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シン・職人育成論 〜タレンティズムとイントラプレナーシップ①〜

職人育成に興味がある、若手の現場人材を採用したい。との問い合わせがこのところ毎日のように届いています。
事業所が教育機関となり、職人育成を行える高校、マイスター高等学校の事業スキームのオンライン説明会を毎週行っておりますが、GW中の枠も既に満席になる勢いです。
多くの方が、若手不足、職人不足に頭を悩ましているのを最近肌で感じます。

誰も解決出来なかった課題

私が代表理事を務めている一般社団法人マイスター育成協会は、若手の職員の採用と育成のスキームを提供しています。このように書くと、とても簡単に見えますが、その本質を理解される、また実装するには少々時間がかかります。国土交通省が長年取り組んできたにもかかわらず、全く成果に結びつかなかったこの課題はそんなに簡単に解決するものではありません。それは、これまでの延長線上にはなく、育成する側の大きなパラダイムシフトが必要だからです。

知ってるのと出来るのは違う

建築業界の若手不足、職人不足の本質は、若者たちにそんな職業に就きたくないと思われているからです。それをひっくり返すには、今現在、実際に現場で働いている職人たちの社会的地位の向上が欠かせません。正規雇用もされず、社会保障も受けられず、50歳を過ぎた後のキャリアを見出せない今の職人の働き方を真逆に転換する必要があります。
建築業界の非常識だった職人の正規雇用、キャリアパスの構築が最低限必要なのは、もう既に気づかれている事業者も少なくありません。しかし、それができないから職人不足解消に向かいません。

効率化は人を幸せにしない

一般的な業種では、当たり前に整備されている労働環境が建築業界に欠落しているのにはいくつか理由があります。
その中の最大の原因は、長期にわたるデフレ経済での収益構造の悪化と、それに対応した組織の効率化です。電動工具が普及しても職人の所得が増えないのが分かりやすい例ですが、効率化は人を幸せにすることはありません。要するに、職人を正規雇用してずぶの素人から若手を育成する費用が捻出できないビジネスモデルになってしまっているのです。
繁閑の波が大きい建築業において、職人を正社員化することと、1から職人を育てる先行投資は大きな負担であり、必要な時だけ外注の職人を使う方が、目先の利益は確保できる。この目先の利益優先が職人不足の根本原因に他なりません。職人を育成するには、根本的なビジネスモデルの転換が欠かせないのです。

ビジネスモデル再構築の流儀

収益構造を変える、ビジネスモデルの転換とは、顧客の再定義と共に、チャネル(伝える方法)、顧客との関係性、提供する価値のそれぞれを見直し、変容させてコスト構造を再構築するのがセオリーとして知られています。
これを実現させるには、アイディアはもちろん大事ですが、その前に絶対に行うべきは、自社が持つリソースの再発掘です。
これまで活用されていなかった企業が持つ潜在的なリソースを活用することが、その起爆剤になりますし、今まで通りの経営資源では今まで通りの事業しか行えません。新たなリソースを見出すのはむやみに人員を増やすのでも、外部のコンサルタントに頼るのでもなく、今持っている価値の再認識だと思うのです。

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-20854.html

誰もが持つ才能の根拠

世の中小企業と言われる地域で事業を営む地域企業の経営者は、残念ながら自社に大したリソースがないと諦めてしまっていることが多くあります。
私が、パラダイムシフトが必要だと常々お伝えしているのは、この部分で、「企業は人なり」と言われるように、人こそが、最大のリソースであり、個々が必ず持っている才能を最大限開かせてパフォーマンスを発揮させることができれば、1人の力で孤独に課題に取り組む経営者の悩みを大きく改善してくれると考えています。儒学の四書として今も学び続けられている孟子には「良知」という概念が示されています。人は誰しも生まれながらにして良き心を持っているし、知っている。誠実さ、真摯さは世界共通で万人が美しいと感じるとドラッカー博士がその著書に書いていましたが、この良知こそが最大のリソースになり得ると私は確信しています。

https://online.chichi.co.jp/category/BOOK/1026.html

タレンティズムが道を開く

上述した誰もが持つ才能を開かせるマネジメントの種は、近年、タレンティズム(才能主義)と呼ばれて広く認知が広がりました。これが組織内に実装され、継続的に機能すれば、人員のコストとも言われ、業界の経営者に忌み嫌われてきた職人の正規雇用も今まで生み出されていない新たな価値の創出につながり、収益構造も大きく改善につながります。例えば、見習いの大工が毎日、30分早く出勤し、現場の周りを綺麗に掃除して、近隣の人に対して気持ち良い挨拶とコミュニケーションを取るだけで企業の評価は圧倒的に上がります。そこから今まで活用されて無かった「現場」というチャネルで新たな工事の受注が創り出されるのは想像に難く無いと思います。
ここに、この20年、日本で誰も解決を見いだすことが出来なかった職人不足問題、ものづくり業界に若手が全くいなくなる社会課題を解決するカギがあると私は考えています。具体的なタレンティズム・マネジメントの実装についてのポイントは次回に送ります。

つづく。

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職人不足問題を根本解決するスキームを提供する研修事業、学校運営、人事制度構築のサポートを行なっています。

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