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自分たちのものを、自分たちの手で。本物の「お買い物」体験の積み重ね──写真で知ろう!小規模保育【遊び】

スーパーに、お花屋さんに、薬局に……子ども自身と相談しながら、買うものや行く先を決めていく「お買い物」体験。繰り返し行うたびに、参加する2歳児の新たな表情や発言が引き出され、園に戻ってからも低年齢の子どもたちにさまざまな形で影響を与えています。

<きゅーぴーるーむ新大塚園/東京都文京区>

【参加する園児】2歳児5人ほど+1歳児数名(手をつないで自分で歩ける子ども)
【参加する保育者】保育士2〜3名

■ ねらいと配慮

園で食育などの活動をしているなか、「これ、どうしてここにあるの?」「どこで買ったの?」といった言葉が子どもから聞こえてくることがありました。そこで、子どもたちが使うものを“実際に手に入れる”ところからやってみよう、そこから後々の活動までつなげるようにしようと、数年前から取り組むようになったのが「お買い物」体験です。

野菜などの食材そのものだけでなく、時にはその種を買って一から育てたり、小麦粉や片栗粉を買いに行き感触遊びに使ったりと、対象とする活動や買うモノを少しずつ広げてきました。

体験の起点は、子どもたちの日々のつぶやき。そこから、「じゃあ今度買いに行ってみる?」「どこならあるかな?」と言葉を引き出しつつ、移動中やレジでの細かなルールを一緒に確認します。実行できるのは少し先の日程になりますが、園にあるカレンダーを見ながら「あと何回寝たらお買い物だね」などと声をかけたり、お金やカードのおもちゃを見せたりしながら、期待感が膨らむような関わり方をしています。 

■ 振り返り

いつも家族で行くような場所で、今まで見ていたことを「自分で」体験できる。ワクワクしながら買い物に臨む子どもたちは、毎回さまざまな姿を見せてくれます。すごく嬉しそうにしていたかと思えば、とても緊張した表情になるなど、ころころと様子を変えながら品物を探し、手に取ってレジに向かいます。

もちろん、支払いするのも子どもたち。実際のお金は直前で預けますが、自信を持って紙幣を渡す子どももいれば、「この紙で本当にいいの?」と不思議さや疑問が入り混じっている子どももいて、一人ひとりの捉え方や表現が異なることが見えてきます。

そうした経験が繰り返されていくと、だんだん子どもたちの自信にもなっていきます。「こんにちは」「ありがとう」といった挨拶が自然に出るようになったり、「これおねがいします」と言いながら店員さんに渡すようになったり

「ぼくのお花だから、きゅーぴー(園)でたくさんお水あげるんだ」などと、言葉ですごく丁寧に説明しようとする姿に、保育士が驚くこともありました。

また、園ではこうした活動のあと保護者に、「家でも◯◯を買いたい、というかもしれないので、その時は否定せずにまず耳を傾けてみてください」「レジの受け渡しも、可能だったらさせてみてあげてくださいね」と声かけをするようにしてきました。
実際、一緒に出かけたご家庭から、買い物のルールの理解や挨拶など、新たな子どもの姿を見て「すごく驚いた」という感想もよく伺います。「園でのことと、家のことと、全部が子どもの中でつながっているんですね」という言葉をかけていただいたこともありました。

■ 「小規模保育」としての視点

「お買い物」の中心となる2歳児は、当園の定員では5名です。この規模だと、複数のグループに分かれることなく、みんなで同じ場に行き、同じ体験を共有できます。園に戻ったあと使っていくなかでも、「自分は知らない……」と話に取り残される子どもがいない点は、乳幼児期の保育でとても大きなメリットがあるように感じます。

また、同じフロアで過ごす0・1歳児にも影響を与えています。種から買って育てた野菜を「大きくなったよ」と見せられるうちに興味を持ち、進んでお世話をするようになることも。「買い物に行く」ということの意味をきちんと感じ取っていて、それがまた次の年、自分の体験になっていくとき、新たな喜びを生んでいるように思います。

【園情報】
きゅーぴーるーむ新大塚園(株式会社キューピールーム)
https://qproom.jp/shin-otsukaen/
東京都文京区大塚4-46-5 アトラスアベニュー文京大塚1階
定員12名


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