![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143465876/rectangle_large_type_2_113b97630123b93d50e4c0940a8f43e5.png?width=1200)
レシピの再現性を高めて、食育の質を上げる話
この記事の主題は、「レシピの再現性」です。
再現性とは
「再現性が高い」とは、
科学の実験の論文の場合…あとで別の人が検証しようとしたときに、「論文に書かれているとおりに実験を間違いなく行えば、必ず同じ結果が得られる」というもの。
レシピの場合…「書かれているとおりにやれば、誰でもまったく同じ料理ができあがる」ことを表します。
つまり、レシピの再現性とは、そのレシピに書かれている通りに調理すれば、誰が作っても同じ味と見た目の料理が完成する度合いを指します。
再現性の高いレシピは、材料の分量や手順が具体的かつ詳細に記載されており、曖昧な表現が少ないのが特徴です。
その結果、誰が作っても同じ味と見た目の料理が完成します。
再現性のあるレシピが要らない場合
ただし、すべてのレシピについて高い再現性が求められるわけではありません。
そもそも、料理の達人でもレシピを書かない人がいます。
たとえば「私の背中を見て覚えなさい」的な料理人は、たぶんレシピを書きません。
自らレシピを書く人でも、自分用にメモとして記録するようなときは、感性にまかせて自由に書きたいように書けばよいです。
レシピの再現性なんて関係ありません。
人にレシピを見せる場合でも、目的によっては感性にまかせて自由に書きたいように書けばOKなケースがあります。
たとえば友人にレシピを渡す場合。
この場合、自己流でもあまり問題はないと思われます。
レシピどおりやってうまくいかなければ、本人に聞けばよいからです。
レシピ本を出す場合や、レシピをネットに載せる場合でも、目的によっては書き方はどうでもよいことがあります。
たとえば、料理の美しい写真を見せるのが主な目的のレシピ本の場合、レシピなんて大雑把でじゅうぶんでしょう。
今、筆者のデスクの上にはモダンなインド料理のキレイな写真を並べた本がありますが、これなんかは本質は「画集」です。
見て楽しむものになっています。
実際に自分で作ることはなさそうだし、著者側も、読者が同じものを作ることをあまり期待していないようにみえます。
実際、レシピは「あらすじ」しか書かれていません。
これを見ながら写真と同じものを作るのは少なくとも素人にはかなり難しいでしょう。
でも、この本はそれでよいのです。
料理の美しい写真を見せるのが主な目的のレシピ本だから。
再現性のあるレシピが望まれる場合
食品会社や総菜メーカーが使うレシピには、高度な再現性が必要です。
同じものを大量に作るからです。
料理教室などで教材として使われるレシピにも、再現性は欠かせません。
個人でも、
多くの人に同じ料理を作ってもらいたい場合に作るレシピ
料理初心者向けに提供するレシピ
には、再現性が重要となります。
レシピの再現性と食育
再現性の高いレシピは、食育活動を行う際にも役立つと考えられます。
なぜなら、1つには、先生が教材として使うレシピが再現性の高いものであれば、生徒は料理を失敗することがないからです。
つまり生徒は成功体験から始められ、料理が嫌いになるリスクが下がります。
もう1つは、再現性の高いレシピは一般にわかりやすいですね。
教材として使うのに向いています。
![](https://assets.st-note.com/img/1717906077136-dAgFwZhC85.png?width=1200)
食育の分野において、再現性の高いレシピは教育ツールとして使い勝手がよいです。
栄養バランスの理解や食材の扱い方を分かりやすく教えるのにも役立ちます。
具体的に健康な食生活を理解するにも、料理のスキルを向上させるにも、再現性の高いレシピは教材として便利です。
つまり、食育活動を進めるにおいては、料理そのものの腕を磨くよりも、再現性の高いレシピを書く練習をするほうが、効果的なのかもしれません。
再現性の高いレシピの書き方
再現性の高いレシピを書くには、以下のような点に注意が必要です。
材料を明確に表す
量の表現は具体的に(グラム、ミリリットル、個数など)
種類や品質を明確に(「油」ではなく「サラダ油」や「ごま油」など)
手順を詳しく記載する
前後関係が分かりやすいように(「何と何を混ぜたものを、どこにかけるのか」など)
火加減、調理時間などを正確に
調理器具や調理環境を明記する
使用する調理器具のサイズや種類
オーブンを使う場合は温度設定を指定するなど
感覚的な判断基準を加え、わかりやすく述べる
色(「白く濁ってきたら火を止める」など)
硬さ(「箸が軽く刺さるようになったら火を止める」など)
香り(「スパイスの香りが立ち上ってきたら、水を加える」など)
音(「油が弾けるような音がしたら、次の材料を加える」など)
料理が完成した状態を示す
完成した料理の見た目はどうなっているか
完成した料理の味わいはどのようなものか
用語を統一する
用語の使用が一貫していること(「切る」「カットする」「刻む」の表現を統一するなど)
専門用語や略語を使わず、理解しやすい一般の言葉を使う
このような細部にわたる注意が、料理の再現性を高める鍵となります。
再現性の低いレシピ
いっぽう再現性の低いレシピは、主観的で曖昧な表現に依存しています。
たとえば、「適量」や「少々」といった表現は、料理の経験や感覚により異なる解釈が可能ですよね。
教えるほうは自分がよくわかっているからそれで構わないのですが、教わるほうはそれでは立ち行きません。
料理初心者にとって、調理の際に混乱や不安を引き起こす原因となります。
料理のスキルとレシピを書くスキルは違う
この記事は、再現性のあるレシピを絶対視するものではありません。
読んだ人に「まったく同じものを作ってほしい」場合のみ、再現性が重視されます。
また、料理のスキルとレシピを書くスキルは違う、ということも述べておきます。
料理が優れていること
レシピの書き方が上手なこと
この両者は同じではありません。
すぐれた料理人でも、レシピを書かない(うまく書けない)人はたくさんいます。
レシピを上手に書く人でも、料理の腕はたいしたことない、というケースも多々あります。
まとめ
レシピの再現性は、そのレシピの目的や対象者によって重要度が異なります。
多くの人に同じ料理を作ってもらいたい場合には再現性が重要ですが、そうでない場合は必ずしも再現性にこだわる必要はないでしょう。
ただし再現性を求めるなら、細部にわたる注意と、それを正確に記述するスキルが必要です。
最後に、食育総研で作ったAIアプリを紹介します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?