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センスは努力で磨ける

 気づいたら技に入り、相手を投げていた。このような「無心の一本」は、なかなか出ることがありません。私は30年以上柔道をやっていますが、試合と稽古を合わせて10回もないと思います。そんな理想的ともいえる技が、中高生・大人クラスの中で見られるようになってきました。 

 
 相手が出てきた所で、タイミングよく釣込腰で投げる(高校生塾生様)。相手の足がつく瞬間に、出足払で投げる(60代塾生様)。他の塾生様も含め、理にかなったきれいな技が少しずつ増えてきました。咲柔館の塾生様は、ほとんどが白帯です。でも、稽古を重ねることで、高校生や大人になってから柔道を始めた方でもこういった技をかけられるようになります。

 
 「センスは努力で磨ける」。私はこう考えています。一流の柔道選手を見ると、生まれつきの才能や感覚の鋭さはあるのかなあ、と感じることも多いです。でも、それだけで技の巧拙が決まると考えるのは、あまりにも夢がありません。
 正しい反復練習をコツコツ続ければ、どなたでも技は上達します。乱取りで、釣込腰や出足払がかかったのは偶然だったかもしれません。でも、その偶然もひた向きに稽古を続けてきたからこそ生まれたのです。


 無意識に技が出るようになるまで、(細かいポイントを)意識して反復練習をする。考えなくても技が出るようになるまで、ひたすら研究と反復練習あるのみです。こうして頭ではなく体で覚えた技、自然に出た技こそが本物の技です。
 反復練習を通して自分の感覚を研ぎ澄ましていく作業は、地味で孤独です。しかし、こうした自分自身との対話も柔道の面白さの1つだと思います。打ち込みや投げ込みといった反復練習は楽ではありませんが、技という刀を研ぐ面白さを知ると、楽しく続けることができます。
 焦らずに、少しずつ、自分の技を磨き、まずは「得意技」を1つ作りきましょう。塾生の皆さんの技が更に上達されるのを楽しみにしています。 

「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館


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