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「見て楽しい」給食で、親子に寄り添う──写真で知ろう!小規模保育【生活の工夫】

子どもたちの成長を支える『食事』。ごはんの時間を少しでも楽しみにしてもらえるよう、見た目に「ひと手間」かけながら、素材そのものを味わえる工夫をしています。

日々のメニューをSNSで発信することで、園と保護者、子どもたちと保護者に新たなコミュニケーションが生まれるようにもなりました。

<子いづみや保育園/愛知県新城市>

【園児数】10人
【保育者】4人(施設長を含む)
【調理員】1人
(認可外保育施設を別で併設。同じ調理師が一緒に給食を作っています)

■ ねらいと配慮

保育をしていくなかで、近年変化を感じていたのが子どもたちの「食」への向き合い方。特に「手作り」に抵抗を示す園児が増え、園のおやつでも市販のクッキーやおせんべいなど、はっきりした味のものを好む傾向が見られていました。

「素材そのものを、もっと楽しみながら味わう経験を積ませてあげたい」。そう願い、2020年秋の自園調理スタート(※)と共に始めたのが、メニューの工夫やSNSでの写真配信です。

(※ 子いづみや保育園は2005年に認可外としてスタートし、2015年に認可小規模保育園化。調理室を増設した2020年秋まで、経過措置として給食には他の福祉施設で作っている「おかず」を取り寄せ、保護者に「主食」の持参を依頼していました)

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給食やおやつを「見て楽しい」ものにすることで、子どもたちも食べやすくなるのではないか。また、保護者も関心を持ちやすくなるのではと考えました。

■ 振り返り

調理員さんと相談しながら、毎日のメニューで何かの食材を星やハート型に抜いたり、盛り付けをちょっとだけ華やかにしたりし始めると、目に見える変化が子どもたちに起きました。

まずは、食べる量が増えたこと。給食を残す子どもは減り、それまで食べなかったものを積極的に口に運ぶ様子が見られるようになります。野菜が嫌いな子が「ニンジンはいらない。でも、おほしさまだけたべる!」(※ 星もニンジンでできています)と言って食べるシーンもありました。

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一番人気は「顔」です。パスタやうどんのときに、他のメニューの食材を組み合わせて作ります。子どもたちも「かおだ!」と毎回とても喜んでくれています。

また、給食の時間を楽しみに待つようになったのも大きな変化。朝、調理員さんが園に来たのをつかまえて「きょうはなに?」と言う姿が見られるようになりました。そのやり取りそのものが、とても素敵な時間だなと感じています。

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メニューや子どもたちの食べる姿は、Instagramでこまめに配信しています。その日の写真を見ながら「スパゲティ食べたんだね」「おいも、おいしかった?」といった会話が少しでも家庭で生まれたら……という意図でしたが、今では多くの保護者が楽しみにしてくださるようになりました。

レシピを保護者に尋ねられる機会も増え、手で書いて渡してあげたり、「おたより」として玄関に貼り出したりもしています。そういったアクションをすぐ行うことで、問い合わせてくれた方も喜んでくれますし、他の保護者も「あのメニューってこうすれば作れるんだ」と関心を持って見てくださるようになりました。

■ 「小規模保育」としての視点

毎日のように材料を型抜きしたり、並べ方を考えたりするのは大きな負担です。ただ、「定員10人(別フロアの認可外施設を合わせて20人)という規模であれば、細かな工夫もできます」と、調理員さんも日々積極的に取り組んでくれています。

地域のなかで、地元の野菜や手作りジャムなどの「おすそわけ」を頂戴したとき、メニューに柔軟に組み入れることができるのも、小規模の良さかもしれません。

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また、ごはんなどの「主食」を保護者に持参いただく取り組みは、自園調理が始まって以降も続けています(炊き込みごはんでも、パンでもOK)。管理には気を配る必要がありますが、そうすることで我が子の調子や発達を気にかけ、食事にまつわる「できごと」「気持ち」などを家庭で共有できると考えたからです。

「ごはんも炊いてほしい」と指摘されるかもと思いましたが、保護者も園の想いを汲んでくださり、完食などを一緒に喜び合っています。1日離れていても、親子が一緒にいたように感じられる仕組みを作っておくことの重要性を、改めて感じる機会になりました。

【園情報】
子いづみや保育園(特定非営利活動法人 ママ・サポート子いづみや)
http://koidumiya.sakura.ne.jp/koidumiya.html
愛知県新城市石田字黒坂 9-10 1F
定員10名
小規模保育事業A型・管理者設置あり
※ 同じ建物の2Fに、認可外事業(定員10名)を併設

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