鯵のカレーと卵のカレー

夕方、仕事から戻って急ぎカレーを作りました。長粒米はなかったので、普通のご飯と早炊き玄米をセット。ちなみに、個々最近は土井善晴さんの「洗い米」方式を試してみてます。もともと、お米の味には然程うるさくないのですが、試してみると、水加減などがちょうどよい気がしての継続実験です。

今日のカレーは、ルーを使わない方式。巷では「スリランカカレー」とか、いろんなカレーをぶっかけまくる合掛けカレーなんかが流行ってますが、気分はそんな感じ。さらっと重たくなく、かついろいろな「味」の掛け合わせを楽しめるようなものにしましょう。

学生時代、初めてバイトしたのがインドカレー屋でした。よくある、北インドの宮廷式カレーをベースにしたお店で、ナンや、バターチキン、パラクパニールなど、こってりクリーミーな味を存分に楽しめたのは、私のカレーづくりの原点になっています。
とはいえ、まかないにはしばしば、コックさんたち(多くはインドではなくネパール出身の方でした)にとっての日常料理、家庭料理がならび、それがまた大変に美味しかったのも印象的です。野菜中心で、決して重たくなく(…とはいえ、日本の料理と比較すれば油たっぷりなのですが)ご飯にも合う「スパイシーおかず」の美味しさは、これまた、私のカレー観を広げる扉となったものです。今回食べたいのは、この、後者のイメージに繋がるもの。

特段カレーに詳しいわけではないですが、インドでも北部、南部では随分スタイルが違うようですし、スリランカやバングラディシュとなればまた、それぞれ特徴があるのでしょう。数年前に訪れたマレーシアにもインド系住民から持ち込まれたカレーがありましたが、やはり独特のマレースタイルがあるような印象を受けました。
しかし、その全てに共通するのは、素材全てが混在一体となった美味しさ、それをさらに炭水化物とともに頬張る美味しさ。
日本で流行りの創作系ともいえるカレーも、その美味しさの系譜につながるのではれば、大いに結構、楽しもうじゃないですか!という気分であります。(何様だ)

前置きが長くなりました。
今回のカレー、まず、鯵のほうは、「酸味」をキーにしたいと思いました。
三枚に卸して骨を取り除いた鯵に塩をふってしばし。出てきた水分は拭き取っておきます。
スパイスは、今回はスリランカ式に倣って「ローステッドカレーパウダー」を。このカレーパウダーは、ケイハンターさんの料理教室で教えてもらったもの。それまで、インド方式のカレーレシピで四苦八苦していた私には、目からウロコの簡単さと美味しさで、以来愛用しております。スリランカカレー、素晴らしい。
ケイハンターさんに教わったやり方ですと、材料とスパイス類全てを鍋に入れて火にかければOKなのですが、今回のイメージには「酸味」そして「マスタードシード」「黒胡椒」がありましたので、ここは少しだけ南インド方式、スターターとしてマスタードシードとメティシードを油で熱するところからはじめます。いい香り。
続いて玉ねぎ、大蒜を加えて炒め合わせたところに、タマリンドペーストと具材、スパイスをすべて投入。ここでふと思いついて、一口大の茄子も放り込みました。酸味のある茄子カレー、美味しそうではないですか。水分も加えて蓋をして煮込みます。

続いて、卵のカレー。こちらは、バターチキンのような甘口のものに仕上げたいなぁというイメージ。トマトとカルダモンを使うことにします。バターチキンにはカシューナッツが入りますが、ないので、ピーナッツオイルとピーナッツバターに風味とコクを担当していただきましょう。
スターターとしてクミンシード、メティシードを熱したところに、玉ねぎ、大蒜。いい感じに火が通ったらみじん切りトマトも加え、さらにスパイス類を。スパイスは、カルダモンパウダーにプラス、ベーシックなターメリック、クミン、コリアンダーなどを適当に。ピーナッツバター、水分を加えてしばし煮込み。半熟に茹でておいたゆで卵は、ルーが絡みやすいように表面に軽く切り込みをいれて、鍋に加えます。
先にルーをミキサーにかけて滑らかにすると、より気分かなと思いましたが、今回は時間と気力と体力の関係で割愛しました。
最後、甘みが若干足りなかったので、ほんの少し蜂蜜も加えて完成。

スパイス料理は、出汁の国に育った人間にはなかなか難しい面があるのですが、今回のように、馴染みのある出汁素材=鯵をメインに据えると、比較的味が決まりやすいですね。

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