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家は土地の残りカスで建てるか、土地は家の残りカスで買うか問題。

令和3年3月6日 曇

背徳の相対性理論!?

昨日のnoteでは(物理学の話ではなくて)世の中は全て相対性で決まっていく、認識されている。といったことを書きました。奇しくも、巷では卓球の愛ちゃんが嫁いだ先の台湾であろうことか不倫現場をマスコミに押さえられたと大きな話題になっており、台湾メディアは愛ちゃんに対する激しいバッシングを繰り返しているかと思いきや、夫やその家族に対する愛ちゃんへの態度が悪いからこんな事になったのだと愛ちゃんを擁護する論調が中心的とのこと。まさに背徳の相対性理論とでも言うのでしょうか、多分いくら事実関係を調べたところで、それぞれの人が持つ感情がそれぞれの正であり、どちらが正義、どちらが悪いと割り切れたり判断できるものでは無いと思います。人の数だけ解釈があり、人の数だけ正義がある。社会とはその相対性が複雑に組み合わさって絶妙なバランスを保っている状態を指すのかもしれません。

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ポジションの確認と懐疑

人それぞれ立場によって解釈は変わるのを事実として受け入れた時、話す相手だったり、情報を提供してもらう先だったりの立場やポジションをしっかりと見極めておく事は非常に重要になります。昨日のnoteに工務店系YouTubeのポジショントークがキツすぎてしんどい、と書きましたが、そのポジションは実は私と同じ地域工務店と言われる地元に密着して良いモノづくりを標榜されている方々です。なので、本来は同じ立ち位置、同じ位価値観の情報配信になりそうなものですが、微妙にズレがあり、違和感を感じるのはやはり根本的な世界観は人それぞれだと言う事なのだと思います。そう考えると、相手のポジション(立場)を見極めれば全て安心とは限らないですが、それでも(表面的には別として)本質的に利益相反の関係性の相手よりはずっとマシだと思っています。

問題は常に構造にあり

私的には、自分に不利なことを勧めてくる人は決してその人が悪い人と言う事ではなく、構造の問題だと思う様にしています。例えば、事業所にひっきりなしに電話をかけてくるテレアポ営業などは、はっきり言って仕事を妨げる邪魔者ですが、彼らはそれが仕事であり、自分では見知らぬ人に自分たちが提供する価値を伝えたいと一生懸命に頑張っているのだと思う様にしています。絶対に電話は取り次がない様にしていますが(笑)。
家づくりの相談に来られた方によく話すのは、私たちがオススメする兵庫県が特別に金融機関とタイアップして創設した超低金利の固定金利型の住宅ローンを嫌がって、自社の変動金利の商品を押し付けてくる金融機関は悪いわけではなく、仕事なんです。と言う事です。また、土地探しをしている際に、気に入ったと不動産会社の担当に伝えると日を空けずに手付金を納めて押さえないと他の人に売ってしまいますよ、と契約を迫られるのも業界特有の慣習とその人の立場の問題で、決して悪い人だと言う事ではないと言う事です。理解しておくべきは立場と構造で、その上で準備を整えておけば、何ら不利益を被る事はありません。

ポジションから出る残りカス発言

土地探しから家づくりをする際に、度々話題に上がるのが、限られた予算内で、土地を先行して決めてしまうのか、どんな家を建てるかを決めてから土地を探すのか問題です。ポジションから紐解くと、不動産会社にしたら、「家の資産価値は下がるけど、土地は資産として残るので少々無理をしてでも良い土地を買っておいたほうが後々のためですよ、」と言います。逆に建築会社に聞くと「土地に住むのではなく、家で暮らすのですから、便利な土地に住んだところで、冬は寒いし夏は暑いし、気に入ったインテリアにできない様なギリギリの予算での家づくりはやめておいた方が良いですよ。」となります。どっちも正しいし、どっちも疑問点が残ります。実際、凄くこだわりを持って木の住まいを作りたいと建築予算を大幅にとって、通勤先から一時間以上も離れた遠い郊外の安い土地に家を建てた結果、通勤に時間がかかりすぎて子供との時間が取れなくなり、職場近くの賃貸住宅に住む様になり、夢のマイホームだとこだわりまくった家を売却して借り入れだけが残った、と嘆かれていた方とお会いしたことがあります。その人は「もっと全体的な計画を相談できる建築会社と出会いたかった。」と自嘲気味に笑っておられましたが、その建築会社はいい家を建てる事がポジションの中心的価値だったのかと感じて、同じ建築会社でも私はそんな事だけは絶対にしない様にしようと心に誓った覚えがあります。

