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ガンプラを愛する、かつての少年たちへ

(この記事は、後藤企画・職業訓練校の「コピーライティング概論」の授業で課題として、受講生同士で相互インタビューを行い作成したものです。)


最初は怖い存在?!

ガンプラ(ガンダムのプラモデル)づくりが趣味という奥村哲也さん。
未完成のものも含めて手元に12体所有し、週末の3時間程度をコツコツとプラモデルづくりにあてているという。こどものころから長くにわたって飽きることのない、その奥深い魅力について語ってもらった。

ガンプラの存在自体は幼稚園のころから知っていたが、最初は5、6歳上の友達のお兄さんが持っている壊れやすいおもちゃという認識でしかなかった。
友達の家に遊びに行くたびに「触ったら兄ちゃんに怒られるからだめ!」と言われており、ガンプラに対して怖いイメージすら抱いていたという。

そんな奥村さんが、初めて触れた記念すべきガンプラは「元祖SDガンダム NO-81 フューラーザタリオン」。
小学校3年生くらいのころ、母親と一緒に行ったデパートで、そのかっこよさに一目惚れして買ってもらった。ものづくりや工作が好きだったこともあり、以来すっかり夢中になり、ガンプラを集め始めた。

クオリティーの高さに感動

それから30年ほどの月日が流れ、人生のさまざまなステージの傍らで、プラモデルづくりを続けてきた。

10代後半から20代半ばにかけてガンプラから遠ざかった時期もあった。
しかし、東日本大震災後、時間ができた時期に、久しぶりに買った「HGUC 1/144 ユニコーンガンダム デストロイモード チタニウムフィニッシュ」が、奥村さんをプラモデルの世界に連れ戻した。

久しぶりに手にしたガンプラは、1997年、記憶の中で最後に買ったHG(ハイグレード)ブランドと比較して、格段にクオリティーが上がっており、改めてガンプラの魅力を再認識したという。

印象的だったのは、塗装を施されてキラキラと輝いていたこと。
加えて、エッジの立ったパーツ成形技術、パネルライン(パネル同士の境界線)の彫りの深さ、パーツの色の正確さなどのレベルが高く、パッケージイラストのイメージそのものを再現できた。
その上、可動範囲も大きく広がっており、高価格で販売されているロボットフィギュアに匹敵する完成度の高さだと感じられた。


HG 1/144 ガンダムエアリアル フライトユニット装備(奥村哲也さん提供)

制作の工夫について

現在出ているガンプラは、HG(ハイグレード)、RG(リアルグレード)、MG(マスターグレード)、PG(パーフェクトグレード)を中心に、大きく分けて8ブランドある。
パーツ数はブランドにより異なるが、HGブランドでは、230個程度、MGブランドでは400個程度となり、完成までの作業は非常に根気を必要とする。

完成までの流れとしては、大まかに下記の通りである。
 ・パーツをランナー(各色ごとのパーツ枠)から綺麗に切り離す
・一度パーツを組み立て構造を把握する
・分解し、パーツの接着と表面処理を行う
・塗装して仕上げる

内部骨格まで精密に作られているガンプラは特に、パーツ数が多くなるが、最近のキットからはユーザビリティの向上が顕著に伺えるという。
ランナーが整理されており、パーツを探すことなくつくれたり、説明書も制作順に構成され、ユーザーの目線に立って楽しくプラモデルを完成させるための工夫が徹底されている。

おすすめのシリーズ

ガンプラはブランド数も多いが、シリーズとしても36作品が登場している。
奥村さんが最近買った中で、お気に入りのシリーズは『機動武闘伝Gガンダム』、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とのこと。
特に『機動武闘伝Gガンダム』(1994年4月〜1995年3月放送)は、小学校のころ初めて通して観たアニメシリーズとして、思い入れも深い。
最近はこのシリーズのリメイクとなるガンプラが発表され始めており、密かに注目している。

これからガンプラを始める人には、HGかENTRY GRADEをおすすめするそう。
HGはガンプラのスタンダードと呼べるブランドで、商品のラインアップが最も豊富なので、気になるものが見つかりやすい。
また、まずはガンプラに触れてみたいというのであれば、気軽に取り組めるENTRY GRADEがふさわしい。こちらはパーツ数が少なく、素手でパーツを切り離せるため、 5歳くらいのこどもからつくることができる。
 
具体的なおすすめとしては、下記を挙げてくれた。
・「HG ガンダムエアリアル」
・「HGUCザクII」
・「HG RX-78-2ガンダム[BEYOND GLOBAL]」
・「Figure-rise Standard スレッタ・マーキュリー」

「ニッパーも忘れずに買ってくださいね」との優しい一言。

広がるガンプラの世界

最近の奥村さんは「もっと塗装を丁寧に行いたい」と考えるようになった。
筆で塗るとムラが残って仕上がりが綺麗でなくなってしまうため、新たにエアブラシを購入したという。塗装をスプレー状に吹き付けることができるため、仕上がりの完成度がぐっと増す。
「自分の描いた完成イメージに近づけたい」と力強く語る。

最近では、YouTubeやTikTokでガンプラの魅力を動画で伝えるファンも多い。
たまたまガンプラ好きというきっかけで知り合いと話が盛り上がることはあるが、純粋なファン同士の交流は経験がないそう。
「いつかは完成品や制作工程をTikTokなどで配信して、ガンプラファンの人と魅力を共有したい」と奥村さん。その瞳の奥から熱い思いが伝わってきた。

ガンプラは、2014年ごろから本格的に海外で売り出され、現在では出荷数の5割が海外向けだという。
2020年にパリにヨーロッパ発のオフィシャルショップが開店したことも話題となるほか、アジア圏を中心に海外でのガンプラ人気は高まっている。

奥村さんも、コロナ禍明け、月に1度秋葉原のホビーショップを見て回る際、海外の方が様々なキットを買って回っている光景を目にするそう。
アニメを見てファンになった人が、日本を訪れた際に大量に買っていくと考えられる。
「現代ではネットを経由して日本のアニメが海外でも広く視聴されるようになり、ガンダムファンが世界中に拡大したために、ガンプラの人気も高まっていったのではないのでしょうか」と奥村さんは分析する。

1979年4月にアニメ放送を開始した『機動戦士ガンダム』。1980年7月にプラモデルが発売されて、アニメの人気と相まって多くの人々を魅了してきた。その魅力は40年以上経った今でも、こどもからシニア層まで国内外の多くのファンの心をつかんでいる。

RG 1/144 MSN-02 ジオング(奥村哲也さん提供)


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