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経(たていと)を営むこと。

神戸に住んでいると滅多に乗ることのない京阪電車に揺られ、枚方市に行く機会が最近とみに増えています。その理由は、応援したい人がそこにいるから。その人とは、元教員で学校で働く先生をもっとイキイキと働ける様にしたい、日本の教育現場を良くしたい!と熱い志を掲げて先生が一緒に暮らす先生シェアハウスを運営されている株式会社わけわけの代表、野中健次さんです。

枚方から日本を変える

野中さんは、ご自身の事業だけではなく、地元枚方市をもっと活性化したいい、そこに住まう人達がもっと楽しく、明るい未来に向けてワクワク出来るいい街にしたいと枚方市の経営者を募り、社会課題解決への学びの場を作り、地域企業が力を合わせてそれを解決する地域活性化のプロジェクトを立ち上げようとされています。今回も、そのお手伝いに志学会なるイベントに行ってきました。今回のイベントへの野中さんの意気込みを綴った記事はこちら、

経営ってなに?

今回、私が登壇者として野中さんから依頼を受けたのは、「枚方市の経営者は事業に行き詰まりや閉塞感を感じている人が多いように感じる、変化の激しい新しい時代に即した外部環境に振り回されない持続可能な経営について話してもらいたい。」とのオファーでした。私が起業してからこれまでの20数年間、考え、学び、実践してきた持続可能なビジネスモデルを構築する構造と概要を実例を織り交ぜながら30数名ほどの経営者の方々に向けてお話ししました。

冒頭に「そもそも経営ってなに?」との超基本的な質問を参加者の皆さんに問いかけました。経営者なら当然、誰もが自分なりの定義を持っておられると思いますし、参加者それぞれが自分なりに事業を経営する意味を一瞬、考えられたと思います。別段、定義を揃える必要はありませんが、「持続可能な経営」についての話をする前に私の考える定義を知っておいてもらう必要があると考えました。一応、辞書で引くと以下のように書いてあります。

1.事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。また、そのための組織体。
デジタル大辞泉「経営」の解説より抜粋

経糸を紡ぐこと

経という字は「たていと」とも読みます。そんな定義が辞書に書いてあるわけではありませんが、漢字の持つ意味に忠実に考えれば経営とは「経(縦糸)を(切らさぬように)営む(用意する)こと」である。と言えると思っています。要するに、持続性は経営にとって不可欠というか一体のものと言っても過言でないと思うのです。

そんな視点で見れば経営の本質とも言える持続可能性ですが、残念ながら日本の企業の平均年齢は30年にも届かない事が東京商工リサーチでの統計結果に出ています。その原因として、中長期の計画を持って持続性を高めると言う視点が経営者から欠けているのではないかと私は思っています。端的に申し上げると、資本主義の厳しい競争社会で生き残りをかけて戦ううちに、今だけ、これだけ、自分だけ良ければ良いパラダイムに陥ってしまっているのではないかと思うのです。

東京商工リサーチ調べ

原理原則から見る持続可能性

時代を超えて変わらない原理原則論から鑑みると、あらゆる結果や成果は状態に由来します。企業の寿命が30年程度しかないのはそのような状態を作っているからとなります。経営が経糸をつなぐことであるとの認識に立てば、時代の大きな変化を乗り越えながら市場から存続を許される、存在意義を認められる会社にならなければ持続性は担保されません。そのように考えると、高収益を上げるビジネスモデルを構築することや、内部留保を増やして自己資本比率を高めることよりも、マーケットからの信頼と信用を勝ち取ること、それを担う人材を育成することこそが持続可能性を高めるのは火を見るよりも明らかです。

存在意義を認められる価値創造

創業してからまだ20数年しか経っていない私が持続可能な経営を語るのはおこがましいにもほどがあるのですが、この20年間、私は事業規模拡大ではなく持続可能性を高める事に意識を集中し、その実現に必要なことを学び、実践してきました。その取り組みは最近、よく耳にするようになったCSV経営の考え方とぴったりと一致します。なぜ、CSV(企業による経済利益活動と社会的価値の創出( = 社会課題の解決)を両立)が必要なのか?との問いの答えはひとえに企業の持続可能性を高めるため=自立循環型社会・ビジネスモデル構築のためだと明確に答えることができます。マーケットから存在を認められる価値を創造することこそが、持続可能性を高める状態を作ると考えています。

螺旋的成長が構造を整える

そして、持続可能性とは共有価値を生み出し続ける構造を整えることであり、それは、まず初めに事業の目的を明確にするところから始まります。想い(志)の可視化をすることで共に働くメンバーと連結化を図り、価値創造ストーリーの計画でそれぞれの個々がその価値を内面化して実践する。これを数年にわたって繰り返すことで存在意義の構造化が少しずつ出来上がっていきます。SECIモデルと言われる螺旋状成長モデルのフレームワークを回し続けることで強化されていきます。

今回、私は自社での取り組みを事例として紹介しましたが、このフレームワークのサイクルは単独の企業だけに当てはまるわけではなく、様々な企業が連携することでより大きな課題解決に立ち向かえることにつながります。野中さんが目指す枚方から生き生きした社会を作り出すと言う目標は、多くの事業所さんが自社だけでなくもう少し広い視点を持って事業に取り組むことで確実に進んでいくと思うのです。これからも枚方での取り組みを応援し続けたいと思っています。

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CSV経営を実現する研究会「経営実践研究会」では本業で社会課題を解決する志しの高い事業所募っています。

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