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ベルトコンベヤーに乗ってからでは遅い

家と土地、どちらを優先してどちらを残りカスで取得するかと言う問題は、そもそもスタートから間違っていて、住まい手が手に入れたいのは家や土地では無く、安心して過ごせる快適で楽しい暮らしの筈です。私はいつも住宅の取得の一番初めに家族で家を建てるのは何のためか?と言う根源的で今更考えるまでもない様な問いに対して真面目に向き合う時間を持つべきだと相談に来られた方に強くオススメしております。改まって話してみると、もっと仕事に打ち込む環境を整えたい、とか、家で誰にも邪魔されず静かに読書に耽りたい、とか、親戚や友人と楽しむ場所として家が欲しい、とか、とにかく家事を楽にしたい、とか、意外と目的に夫婦間で微妙なズレがあったりします。当然、住まう場所が変わったり、間取りに必要な大きさが変わったりする訳で、家づくりの目的によって資金計画も大きく変わってしまいます。しかも、不動産取引や銀行からの融資、法務局への登記、建築など普段あまり関わりのない専門家のアテンドで進め始めると、立ち止まってじっくり考える間も無くトントン拍子に事が運び、気がついたら引き返せないところに来てしまっていた、と言われる方も少なくありません。そして、その取引に関わった人たちは建物が出来上がってお金を払い終わると皆去って行き、2度と会う事が無いのもよくある話です。それも構造なので決して悪い人に関わられた訳では無く、致し方無い事なのです。

目的を同じくする相手と組むべき

あえて、(私のポジショントーク的になってしまいますが、、)申し上げると、構造的に家が出来上がった後も、ずっと関わり合いを持つ、持たねばならない人と相談しながら全体像を把握しながら家づくりを進めるべきだと思っています。それは法律で定められている点検義務での付き合いという事では無く、建物には完成後もメンテナンスやリフォームなど、数十年単位でみると必ず建築的な需要がありますし、満足して暮らされている体験を知り合いに伝えてもらったり、紹介してもらうと、1件の工事が2件分の売り上げを生み出したりもします。そんな紹介やリピートを軸に生業を成り立たせている業者は、住まい手に絶対に工事後も満足いく暮らしをしてもらう必要があります。メンテナンスやリフォームを一生懸命行う会社が良い人の会社だという訳では無く、構造的にその様な業務形態、受注の仕組みを採用しているという事です。ただ、これが一番、住まい手と作り手の利益が同じになり、同じ目的に向かって計画を立てて進めていける関係性だと思うのです。私達つむぎ建築舎は10年以上前からご縁を頂いたお客様宅に社員の大工が一年に一度、無料のメンテナンスに訪問する体制を整えてきました。それは、単純にお世話になったお客様のその後が気になって仕方ない、ということもありますが、一方で自立循環型のサイクルで事業を継続できる仕組みづくりであり、事業の構造化でもあります。決して、良い人だからということ(だけ)でもないのです。(笑)

地域の一員としてのポジショントーク

とにもかくにも、家づくりとは暮らしづくり、人生という過ごす時間の総和を心地よく、理想とするライフスタイルを実現するための手段です。ひとつひとつの細かな事も大事ですが、木を見て森を見ずでは話になりません。人生の計画(ライフプラン)から逆算して全体の計画を俯瞰、そして把握することによって「その後の暮らし」が鮮明にイメージできる様になると思っています。ライフプラン、全体の資金計画、暮らしの課題の抽出、理想のライフスタイルの図面化、そして実際にイメージを形に作り上げて、その後の暮らしを安心したものにする積極的なメンテナンスまで、最も身近な環境である住まいをより良くするお手伝いをしてくれて、そのことで事業が成り立つ構造を構築している、真面目なと言うよりも中長期の視点で本質的な価値提供を目指して経営を行っている事業者は日本全国にたくさんあります。選ぶ相手で結果が大きく左右する暮らしづくりのパートナーはその事業所のポジションと事業構造を良く確認して選ばれることを強くお勧めします。若干、地域工務店の経営者っぽいポジショントークになってしまいましたが、これが30年近く建築業界で行きてきた私の現在の結論です。それも地場産業に携わる一員として地域が良くなってもらいたいとの想いからのこと、(←構造です。笑)これから住宅を取得しようかと考えられておらる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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