見出し画像

オレたちのCSV、大工たちのSDGs

時代が大きな転換期を迎え、これからはこれまでの延長線上にないのは誰もが感じているところ。インターネットの普及は結局、マスマーケットで大手企業が存在感を増し続ける構造を構築しました。この枠組みの中では全ての事業者がGoogleやamazon、UVERなどの企業を通してしか売り上げを作ることが出来なくなります。地域企業と言えどもこれまでの、良いものを作り、良いサービスを提供して生業をなすだけではなく、時代の変化に合わせた変容を遂げる必要があります。その一つのヒントがCSV経営だと私は認識しています。

共有価値の創造(きょうゆうかちのそうぞう、英語:creating shared value、略称:CSV)とは、企業競争戦略を専門とするアメリカ経済学者マイケル・ポーター2006年、米ハーバードビジネスレビュー誌の同年12月号に『Strategy and Society』と題する共著の論文の中で初めて提唱した経営戦略のフレームワークで、企業による経済利益活動と社会的価値の創出( = 社会課題の解決)を両立させること、およびそのための経営戦略のフレームワークを指す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

持続可能な社会を担う企業のソーシャルシフト

共有価値の創造とは言い換えれば共感される事業への転換、社会的意義のある事業へのソーシャルシフトを指しています。欧米型の行き過ぎた金融資本主義は際限なく貧富の格差を拡大し、世界に分断を生み続けることはロシアのウクライナ侵攻によって一気に表面化しました。解決不可能と思える数々の社会課題に世界が埋もれてしまいつつあるのを危惧した結果、国連でSDGsが採択され、持続可能な社会の実現に向けて世界中の国々が意識を持ち始めました。そんな時代背景を見れば、規模の大小、業種業態に関わらず、全ての事業所は事業そのもので社会課題の解決に取り組むソーシャルシフトが求められるし、そのような取り組みを通してユーザーからの共感を得て、ネットで表面的な比較検討をされる弱肉強食の市場から一歩距離を置いた事業展開ができるようにもなると思っています。

本業で社会課題を解決する経営

少し前まで、経済学の世界では企業の経済活動と社会貢献はトレードオフの関係にあるとされてきました。事業での儲けが出ればその利益の一部を社会貢献に使うべきとの考え方はマーケットで存在感を示す大手企業の専売特許になっており、内部留保の一部を社会的な活動に回すことで、本業で生み出している環境問題や労働問題、格差の拡大等の社会課題をまるでなかったかのような隠れ蓑として使われることも少なからずありました。本来の順番としては企業が本業で社会に悪いインパクトを与えない経営をまず目指し、その上で事業そのもので社会課題の解決に寄与できれば世の中はもっと良くなるはずです。その本来の在り方をマイケル・ポーターは示しました。

小さくても確実に歩みを進める

とはいえ、私たちの様な地方都市で小さな事業を行う地域企業に出来ることはたかが知れています。それでも、マーケットである地域で共感を得られるように自分たちのリソースを最大限活用し、些細なことでも出来ることから取り掛かるしかないと思っています。私が代表を務める株式会社四方継では単なる地域工務店だった前身のすみれ建築工房から2年前にソーシャルシフトに取り組み、社名変更と共に地域コミュニティー事業部であるつない堂を立ち上げ、地域で活躍する事業者を応援する取り組みを続けており、現在はその事業者さん達とオリジナル地域通貨の実証実験を行っています。まだまだ小さなコミュニティーではありますが、そこから発生する建築工事を受注することでGoogleや大手広告代理店にフィーを支払う事なく工事の発注を頂けるようになってきました。

オレたちのCSV、大工たちのSDGs

また、建築事業部のつむぎ建築舎では廃材を活用して、社員大工の空いた時間を利用して木工製品を制作、販売する取り組みを進めています。大工スタッフたちが知恵を絞り、アイデアを生み出して様々な製品を作って、一般向けの販売だけではなく、つない堂が発行している地域通貨で購入してもらえる仕組みを目指しています。建築工事から出される廃材を減らすこと、建築業界では人員の在庫として忌み嫌われる社員職人の空き時間を有効活用すること、また地域の人に木工製品の温かみに触れてもらうこと、地域通貨の流通を促進して地域経済を微力ながら活性化する効果を期待しています。
これらは私が創業時に掲げたミッション、「職人の地位向上」と株式会社四方継への業態変更の際にスタッフ皆と考えた「四方良しの世界の実現」を軸にした私たちの小さなCSVの取り組みでありSDGsのアクションです。自分達だけが良くなればいいのではない。四方の人たちの幸せを願っての事業が少しずつ共感の輪が広がることを目指し、願っています。

_______________


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?