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世界からみる日本の職人の可能性

久しぶりに台湾に来ています。コロナの影響で台湾の事業は完全に凍結しておりましたが、やっと国外に出られる環境が戻ってきたタイミングでそろそろと動き始めました。今回は台中での工事施工の新たなパートナーを見つけるべく、クライアントが計画している日式ラーメン店の現場にて2社の工事会社と打ち合わせと、ご縁を繋いでもらった台北の方へのご挨拶。話すくらいなら電話でもzoomなどのオンラインでも出来ますが、人を知るにはやっぱり直接会ってみないと真のコミュニケーションにはならないので、GWで対外的な予定があまり入っていない日程を見つけて飛んできました。

そこに行く価値

先日の北海道でも感じましたが、現地に足を運び、人物に出会い、直接話を聴かせてもらうことで分かることが少なからずあります。人は心を許した相手にしか本当のことは話さないし、話す理由もない。zoomで言葉をやり取りしたところで伝えられることは高が知れていると痛感しています。そして、人に会うことによってしか、人生を切り開くきっかけや示唆を受け止める事はない、動いた数と距離、深く会って話せた人の数によって人が心の中に持つ引き出しの多さが決まるのだと、50歳も半ばを過ぎて漸くわかって来ました。薄っぺらい、何の印象も残らない、すぐに霧散する上っ面のコミュニケーションをいくら繰り返しても本質的なことは何も分かりませんし、見えて来ません。それが何の価値もなく、時間をかけるだけ全く無駄だとは言いませんが、バーチャルで会った時にこの人とは直接出会うべきだと感じた人には実際に足を運んで合うようにしています。

世界はカップリングしていると言う事実

今回、三年近くぶりとなる訪台で感じたのは、コロナで一旦閉ざされた世界との関わりをやっぱり私たち、民間の地域に生きるスモールビジネスに取り組む事業所も取り戻さなければならないということです。世界はとうの昔にカップリングしており、世界情勢と切り離された生活に戻ることは出来ません。日本の国力が弱まり、通過の価値が下がると木材さえも買えなくなり、建築業界を震撼させたウッドショックが起こり、資材高騰の口火を切りました。そもそも、エネルギーや食料を輸入に頼っている私達は海の向こうの出来事など関係ないと知らんぷりを決め込むことは出来ない状況になってしまっています。そんな自分達の脆弱さを認知するためにも、外の世界を知るべきだし、情報統制され、プロパガンダが入った上っ面の情報を鵜呑みにしていては未来を描くことなどできません。

自分達が持つ可能性を俯瞰する

国の力とは産業の力でもあります。産業の力とは海外取引の貿易の交渉力とか為替の上下とかではなく、価値を産み出す能力であり、価値ある商品やサービスを提供する人の力に他なりません。その人の力が世界的に見て希少性が高かったり、多くの人から求められたり、難しい課題を解決出来たりする、それが集積し国力となります。そして、日本の全産業の97%の圧倒的大多数を占める地域に根差す中小企業(地域企業)は世界的な観点で事業を組み立てることはないと思いきや、既に世界はカップリングしている事実を直視し、自分達が持つ無限の可能性を感じるべきだと思います。今回、私が台湾にきているのも、神戸の片田舎の小さな工務店の大工が持つ技術や知見を含めた能力が世界で通用することの証左に他なりません。発信し、縁を広げ、動き、人に出会うことで、大きなチャンスを見出すことが出来る様になります。

日本の職人が持つ無限の可能性

ちなみに、台湾では日式と言われる日本式の料理や建築デザインが相変わらず多くの人に人気があります。そんなお店を出店しようと思うと、現地の施工者に任せておく訳には行かず、施工管理と設計意図の説明に大きな労力を要します。また、中国では日本に引けを取らないくらいの職人不足に陥りつつあり、精度の高い建築技能者は引く手あまたの状況が生まれています。その他、アジアの国々を見渡しても日本の建築技能者は群を抜いて優秀です。
私は現在、マイスター高等学院なる通信制高校で職人育成の機関の運営を通して、未来の建築業界を担う若者の育成を全国規模で展開し始めていますが、この事業の可能性は国内の職人不足の課題解決だけに留まらず、日本の国力を底上げする可能性があると強く感じた次第です。
動き、人に出逢い、耳を傾けることで手に入れられるものこそ未来を切り開く宝。久しぶりの海外で改めて再認識できました。

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根本的、かつ本質的なアプローチで建築実務者の育成を行っています。
繋がってください。



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