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フランス留学日記:フランス語教授法修士って何やるの?

気づいたら11月も終わりに差し掛かろうとしています。

9月からスタートした大学院生活。
毎日足のつかないプールで犬掻きしながら、なんとか生き延びている、そんな感覚です…。

学校に通い始めてから、

フランス語教授法のマスターって何するの?フランス語勉強しているの?

と聞かれることが多いので、今回は私が通っているコースや授業内容について少しご紹介したいと思います。

フランス語を勉強して、さらに教授資格もとりたい!という方はそこまで多くないと思いますが、日本のアンスティチュフランセやアリアンスフランセーズに在籍する先生方はこのマスターを取得している方が多いので、先生たちはこういうことを学んで、教えてるんだな~と思っていただけると面白いかも?

Master FLEとは

FLEはfrançais langue étrangère(外国語としてのフランス語教育)を指します。
フランス語を教える資格は他にもいくつかありますが、Master FLE(フランス語教授法修士)はその名のとおり大学の修士課程なので、2年間みっちり教授法について学びます。

学生のプロフィールもさまざまで、SDL(言語学部)、lettre(文学部)、LEA/LLCER(外国語学部)などのLicence(学士)出身の学生が大半でしょうか。大学によって入学要件は異なりますが、言語学または別の専攻でもOption FLEというコースを修了していることが必須になっているケースが多いかと。

私の大学は1学年30名弱なので、すぐにみんなと打ち解けて仲良くなれたのは良かったです。

Master FLEを開講している大学はこちらのページから検索できるので(私も受験の際ここから各大学の情報を集めました!)もし興味ある方いらっしゃったら見てみてください。

授業内容

私の所属する課程は、Science de langage(言語科学部)の一部ではありますが、研究というよりは専門職養成の役割が大きいので、理論と実践をミックスした授業が多いです。

コマ数は授業によって異なりますが、とりあえず1学期で私が受けた授業はこんな感じ。大体1コマ2~3時間です。長い。

社会言語学
社会言語学の基礎、フランス・イタリア周辺地域の言語バリエーション、フランコフォニーの言語政策など。日本の大学でも社会言語学の授業とった記憶あるのですが、当然日本語の社会言語学なので、内容は全然違いました。イタリア人の教授なので、イタリア国境らへんの事例を取り扱うことが多かったような。内容はすごく面白いんだけど、専門用語や概念など複雑で言語学出身の学生はまだしもそれ以外の学生はかなり苦しみました。テストは難しすぎて撃沈。ちーん。

音声学
フランス語音声の仕組みや基礎、発音矯正のやり方について。
学習者の発音を録音して分析し、発音矯正の授業案を作成するのが期末課題です。私は生徒さんの1人にご協力いただきました、ありがとうございます!

相互作用(interaction)分析
語学のクラス内での先生や生徒間のやりとりを理論的に分析する授業。授業の録画を一言一句文字起こしして、教師がどういうテクニックを使ったり、どういう現象が起こっているか、などを分析。興味深いんだけどマジ難しい。

現代フランス語記述
いわゆるフランス語文法の授業。私も学習者なので分法は比較的得意なので、なんとかついていけてる。時にネイティブより知っていることが多くてドヤれます。でも概念や名称のフランス語が覚えられなくて苦しむ。

実践分析
現役FLE講師の授業。講師はどうあるべきか、どのように教室で立ち回るのか、授業の回し方や授業見学の際にチェックするポイントなどを学びます。実際に大学付属の語学学校の授業見学にも行きました。

リーディング・ライティング指導法
こちらも現役FLE講師の授業。CECRL(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づいてリーディング・ライティングをどう指導するのか、作文添削の方法などを学びます。新聞記事や広告など身近なテキストを1つ選んで、授業案を作成する課題があります。

オーラル指導法
言語能力・コミュニケーション能力の分類を学びながら、リスニング・スピーキングの指導方法を学びます。こちらも音声やビデオ素材から授業案作成する課題があります。

・メタ言語指導法
インプットアウトプットの理論や文法知識をどう自動化していくか、みたいな第二言語習得論に近い授業。目新しい画期的な方法はないです(笑)インプットアウトプットを繰り返して、勉強して落とし込んでいくしかないのだ…!あと既存の教材研究も新たな観点でテキスト見れて面白いです。

・フランス語圏の文学
フランスやフランス語圏の文学をレベル毎にどのようにFLEの授業に取り入れるか、という授業。ほぼ毎週グループプレゼンがあってなかなか大変…自分のレッスンでも使えそうな文学作品を色々知れたのは良かったです!

記述話法分析
初回の授業意味わからなすぎて、みんな口ポカーン。フランス語の文章で、どういうカテゴリーなのか、代名詞(il,elle,le,la,lesとか)が文章で何を指すのか、など分析する授業。例えばici(ここ)って書いてあっても、読み手・書き手・コンテクストによって、iciは今いるiciではないよね?みたいな!これだけだと意味不明だと思うんですが(笑)フランス語学習者が正確に文章を理解するために、主語が何で、今これは何を指しているのか、というのをしっかり指導できるようになるための勉強だと思います、たぶん。あとカミュのペストの一節の登場人物と代名詞を頭からどんどんナンバリングしていく練習は、ネイティブの学生もパニックに陥っていて面白かったです。

アカデミック・プロフェッショナルライティング
1学期はCVやモチベーションレターの書き方。2学期にスタージュ(インターン)があるので、実践的で助かる!クラスで1番若い子が私のCVの大学入学年度見て、「私の小学校入学年度だ…!」と驚いていたのがハイライト(笑)2学期はたぶん論文の書き方かな。

イタリア語(選択授業)
これまで独学で一応少しやっていたので、A1クラスは簡単かな…?と舐めていたら全然そんなことなかったです。フランス語と似ている&スペイン語知識ある学生が多くて、複合過去の解説も「フランス語とほぼ同じ!ここだけ違うから気を付けて!」で瞬殺でした…日本の大学だとこうはいかないですね。英語を選択するとFLE学生専用のクラスに入れられるらしいのですが、履修しているクラスメートいわく「授業中に妄想の花を摘んで匂いを嗅がされた」と言っていて、ちょっと意味がわからなすぎて逆に気になります。


こんな感じです!けっこうモリモリじゃないですか…?

修士ってこんなに授業数多いものだっけ…?と驚くくらい1学期は授業がみっちり詰め込まれていました。2学期は半分がスタージュ(インターン)なので、今のうちに詰め込めるだけ詰め込もう!という作戦でしょうか…。

どの授業もついていくのは正直難しいけれど、ベースとして知っておくべき知識が満載だし、1人だと絶対に学べないのでどれも興味深く楽しく受講しています。

幸い1学期は基礎がメインなので、選択授業は語学のみで、他は言語学部の学生と合同、もしくは私たちのクラスのみです。どの授業でも常に知っているメンバーがいるので、ノートを見せてもらったり、助けてもらう場面も多くて本当にありがたいし、心強いです。

12月は授業数が減るのですが、正直復習も全部は追いついていなくて、期末課題も山積みなのでまだまだ気は抜けない…!




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