幣に書き込んで、5回以上何らかのモノの購入やサービスを受けなければ、その履歴の中でサービスを提供した人たちも後から日本円で請求されるルールにします。これなら、1週間以内に急いでお金を使わないといけないことになります。
腐る通貨のロジック
私はAさんに対して1000ツギーをプレゼントします。(私の借金ですね) Aさんは早速、その紙幣でコーヒー豆を買いに行きます。コーヒー豆店の店主は、そのお金でラーメンを食べに行きます。ラーメン店の店主は会員の農家さんに野菜を買いに行きます。農家さんはメンバーのマッサージ店にマッサージに行きます、マッサージ店のオーナーはその紙幣で店舗のクリーニングを依頼します。これで期限の1ヵ月になり、期限を迎えた紙幣は私の手元に戻り1000円の日本銀行券と交換します。美装工事の方には1000円の日本円が収入として入ります。
要するに、私は1000円を支払うことになりますが、その1000ツギーが生み出した効果は5000円分の商品もしくはサービスの提供を生み出しています。利益を得た事業者から200円ずつを寄付してもらう(税金ですね、)と、私が手出しする1000円も結局は償還されてゼロになります。もしくは、時間の経過とともにお金の価値が目減りするようにして1ヵ月後には価値がなくなるようにすれば1000ツギー券は自然に消滅します。早く使わなければ損をすることになりますが、何度も回転すればその損失は非常に少ないので税として考えてもあまり気にならないかもしれません。
お金が生み出す経済の力の本質はこのような使い方であるはずで、地域やコミュニティーに限定して、期限を切って紙幣を発行することで効果的に経済を活性化することができるようになります。私たちは国や銀行ではないので、そんなに信用があるわけでもありません。なので、今一生懸命にリアルな信用を作り出すべく、地域コミュニティーサービスつない堂で地域の皆さんにとって良いことに一生懸命取り組んでいる真っ最中です。ある一定数の会員さんが集まれば、コミュニティー通貨を発行してみんなで良くなる仕組みを構築したいと思っています。ご興味がある方は是非、仲間になってください。
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激変する世界に適応できる「在り方」を様々な観点から共に学び、伝えています。
実業でのトライアンドエラーは神戸の小さな工務店で、