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「考える柔道」を楽しむ

  技術練習をする上で大切にしていることがあります。それは1つひとつの動きの「理由」を理解することです。「なぜ、後受身の時に帯の結び目を見るのか」「なぜ、相手を投げる時に袖を引っ張ってあげるのか」こうした理由をしっかりと分かった上で稽古をすれば、より安全で効率の良い動きを身につけることができます。


 理由は、全てこちらから教える訳ではありません。時には自らの体験を通して気づくことも重要です。  
 以前、ある公立中学校で「ヘディングは、頭のどこに当てるべきか」というテーマのサッカーの授業を見学させていただいたことがあります。まず、生徒たちは、①頭頂部・②おでこ・③こめかみ付近の中で、最も正しいと思う部分を予想します。次は選んだ部分ごとでグループになり、実際にヘディングをしながら検証をします。2人組でヘディングをしあう、その様子を周りで観察する、全員で話し合うなど色々な方法で検証を行っていました。中には意見を変える生徒もいますが、もちろんそれも認められています。
 この授業では、結論を1つに絞ることをしませんでした。その意図を授業をされた先生に伺ったところ、「短時間で無理に結論を出す必要はありません。探究心を持たせ続けることが大切だと思います。それに答えが1つとは限りませんからね。」とおっしゃっていました。こうして身につけた知識や技術は、ずっと忘れないでしょうね。


 咲柔館でも同じような方法で技術研究をすることがあります。ある日の稽古では、180度回転する技をかける時、一歩目は①つま先・②かかと・③足裏全体のどこをつくべきか、について考えました。「かかとだとバランスを崩すね」「足裏全体をつくとまわりにくい気がするよ」と自分の感じたことを言葉にしながら検証を続けました。その結果、「つま先からつくのがよいらしい」という答えをとりあえず導き出したようです。お子さんたちの探究の道は、まだまだ続きます。

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 答えを最初から教えてもらうのは、確かに楽かもしれません。しかし、そのような学び方だけでは、覚えたことをすぐに忘れてしまいます。まずは自分で考えてみる、そして実際にやってみることが大切です。何事に対しても「考える習慣」が身につけば、色々な課題を解決する力も身につきます。
 技がかかる理由を考え、工夫を重ねることも柔道の楽しさの1つです。今後も「考える柔道」をみなさんと一緒に楽しんでいきたいと思います。


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