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8か月かかりました

ついにここまできた。

3月のロックダウンからはじまったパン作り。ココアメロンパンが食べたいだけだったのに、ふと天然酵母に興味を覚えて干しブドウで酵母づくりに精をだし、何かの拍子に水と小麦で発酵種を作るサワードウブレッドに出合ったら、そこから戻れなくなった。

おいしいパンを作るはずが、その手前で大きく出鼻をくじかれた。レシピ通りにしているのに、動画通りにしているのに、できあがるのは理想からほど遠いフリスビーパン。公園で投げたら犬が喜びそうなほど平ったくて、味もサワー(酸っぱい)を超えた酸っぱさ。生地はモチモチどころか、お相撲さんのようにずっしりで、手に取るとどっしりする。

発酵が足りない? 小麦が弱い? 水多すぎ? 発酵させすぎ? 全粒粉入れすぎ? というか、そもそも。パンを作ったこともなかったのに高度な技術を要する(っぽい)サワードウに挑戦しようなんて、十年早かった?

1個作るのに1日以上要するので、原因をひとつひとつ潰しながら検証&改善するには時間がかかりすぎて、新たな問題も発生していたりしたら、もうお手上げ。何が原因かさっぱりわからない。それでも動画で紹介されているようなパンを夢見て、あれでもない、こうしたほうがいいかもと微調整してみるけれど、オーブンから出てくるのはやっぱりフリスビー。トライ&エラーのループから一生抜け出せないかも、といういやーな気持ちにもなった。クープがぱっくり開いて、生地がもりっと盛り上がるパンなんて作れないかも。でも、なぜかやめられない。

春が過ぎ、夏が終わり、オーブン前にがっくり頭を垂れる日々が続き、秋になって冬の支度をするある日、突然、その感覚が降りてきた。

「なんか、大丈夫かも」

発酵籠に入れる前のファイナルシェープ・パニックもなく、籠から出した後のやりすぎスコアリングもなく、蒸気与えすぎもなく、常時冷静を保ってオーブンにつっこみ約1時間。

生地が盛り上がっている! クープが開いている!! 

ここにくるまで3つの季節を費やしました。かかりすぎな気もするけれど、とにかく、やっと、たどり着きました。今でも毎回理想のパンが焼けているわけではなく、トライ&エラーは続いています。

そんな自分の腕を見守りつつ、春から始まったサワードウジャーニーを書き綴っていきたいと思います。






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