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『当たり前』のバイアスで見ていたのは私の方だった


お父さんは何もしてくれなかった


先日旅立った父について、約2年間にわたってstand.fm大人の給食室や、noteでも発信してきたので、 とても親孝行な娘だと思われているところがあるようだけど、実はそんな事もない。

約2年前「親の面倒を見ないのは薄情なのか?」という配信をしている。
この配信は、かなり反響を頂きコメントやレターもたくさん頂いた。

簡単に言ってしまうと、父は私にお金がかかるような事は何もしてくれなかった。いざ介護が必要になったら、こちらが時間もお金も捻出してまでやらなくてはならない事なのか。
親の世話にならずに自立して生活しているだけでも、親孝行なのではないか。

というような内容だ。

女の子だから


私には兄がある。
昭和世代の家庭にはよくある事かもしれないが、兄は男だからという理由で色々とやらせてもらえていた。

私はといえば、

ピアノはお金がかかる
塾なんて行かなくても勉強はどこでも出来る
英語はラジオ講座で十分

ことごとく却下され、その事は私の心の中にずっとしこりのように残っていた。

A子ちゃんも、B子ちゃんもピアノを習っていた。
何で私だけダメなの?

色々やらせてもらう機会があったら、もっと違っていたかもしれない、いや違っていたはず、と思っていた。

父の介護で


父の介護をし始めてから、私の気持ちは少しずつ変わっていった。
最初の頃は「子どもなんだから親の面倒をみるのは当然でしょ」みたいな目で見られることに、とても抵抗感があった。

父が私の家の近くに移って最初に入った施設は自立型だったので、父に何かあるとすぐに電話がかかってきた。
こちらも仕事や生活があるから、今すぐ来てくれと言われてもすぐには行けない事もある。

そんな時に子どもなんだから、とか、親が心配じゃないのか、のニュアンスが漂ってくると、正直苦痛だった。

でも、父はいつも私への感謝の気持ちを忘れなかった。

「ありがとう」
「いつも世話をかけて悪いね」

その言葉は父の手帳にも記してあった。

お父さんは働くもの


父は真面目で働き者だった。

お父さんは働くものだというバイアスで見てたのは私の方かもしれない事に気付いた。世の中には働かないお父さんもいるだろう。

家事は女性がするもの、当たり前と決めつけるのはおかしい、とずっと思っていたけど、お父さんは働くものだと思っていたことには何の疑問も抱かなかった。

私が小学生の頃だろうか。
ピアノ業者から電話がかかってきた。その時、家にいた私は父が対応していた会話が耳に入ってきた。

「娘に買ってあげたいけどね…。50万はね…、今すぐには難しいなぁ」

なぜか、この父の会話がずっと耳に残っている。

その当時は、やっぱり買ってもらえないんだなとガッカリした記憶があるけど、父は何もやらせてくれなかったのではない。

その当時の50万は大金だ。
やらせてあげたい気持ちはあっても、そこまで生活に余裕がない。
そんな事を、何十年も経ってから気付き直している。


ギャンブル、お酒、遊びにお金を使うでもなく、私たち家族のために精一杯働いてきた父は、決して当たり前なんかじゃない。

何もしてくれなかったと思っていた私は、
父からたくさんのものをもらってきた。

受け取ってきた。

心から、ありがとう。

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