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喜多川泰講演会 〜大人のための生き方寺子屋〜

ベストセラー作家として有名な喜多川泰さんの講演会が、先日大阪で開催され、阪神間でたねまき寺子屋を主催されている杉田さんにお誘いを受け足を運んできました。「おあとがよろしいようで」と言う新刊の発売に先行して行われた催しで、コロナ禍の影響もあってか、ずいぶん久しぶりの講演と言うことで楽しみにしていました。もちろん、発売より一足先に新刊もゲットさせてもらいました。(^ ^)

喜多川泰さんのfbより拝借

心に火を灯す教育者

喜多川泰さんは、人としてのあり方を軸に、どのように人生を生きるか、どのような選択をするかを爽やかなストーリーに乗せた小説を書かれており、上述の杉田さんにご紹介いただいてから、私もすっかりファンになって、関西で行われる講演会には常に参加、すべての著書を読了したし、社内図書館にも蔵書として備えています。喜多川さんの作品はスタッフにもとても人気でよく読まれています。元々、子供向けの塾を営まれていたとの経歴から、教育者的な立場から若者に向けての著書も多く、学校の先生達にも大きな影響を与えておられます。実は、私が全く畑違いの建築業界から教育業界に足を踏み入れるようになったのにも少なからず影響を受けています。
そんな喜多川さんの講演は、心に火をつけて、人生に真っ向から取り組もうといった爽やかな内容が多いのですが、今回の講演はこれまで何回か聴かせてもらったのとは全く違う変化を遂げておられました。

全ての人は己の人生の経営者

まず、オーディエンスに教師や子育て中のお母さんも数多く参加されている様に見受けられたにもかかわらず、対象を経営者に焦点を合わせられたのに驚きました。冒頭に経営と教育についての言及があり、全ての教育者は経営を学ぶべきで、全ての経営者は教育者になるべきだとの厳しめの言葉が飛び出したのには少し驚きました。人はすべからく人生の経営者であり、自分の人生を責任を持って選択するべきとの強めの言葉が飛び出したのには少なからず驚きました。
また、経営とはそもそも経糸を営むことであり、誰もが関係無いことはない。お金を稼ぐことと「経営」は別物であり、目先の金儲けは横糸、経営を次世代に繋ぐ在り方との概念を示されたのには強く共感しました。その上で本来、学校教育が目指しているのはここ(横糸)になっていないか?との疑問を呈されました。経糸についてのくだり、私もnoteに書いてます。

日本の教育に対するアンチテーゼ

私とそんなに歳が変わらない喜多川さんは、昭和の戦後の復興がひと段落した高度成長期の後の時代を生きており、40年前まで日本人は経営者だらけだった、友達の親は商店や自営業者が多かったと子供の頃を述懐されていました。ちなみに、私も小さな書店の息子でした。しかし、小さな商店は大手資本による出店攻勢とメディア戦略の前にあえなく叩き潰されました。今の日本では会社員がほとんどで経営者が圧倒的に少なくなってしまったと嘆かれました。
それは、マーケットや顧客ニーズの変化はもちろんありますが、戦後行われた教育に大きな影響を受けていると示唆されました。戦前まではそれぞれが自立して生業を持ち、自分でことを起こせる人材になるための教育で、戦後のそれは経営者ではなく良い労働者を生み出す教育が行われたと、そんな去勢のような教育を長い時間をかけて行った成果として現れたのは日本には自分から何かを成そうとする若者が圧倒的に少ない現実です。
喜多川さんの講演会でこんなに厳しい歴史観と教育観が示されたのは驚いたと共に、全く同じことを最近考えていただけに嬉しく思いました。それって、奴隷教育を強いられてきた結果です。

自主独立の精神と志

平成から令和に時代が変わる際に、風に時代に転換する、VUCA(不安定、不透明、複雑、曖昧)な時代がやってくると巷で実しやかに囁かれていました。実際、コロナ禍で世界は一斉に鎖国状態になり、これまでの常識がひっくり返りました。コロナが収束しかけたら今度は大国による戦争が勃発、核戦争の懸念がすぐ目の前の現実になりました。一瞬にして平成時代には想像だにしていなかった状況になった、私達が感じてきた時代の大転換とその後の世界をどう見据えるか、どの様に向き合うべきか?との問いに対する解が喜多川さんも近しい方向性だったのだと感じて、やっぱりマジョリティーは気づいている、気付く機会がそこ此処に生まれているのだと改めて感じることができました。
18世紀以降、西欧諸国の植民地政策で世界は蹂躙されてきました。有色人種で唯一國體を守ってきた日本。守ったのは大正生まれの人達で、今とは全く違う教育だったと喜多川さんも言及されました。福沢諭吉先生の学問のすゝめが教科書に採用され、自主独立の精神と、鳥獣魚虫とは違う人間ならば、大きな目的を持て!と世の為人の為に働く志を持つ若者を世に送り出すのが教育の目的としていた時代を学び直す必要を示されました。完全同意です。

何者でも無いあなたに

今までに無いほど熱く、激しかった今回の喜多川泰先生の講演の着地は、この講演を聴いたのを無駄な時間にしないでほしいとの願いでした。
とは言え、2時間ほどの話を聴いたくらいで人生が大きく転換するなんてことはあり得ません。喜多川先生の熱さに感化され、行動を起こそうとした所で明日は大した変化は起こらないのが現実です。それでも、心に火を灯し、心が向かうベクトルを少し上向きに変えて、今日聴いたこと、感じたことをアウトプットするところから一歩を踏み出そうとまるでオーディエンスを励ますかのような優しい口調で語られました。
古からインプットとアウトプットを繰り返しながらベクトルを上げた者だけが時間と共に成果を残す。「(短期間で圧倒的に多くの文書を残している)吉田松蔭は何も成していない、しかし、高いベクトルが人を感化して後世に多くの人物を残して日本を守った。」と、志という名の高みを目指す在り方に少し姿勢を正してみることで、何か自分からことを成せる様になるし、人生の経営者として全う出来るのではないか、と、29歳でこの世から葬られたにもかかわらず、その後に日本を背負う人物を多く輩出した松蔭先生を引き合いに出されたのは、私たちのような圧倒的多数の何者でも無い者へのエールだと私は感じました。ベクトルを上げるとは、未来に、世の為、人としての価値を生み出す生き方であり、喜多川泰さんの書籍を読む多くの人がそこに気づけば、瀕死の日本が息を吹き返すきっかけになるのかもと思った次第。素晴らしい機会にご縁を頂けた事に心から感謝します。
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大工で社長で校長と塾長やってます。

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