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ツールとして使いこなす!『理工系学生のための 量子力学・統計力学入門』

今回は、2023年8月に刊行した書籍『理工系学生のための 量子力学・統計力学入門』をご紹介します。

本書は、書名からもわかる通り、量子力学と統計力学が1冊にまとまった書籍です。
それにもかかわらずとてもコンパクトなのが特長で、「え! この2科目が、こんなにコンパクトにまとまるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。(どのくらいの厚さなのか気になった方は、書店で要チェックです!)
しかし、これこそが本書の魅力。オススメの使い方とあわせて、その魅力をお伝えします。


ツールとして使いこなす!

これも書名にあるように、本書のメインターゲットは、理工系学部の応用分野の学生です。
それぞれの専門分野に進んだ後で、量子力学や統計力学の知識をツールとして使いこなせるように、厳選された必要十分な内容が盛り込まれています。
例えば、簡単なポテンシャルのもとでシュレーディンガー方程式を解くということや、統計力学で登場する考え方の異なる分布を用いて同じ問題を解くことで、それぞれの分布の違いを理解する、といったことに重点が置かれています。

本書で学ぶ3つの分布

量子力学と統計力学、同時入門のススメ

量子力学はミクロな世界を記述し、統計力学は私たちに馴染みのあるマクロな世界とミクロな世界をつなぐ役割をします。
そのため、この2つの科目は切っても切り離せない関係で、量子力学の本を読んでいるはずなのに統計力学の内容が出てきたり、統計力学の本を読んでいるはずなのに量子力学の内容が出てくることもしばしば……。
それなら、いっそ同時に学んでみるのもあり? 本書であれば、量子力学と統計力学がどのように結びついているのか意識しながら、量子統計まで一気に駆け抜けて学ぶことができます。

量子力学と熱力学・統計力学の関係図

授業の復習にもオススメ

量子力学と統計力学を学ぶうえで、最低限身に付けておきたいエッセンスが書かれている本書。
余計なことに惑わされず、量子力学と統計力学の考え方を学ぶことができるため、量子力学や統計力学の講義を受けたけど、いまいちよくわからなかった、という方の復習にもオススメです。
あまり厚くなく、読みやすい分量なので、春休みなどのまとまったお休み期間に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

例題や章末問題も充実しています

この本からはじめて、より高度な本へ進むのもよし、量子力学と統計力学をさっと復習するのもよし、いろいろな使い方ができる本です。
本書を足掛かりとして、奥深い量子力学と統計力学の世界に足を踏み入れてみませんか?

理工系学生のための 量子力学・統計力学入門』小鍋 哲 著
A5判/226頁/定価2640円(本体2400円+税10%)
主要目次 1.なぜ量子力学が必要か?/2.シュレーディンガー方程式と波動関数/3.物理量の期待値と測定値/4.シュレーディンガー方程式を解く(I)~井戸型ポテンシャル~/5.シュレーディンガー方程式を解く(II)~調和振動子型ポテンシャル~/6.シュレーディンガー方程式を解く(III)~散乱問題~/7.量子力学の基礎概念/8.なぜ統計力学が必要か?/9.孤立系の統計力学 ~ミクロカノニカル分布の方法~/10.閉鎖系の統計力学 ~カノニカル分布の方法~/11.開放系の統計力学 ~グランドカノニカル分布の方法~/12.量子統計の基礎/13.量子統計の応用

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