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持続可能性は計画・実行と構造化のシンプルな組み合わせ② 適材適所と課題の細分化

2022年、新しい年を迎えて今年の私のテーマは「構造化」です。昨日のnoteにも書きましたが、現在、世界中で注目され、求められている事業も社会も環境も持続可能性を高めるにはそれが欠かせないとの気づきです。
分かりやすく建築に例えると、しっかりとした基礎や土台を設計し、構造計算通りに作りあげることが、地震や台風などの外部環境の大きな変化に襲われてもビクともしない構造を組み上げる、建築物を維持する絶対条件なのは誰しもが納得されると思います。それは事業や組織、社会なども基本的に同じで全体を俯瞰した綿密な計画が必要との当たり前すぎる理論です。自明の理でありながらあまり意識されることがないと感じるその構造化を実際の事業に落とし込む方法論を引き続き書き進めていきます。
昨日のnoteはこちら。

世界最長寿企業による世界最古の木造建築

持続可能性の話題で建築で例える場合に欠かせないのは世界最長寿の企業と言われる金剛組が建てた世界最古の木造建築である法隆寺です。持続性の象徴と言っても過言でない法隆寺の五重塔が建てられたのはおよそ1500年前、当たり前ですがその当時、電動工具などあるわけ無く、それどころか精度の高い定規さえ存在したのか怪しいものです。山から木を切り出して製材するにしても同じ大きさの正角の柱や梁に揃える事さえ出来ない時代に組み上げられた建物が長い年月の風雨や地震などに晒され続けて今なお立ち続けているというのは本当に驚愕に値します。

適材適所の構造こそが持続性の鍵

その法隆寺の改修を手がけた伝説の大工棟梁、西岡常一氏がその圧倒的な持続性の要諦について語っておられます。西岡棟梁曰く、法隆寺が悠久の時を耐えて来られたのは「適材適所」で材が使われたからだ。との事で、形もバラバラ、癖も強い木材を構造に組み立てる際にその材の出自や育った環境、個性や特徴を遺憾なく発揮出来る様に配置して組み上げたからであるとの事です。遠目には分かりませんがよく見ると法隆寺の建物に使われている材は一つも同じ大きさのものはなく全てバラバラだと聞いたことがあります。そして、西岡棟梁は「適材適所」の概念は建物の構造、木組みだけではなく、人の登用や育成にも通じる考え方であり、事業を成すには関わる人が持つ個性を知り、その才能を伸ばして用いる事が欠かせないと言われています。

適材適所とはタレンティズム

適材適所、個性を生かし才能を発揮する事が持続可能性を高めるとの西岡棟梁の言葉は最近になってタレンティズムとの考え方として大きな注目を浴びています。世界中からトップクラスの頭脳が集まるダボス会議でもグレートリセットがテーマとして論じられ、格差が広がり断絶と分断が深まって閉塞感が日増しに強くなる現代の行き過ぎた強欲資本主義は終焉を迎え、新たに共感と共創を資本とする新たな社会への移行が取り上げられてました。その社会変革とも言える大きな転換に必要なのが、一握りの富裕層のトップの意思決定ではなく、あらゆる人が持つ個性と才能を発揮して集合知を集めるタレンティズムの概念だと議論が帰着しています。世界で今、必要とされているのは適材適所を叶える再構造化だという事だと思うのです。

持続可能な世界を作るの計画と構造化

ダボス会議で取り沙汰されているのは現在の資本主義が突き進んでいるのはは持続可能な循環型社会と真逆のゼロサムゲームであり、地球環境も、国や地域も組織も破滅に向かってしまうとの懸念からです。グレートリセットの議論に先立って国連で採択され、国連に加盟している世界中の国と地域が批准して取り組んでいるのがSDGsであり、持続可能な循環型社会への具体的な目標設定です。世界中に生きる人の人権をと平和、地球環境をを守りより良い世界を次世代に引き継ぐための具体的な目標計画とその実行は、言い換えれば地球規模の壮大な事業であると言うことができます。SDGsに示された17のゴール(目標)は人類共通の大いなる目的を支える柱であり、いわば構造化された計画の全体像を示していると言っても過言ではありません。

目的の明確化と課題の細分化から始めよう

SDGs然り、建築物が綿密に計算された基礎や土台、柱や梁などのそれぞれがしっかりした部材で構成されて強い耐震性を発揮するのと同じ様に、全体を成り立たせ、持続性を高める構造化は細分化とセットです。構造化思考とは全体を包括して(脆く崩れ去ることにならない)あるべき姿、理想や理念を明確にすることが大前提にあり、その次の段階で全体を支えるファクターを細分化してそれぞれに綿密な計画を立てることを指します。このように考えれば(持続性を価値観の中心においた場合、)あらゆる組織やそこで営まれる事業において構造化の概念が必要だと理解できると思います。
私たちが取り組む事業を持続可能にする構造化はまず明確な目的の設定と課題の細分化から始めるべきで、その一つずつが個別の課題、もしくは社会や地域の課題解決に繋がる、そしてその実行は適材適所の人材育成と登用が担うべきだと思うのです。

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現場実務者の育成を通して適材適所と構造化をサポートしています。


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